続・お祈り無双! 一日五分、祈祷するだけで世界を救います!
『お祈り無双! 一日五分、祈祷するだけで世界を救います!』の続編です。
https://book1.adouzi.eu.org/n6995ge/14/
先に、そちらを読んでいただけると嬉しいです。
「明日は、どっちなのじゃ!」
長い髪をポニーテールにまとめ、黒のウェアに、赤いボクシンググローブをはめた、幼い女神様が、今日も元気に降臨。
きめているファイティングポーズは、左手が前のサウスポーだ。
何事も、形から入るのが好きな女神様は、顕現とともに、だいたい何がしたいのかがわかる。ゆえに、本日の用向きを聞いた勇者に戦慄が走る。
「今日は、『だるまさんが転んだ』をするのじゃ!」
「どうして、だるまさんが転んだで、そんなに殺意高めなんですか!」
「何を言っているのじゃ勇者よ、テンカウント以降に、相手を動けなくするんじゃろ?」
勇者は、こてんと首をかしげる幼い女神ではなく、天を仰いだ。
その後、勇者による必死のルール説明が行わる、これほど、真剣にだるまさんが転んだを説明したことはなかったという。
最初の鬼は、女神様からとなったが、その原因が、グローブにあったことは否めない。
「では、よいか、はじめるのじゃ。」
「はーい。」
勇者に背を向け、重ねたグローブに小さな額をちょこんとつける。
「だ――」
瞬間、背後にただならぬ気配、これは――
やられる!
咄嗟に身をひるがえす。
音すらも置き去りにして、勇者の手刀が空を切る。
「くっ。」
勇者が小さくうめき、大地が爆ぜた。
きびすを返した勇者が、20人以上に分裂し、一目散に逃走を図る。
勇者は、女神様に、平和の祈りを捧げることで、その身にチートな能力を宿すことが出来る。
分身、認識阻害、縮地法、全ての力を使って逃げ出した。
五歩だ。
たったの五歩圏内から、逃げられれば、それでいい。
「ストップ!」
幼い女神が、邪悪に笑う。
「さぁ、ここからは、迫りくる恐怖に、ただ怯えるのじゃ。」
勇者の長い一日は、まだ、始まったばかり。
今日も、世界は、平和なようだ。
リクエストさえされれば、何だって書くのです。
次回は、『御社を志望した理由は』と『未来派社員食堂』です。




