テンプレに挑んでみました
『パーティを追放される話』
役立たずだからって、勇者パーティを追放されてしまった。
勇者なのに!
剣に、魔法に、と言えば、聞こえはいいけれど、スペシャリストと比べたら見劣りするのは否めない・・・
でも、追放する?
勇者なのに!
あー、もう誰も信じられない、何もしたくない。
闇落ちしてやる、世界がどうなっても知らないからな!
嘘です、闇落ちなんて、できません。
普段は気づかない、お人好し度合いを、実感しちまったじゃないかあ、もう!
しばらく、のんびりしよう、傷ついた勇者には、心のケアが必要だよ、それくらい許されるよね。
なんて、思っていたのは、二月くらい前のこと、それなのに。
平和を謳歌するこの街に、これほどまでに恐ろしい敵が現れるなんて。
勇者として、覚醒を迫られるときが近づいていた。
「ほら、フーテさん、起きて、このままだと、宿代が払えないんでしょ、追い出されたいんですか、起きて、働いてください!」
「この寒空に、布団をはぐとか、なんて恐ろしいことをするの、君は・・・」
「この寒空に、宿から、放り出されたいんですか。」
「滅相もございません。」
「では、起きなさい。」
「はい。」
宿屋の少女の声で目覚めた、勇者、フーテ・ネクスン。
彼の戦いはこれからだ。
『トラックの事故から始まる異世界転移物語』
その交差点で、月見里子が見たのは、大きく蛇行した軽トラックが、信号待ちの男の子に、フラフラと向かっていくところだった。
咄嗟に逃げ出せずにいたその子に駆け寄り、抱きかかえると、里子は、迫るトラックに背を向けて、ギュッと目をつむった・・・
通勤中のドライバー、小島遊は、前を走るトラックの異変に気付く。
このままでは、うずくまる子供達に突っ込む、そう思ったときには、アクセルを踏み、無理やり車を割り込ませていた。
体当たりを食らわせたトラックが、中央分離帯に乗り上げて、横転して止まったのを見届けて、小島は、目を閉じた。
衝突音を聞きつけ、救出のために、トラックへと集まった人たちは、そこで、不可解な出来事に遭遇する。
そこに、運転手の姿は無かった。
気分良く軽トラックを運転していたはずの、星桃次郎は、気がつくと真っ白な空間にいた。
無論、運転手を失ったトラックが、何を引き起こしたのかなど知る由もなく。
状況が呑み込めない桃次郎の前に、いつの間にか現れた、金髪の別嬪さんが告げる。
「あなたは、勇者に選ばれました、どうか、世界を救ってください。」
あけまして、おめでとうございます。
今年も、どうぞよろしくお願いします。




