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あした、ホワイトクリスマスになあれ
「雨はやだなあ。」
二学期の終わりの日、クリスマスイブはもうすぐだと思うと、つい灰色の空を見上げてつぶやいてしまう。
「じゃあ、占ってやるよ。」
声をかけられ、そちらを見ると、右足を持ち上げて靴のかかとをはずしている。
「ねえ、靴がどんな向きで落ちたら雪が降ると思う?」
いい笑顔で返事が返ってきた。
「落ちなかったらじゃないか?」
「もう、せっかくなのに!」
思い切りよく蹴り上げられた靴が、空高くに吸い込まれていく・・・そして。
「やった雪だ!すごいね、奇跡って本当に起きるものなんだ、さすがクリスマス。」
靴めがけて飛び出し、ナイスキャッチ。ちょっと土をかぶっちゃったけれど、言い返して、いい気分。
「ちょっ、普通するか?」
片足で大きく跳ぶたび、重そうなランドセルをはずませて、こっちに迫ってくる。
とっさに靴を持って逃げ出したのは、我ながら良い判断だったと思います。
次回は、『UMA』です。




