第4章 第2次米墨戦争編-10 大国の衝突
米大西洋艦隊旗艦 戦艦 コネチカット1907年10月1日 ガイアナ沖(当時の名前ではない)
米大西洋艦隊は作戦通り上陸軍をタンピコ・ベラクルスに上陸させた。もうこの戦争における大西洋艦隊の役目はほぼ消失したといってもよい。その結果米軍部は太平洋において祖国に牙をむいたABC艦隊の祖国を懲罰すべく太平洋に艦隊を回航させようとしている。
艦隊の編成は
戦艦
コネチカット級 5隻
バージニア級 5隻
メイン級 3隻
イリノイ級 2隻
キアサージ級 2隻
アイオワ級 1隻
装甲巡洋艦
テネシー級 2隻
計20
それぞれ木造の帆船1隻を石炭運搬船として曳航。木造なので解体し、燃料とする予定
しかし航続距離の問題で燃料を供給後、一部艦が帰還し、最終的に戦艦10・装甲巡洋艦2が最終的に太平洋にたどり着く予定であった。
「煤煙が見えます」
艦隊先頭をゆく旗艦コネチカットが前方に異様なものを見た
「…艦隊規模の艦艇がいる模様」
それ以外ありえない。それだけの量の煤煙が空に黒い雲を浮かべている。
「どこに…そんな艦隊が…」
司令官は望遠鏡を覗く。確かに煤煙が見える。商船団でもあり得ない規模だ。
「どこの艦隊かわかるか!!」
司令官は叫ぶ
「マストが見えました…マストには…ユニオンジャック!!英国海軍です!!」
「…提督ここは英領ギニア沖です。英国海軍はここを守備する名目でやってきたのでしょうか艦隊規模が異常ですわが海軍の妨害が目的の可能性が高いかと」
「先頭艦の艦影確認火力強化型の従来型戦艦(のちに準ド級戦艦といわれるようになる)もしくは新型戦艦(ド級戦艦のこと)と思われます」
「先頭艦は正面に連装砲3基が確認できます!!。おそらくあれがドレッドノート!!」
「それでは英国海軍の最新鋭戦艦群ではないか!!」
その叫びはまさに恐怖だった。英国最新鋭の戦艦といえばあのドレッドノートがいるのだ
「左右の艦影も判明、同様に火力強化型の従来型戦艦と思われます。しかし艦種特定不能新鋭艦の模様!!」
「先頭がドレッドノートならば、左右の船はロードネルソン級ということか」
「煤煙の量から後8隻いると推定します。おそらくキングエドワード7世級」
ここにいる英国11隻の戦艦は当時の英国の最新鋭戦艦群である。
8隻いるキングエドワード7世級は世界初の準ド級戦艦である。従来型のド級戦艦を圧倒すべく副砲火力を強化した船である。しかし、主砲火力の増強を果たしたドレッドノートの就役によって早々に旧世代化した。2隻のロードネルソン級はキングエドワード級の発展型で副砲火力をさらに増強している。ただし、ドック面積の関係上副砲火力の増強は限定的キングエドワード級の4門から10門(他国は12門の例も多い)への増大に終わっている。
そして最後の1隻それがドレッドノート。世界を変えた戦艦である。これ以前の戦艦はすべて旧式の無価値な鉄くずへと追いやった存在である。
現代に例えるとガラケーの中に突如として誕生したスマートフォンのようなものだ。
その世界最強の戦艦ドレッドノートを先頭に二列の縦陣を組んでいる。
「英国艦隊砲門当方に指向!!」
「全艦隊砲門を指向!!ただしこっちから絶対に打たせるな!!」
「提督敵艦隊の砲力は圧倒的!!26門30㎝の主砲と24門の23.5㎝中間!!当方は」
「言われんでもわかっている打ち合えば当方が負ける。チッ我々の負けだな。砲を英艦隊の反対側に向けて空砲を発射。交戦の意思なきことを示せ。」
軍艦による空砲は交戦の意思なしという意味になる。これは戦列艦の時代からの慣習である。当時の艦砲は前装法すなわち砲口から砲弾を装填する大砲である。この大砲は装填のためにいちいち砲を艦内にひき戻し前から砲弾を装填する必要があるそのため装填に時間がかかることになる。空砲を撃てばしばらくの間砲撃をすることができない。
だがこの状況ではそれは事実上の降伏宣言に等しい。当方に交戦の意思なしすなわち戦うこともできないというのだ。
「針路を北に向けろ…ノーフォークに帰還する。石炭輸送船はそのまま引っ張ってゆくぞ。いざとなればこれを燃やし、ばい煙を利用し遁走する。」
結果的に米艦隊と英艦隊は交戦に至ることはなかった。だが米艦隊が戦域を離脱した事実だけが残った。
ワシントンDC 1907年10月2日
「くそ英国!!」
大統領はベッドルームで報告を受けた。事実上の米大西洋艦隊の敗北。犠牲者こそいないがアメリカ海軍の栄光と顔には泥を塗られたのだ。
「海軍にテコ入れは必要です!!しかし当面はメキシコとの戦争をいかに終結させるかです。」
「ではどのようにするつもりだ。ベラクルスからの主攻はすでにメキシコ軍に封鎖された。後方に潜入部隊を浸透させ、鉄道線を破壊させているが当方の不利は変わらん。」
「タンピコから複数の部隊が進発中です。その部隊が!!」
「それもあてにならん。タンピコの部隊は撤退したメキシコ軍部隊を突破せねばならん。彼らとて容易に突破はさせてくれんはずだ。地形を有効活用した場合、タンピコに今いる軍勢をすべて投入したとしても突破は困難だろう。」
「閣下。提案があります。」
コロナ籠もり応援のため臨時更新を予定
少しでも時間つぶしができることと健康と冥福をお祈りいたします




