もしも桃太郎のおばあさんがきびだんごを知らなかったら
「桃太郎や、今から話すことを良くきくのですよ。」
「はい、おばあさん。」
「今まで黙っていましたが、あなたの出生には大きな秘密があるのです。」
「はい・・・。」
ついにこの日が来た、そう思いました。
桃太郎には、こうなる予感のようなものがあったのです。
「あなたは、私とおじいさんの本当の孫ではありません。」
「はい。」
すでに、覚悟はできています。
「あなたには、双子の兄がいます。」
「えっ?」
「大目付、松平備前守様の弟、松平鶴次郎こそ、あなたの本当の名前なのです。」
「なっ!」
面食らう桃太郎をよそに、それまで空気に徹していたおじいさんが、突如立ち上がると、懐から般若の面を取り出すや、薄絹をかざして、くるくると回り始めたではありませんか。
どこからともなく、鼓の音まで聞こえてきます。
ぽん、ぽん、ぽんぽんぽんぽん♪
「ひとつ、人の世で生き血をすすり、ふたつ、不埒な悪行三昧、みっつ、醜い浮世の鬼を、退治てくれよう桃太郎!」
「桃太郎や、今のおじいさんの口上を、しかと覚えておくのですよ。」
「ちょっ、ちょっと待ってください、おばあさん、えっ、きびだんごは?」
「はて、きびだんごとは、なんですか?」
・・・ゴメンナサイ。
ちなみに、元ネタ、わかりますか?




