『ホワイトデー』&『新生活』
『ホワイトデー』
「いいか、まずチョコのお礼に、一緒に昼メシでもどうですか、と彼女を誘え。」
「お、おう。」
「そして、帰りに、腹ごなしに、散歩でもしましょうと、公園の桜の様子を見につれていくんだ。」
「まだ蕾じゃないかな?」
「だからこそ意味がある、これは、次のお誘いにつなげるための布石だ。」
「そうか、わかった、いいっ行ってくる。」
「健闘を祈る。」
緊張の面持ちで深呼吸、意を決して彼女のもとへと向かう。
「あ、あの、もし良かったら。」
「はい。」
「腹ごなしに、昼メシでもどうですか?」
『新生活』
卒業式には間に合わない。
桜は、ここでは入学式の花だ。
はらはらと舞う花びらの並木道を行く制服姿に、僕も加わる。
僕は、ありきたりのブレザーだけど、中学生かな、詰襟やセーラー服もいる。
まだちょっと着慣れない感が否めないのが、初々しくてよい。
えっ、いやまあ、僕にとっては、二回目の一年生だからね。
一年の半分くらいしか、学校には通っていなかったことになるのかな。
それでも、新しい学校生活が始まるのには違いない。
僕は、ブレザー。
今年の春からは、弟君の制服になる。




