第5章 第1次世界戦争編 C-0008ダンツィヒ沖海戦結末
ダンツィヒ沖の総兵力及び主要犠牲者
ドイツ
中央列主力戦艦隊
1番艦 ケーニヒ級 ケーニヒ 大破擱座
2番艦 ケーニヒ級 グローサー・クルフュルスト 大破戦線離脱
3番艦 ケーニヒ級 マルクグラーフ 中破残存
4番艦 ケーニヒ級 クローンプリンツ 大破擱座
5番艦 カイザー級 フリードリヒ・デア・グローセ 中破残存
6番艦 ナッサウ級 ナッサウ 大破戦線離脱
7番艦 ナッサウ級 ヴェスト・ファーレン 大破戦線離脱
8番艦 ナッサウ級 ラインラント 大破擱座
9番艦 ナッサウ級 ポーゼン 大破擱座
右翼第2列(巡洋艦部隊)
1番艦 マウデブルク級 マウデブルク 撃沈
2番艦 ピラウ級 エルビンク 撃沈
3番艦 ピラウ級 ピラウ 中破
4番艦 コルベルク級 アウグスブルク 小破
5番艦 ケーニヒスベルク級 シュツットガルト 小破
6番艦 ブレーメン級 リューベック 大破擱座修理断念
7番艦 ブレーメン級 ブレーメン 撃沈
8番艦 ガゼル級 ウンディーネ 撃沈
9番艦 ガゼル級 アマゾン 小破
10番艦 ガゼル級 テティス 小破
11番艦 ガゼル級 ガゼル 中破修理放棄
12番艦 ヴィクトリア・ルイーゼ級 ヘルタ 撃沈
13番艦 ヴィクトリア・ルイーゼ級 ウィチタ 撃沈
最右列(旧式戦艦隊)
装甲巡洋艦
1番艦 ローン級 ローン 大破離脱
2番艦 プリンツ・アーダルベルト級 フリードリヒ・カール 大破擱座
3番艦 プリンツ・アーダルベルト級 プリンツ・アーダルベルト 大破擱座
4番艦 同型艦なし プリンツ・ハインリヒ 撃沈
5番艦 同型艦なし フュルスト・ビスマルク 撃沈
ブランデンブルク級前ド級戦艦
6番艦 ブラウンシュヴァイク 大破擱座
7番艦 エルザース 大破擱座
8番艦 ヘッセン 大破擱座
9番艦 プロイセン 大破擱座
10番艦 ロートリンゲン 大破擱座
ドイッチュラント級前ド級戦艦
11番艦ドイッチュラント 撃沈
12番艦ポンメルン 撃沈
13番艦ハノーファー 大破擱座
14番艦シュレジェン 大破擱座
15番艦シュレスヴィヒ・ホルシュタイン 大破擱座
左翼水雷戦隊 水雷艇48隻 生還8隻他沈没
残置特務艦(潜水艦)
数隻全艦生存
ロシア海軍
第1バルト海艦隊
1番艦 ガンクード級 ガンクード 大破生還
2番艦 ガンクード級 ナヴァリン 大破生還
3番艦 レトヴィザン級 レトヴィザン 大破生還
4番艦 レトヴィザン級 オスラービア 中破生還
装甲巡洋艦
5番艦 同型艦なし リューリク 中破生還
6番艦 バヤーン級 バヤーン 大破戦線離脱
7番艦 バヤーン級 アドミラール・マカーロフ 大破戦線離脱
8番艦 バヤーン級 パルラーダ 中破生還
第2バルト海艦隊
右列
1番艦 ペトロバフロフスク級 ポルダワ 撃沈
防護巡洋艦
2番艦 ヂアーナ級 ヂアーナ 中破
3番艦 ヂアーナ級 パルラーダ 無傷
4番艦 ヂアーナ級 アヴローラ 大破戦線離脱
5番艦 ボガトィーリ級 オレーク 撃沈
6番艦 ボガトィーリ級 ボガトィーリ 撃沈
7番艦 同型艦なし ヴァリャーグ 自沈
左列
1番艦インペラートル・パーヴェル1世級 アンドレイ・ペルウォスワニ 撃沈
2番艦ヤポーニア級 ヤポーニア 撃沈
3番艦ヤポーニア級 コウダ 撃沈
4番艦ヤポーニア級 ポベータ 大破航行不能
→曳航され帰港
5番艦ヤポーニア級 ペレスウェート 大破
6番艦同型艦なし ツェサレーヴィチ 大破
7番艦ボロジノ級 アリョール 撃沈
8番艦ボロジノ級 スラヴァ 敵前逃亡
第3バルト海艦隊
水雷巡洋艦
ハンター級 4隻
ホースマン級 4隻(ドイツ製)
フィン級 4隻
ウクライナ級 8隻
総数20 損失16 残存4
駆逐艦
オルフェウス級 4隻
総数4 損失1 残存3
駆逐艦(小型のため水雷艇として記載)
ブイヌイ級 4隻
グロズヌイ級 1隻
クジラ級 3隻
ソコル級 14隻 日本からの返還含む
総数22 損失20 残存2
別動隊 水上機母艦アルマーズ(防護巡洋艦改造) 無傷
戦略的な勝敗 (双方戦略目標を達成できず事実上の引き分け)
ロシア:制海権の奪取に失敗→後方への上陸軍の派遣に失敗
ドイツ:ロシア海軍の完全な撃滅に失敗→長期のバルトでの戦闘に引きずり込まれることになる。
ベルリン 皇宮 1914年8月5日
「ヒューゴ・フォン・ポール海軍大将が戦死した?」
「バルト海方面の艦隊のおよそ半数が撃沈前にダンツィッヒ北東ケーニヒスベルク付近に擱座しました残り半数も被弾損傷があり、修理を必要とします。」
「しかし、ロシア艦隊も同様。むしろド級戦艦に戦没艦を出しています。新鋭艦の就役、修理が完了すればわが海軍が有利になります。」
「ティルピッツ確か英国参戦時の基本戦略はロシア海軍を無力化し、英国海軍に全力を投入するんだったな。ロシア海軍は無力化できたといっていいか?開戦前に見た報告書によると確か新型戦艦2隻の就役が間近その2隻が出てきたらどうする。損傷艦の乗員を応急転用すれば早急な戦力化が可能なはずだ。」
「潜水艦と機雷を使います。これで港湾を封鎖します。」
「戦力は足りるか?」
「同じ手を我々も用いればよいのです。損傷艦の乗員を新造艦に転用これで超ド級戦艦2隻を早急に戦線に投じます。さらに旧式艦の修理を放棄、部品取りにします。むろん工廠まで曳航できるように船体は修理、浮揚します。これでナッサウ級4隻の修理を急ぎ、戦線に復帰、これを使い、完全にロシア海軍をたたきます。」
「ロシア海軍を撃滅しない限り、英国に対し、決戦を挑むことはできないという判断か」
「ハイ。」
「後任はラインハルト・シュアに任せる」
サンクトペテルブルク 皇宮
「ニコライ・オットヴィチ・フォン・エッセン大将も戦死、戦艦5隻を失い、生き残りのほとんどが戦闘能力を喪失…惨敗だな。」
「敗北の責任を取らせなければならん。司令部に一人生き残りがいたはずだ。そいつを切るしかないな。」
「その件ですが…彼は…すでに辞表と報告書、今後の作戦計画書を口述筆記にて提出してすぐに病院に入院しております。切る必要はありません。辞表を受理すればよい。」
「ならばそのように」
「ですが、彼が左手を失い、左脚部をのちに切断するような大けがをしながらも艦の指揮を続けなければ新鋭艦ガンクードも失われていたということだけは頭に入れておいてください。」
「切れんな。辞表でもその時点で水兵達が出撃しなくなる。命の恩人を首にすれば士気は下がる。英雄に祭り上げてやるしかないな。」
「義足でも作ってやれ。退院ののち余自らが下賜する。」
「はッ」
「で、問題は今後どうするかだ。意見のあるものは?」
だれも手を上げない。
「確か司令部の生き残りが今後の作戦計画書を作っていたそうだな。見せてくれ。」
キール軍港1914年8月7日
「ひでえな。」
この海戦で帰ってきた主力艦戦艦は
ケーニヒ級 グローサー・クルフュルスト、マルクグラーフ
カイザー級 フリードリヒ・デア・グローセ
ナッサウ級 ナッサウ、ヴェスト・ファーレン
のたったの5隻だけだ。出撃した時は旧式戦艦を含めて戦艦だけでも19隻の大艦隊だった4分の3近くが返ってこなかった。生き残りも傷ついている。
「擱座した船も多いんだろさてとどうしたことか…」
「部品の製造だけでも頭が痛い…部品の製造時間の分、戦線復帰が遅れる。総司令部から急げと言われているが、部品の供給がない限り急ぎようがあるまい。」
「砲塔なんて予備ねえぞ…しかもあんな旧式砲塔を製造するなんて必要性自体がない。新鋭艦の建造が遅れる」
現場にはため息が流れる。
「確か小潮に近かったよな。昨日月は半分より少し大きかったはずだから大潮の満潮を狙えば確実に浮揚できそうだ。」
「確か旧式艦と同じだったよな。(史実ではナッサウ級と前ド級戦艦の主砲は別ものを使用。改史では建造を急ぐために同一) 工作艦を仕立てて旧式の前ド級戦艦から部品をはぎ取って直せばその分早くなるが旧式艦は大丈夫かな?」
「それだ。司令部に聞いてみようか。」
「被雷状況の報告書を持ってきてくれ、状況次第では曳航するから工作艦には曳航の準備もさせよ。機関換装が必要な船はまあ間違いなく係留放置することになるその船から部品をはぎ取る。」
「了解。」
数日前 サンクトペテルブルク 病院
「大丈夫ですかウラジミール参謀。」
ウラジーミル・ポリエクトヴィッチ・コスチェンコ中佐は入院した。戦場における応急処置の暮れからサンクトペテルブルクの病院に収容されたのちに左手首から先と左足ひざ下を切断した。病原菌に感染し、壊死したためである。耳も鼓膜が破れたままだ。そのためウラジミールは口を開くが、見舞いに来た将校は黒板を使い、隣にはバインダーを持っているその将校の部下が立っている。
「大丈夫なものかまだつらい。それに出撃の決定を覆せなかったことも私の非だ。その後、作戦を私が立てた。その作戦の元戦われた以上私には大きな非がある。責任は取らねばならん。それにお役に立てないことも悔しい。」
感染症は壊死部分を切り取ってもある程度は残る。抗生物質などないこの時代ただあるのは体力を消耗して肉体が病原菌と戦い打ち勝つことだけだ。事実彼はいまだ高熱の中にいる。
「…今こそあなたの意見を伺いたいのに残念です。造船将校としてのあなたの意見を。」
造船技術者出身の彼は戦場よりもこの手の後方支援が専門。戦場に出るべきではなかった。
「フン。造船将校だけの立場から言えば出撃などでできん。修理が終わるまで出撃を禁ずるな。だが現場としてはそれではいかんのだ。ドイツは再度出撃する。艦隊の規模は知らん。戦艦がいるかいないかわからん。備える必要がある。」
「それには出撃が必要と?」
「そうだ。生き残った船で航行に支障がない船には修理を待たずに出撃。例外はガンクード級とレトヴィザンのオスラービアだけだ。」
「どうしてその3隻だけを?」
「ガンクード級は今建造中の戦艦だ。しかも準同型の黒海艦隊型を含め8隻の量産をしている。部品の製造のほとんどは終わっているが、砲塔や機関の製造など予備部品や規格外品、生産設備そのものの流用ができる。だがそのほかの船はそれができん。レトヴィザン級2隻は機関に損傷はないが状部構造物の被害は甚大。ヤポーニア級に至っては装甲巡洋艦に曳航されて戻ってきた。戦局はヤポーニア級の修理をしている時間的余流を与えてくれまい。」
「レトヴィザンは?」
「オスラービアの被害は前部砲塔2基だけだ。だがネームシップのレトヴィザンは後部砲塔3基が被弾して使えない。開戦前に日本から返還された先代のレトヴィザンの砲塔2基を流用するならを流用するならオスラービアだ。」
「わかりました出撃艦艇はどうします?」
「機雷の敷設だ。我が国の出入り口に対し機雷を大量敷設。海峡封鎖。そのために出す。むろん直接戦闘などさせられない敵が来たら逃げろ。修理が完了した船と新鋭艦…ド級戦艦5、前ド級戦艦1で応戦する。いざとなれば海峡部に前ド級戦艦を自沈。完全に封鎖する。リガ湾とフィンランド湾の間にある浚渫水道ならば問題なく自沈できる。」
「なるほどなるほど…」
「で何している?」
「口述筆記」
「へ?」
「辞表と今後の意見を上に提出してやろうと思ってな。」
「なぜ」
「お前は司令部唯一の生還者だ。下手したらお前が責任取らされて首を切られるぞ、国にお役に立てるようアピールしろ。そうすることがお前の命を救う。報告書は俺がほとんど仕組んでやる。お前がいなかったら新鋭艦が沈んていた体にしちゃるお前は体に注意しろ。」
「それはお前が…」
「ここにいる3人しか知らん。お前に託すぞ。」




