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『ツクモ』 第四話『遠出』

第四話『遠出』


 彼女にたずねる。


「君に頼んだものは、準備してくれたのかな?」


「したよ」


「浮き輪は?」


「したよ、あれは、きたいで膨らむんだよ」


「スイカは?」


「したよ、目を閉じれば、いざなう声が聞こえるようだったよ」


「水着は?」


「ここじゃ見せられないな」


「なるほど」


「そんな事より、どこなの、ここは?」


「見ての通りのロッジ(山小屋)だね」


「なんで!」


「海だなんて、一言もいってないよ」


「君は、アレを見て、なんとも思わないの?」


 麦わら帽子にアロハを着こなし、海中眼鏡にシュノーケルまで装備したトロピカルタイプのツクモが、専用パラソルとビーチボールを抱えたまま、呆然とたたずんでいる。


「割と、形から入るタイプだったんだね」


「言いたいことは、それだけかあ!」


「ツクモに海は無理だから、いくら全天候型でも、浮かびすらしないよ」


「でも、どうするのよ、ツクモが現実逃避を始めちゃったじゃない」


 ゴムボートをひっぱりだしてきて、ジャバラな足踏みポンプをシュッコ、シュッコして、ふくためている。


「あれはきっと、流されないように、いかりを沈めるつもりだね、浮かばれない自分で」


「一体、どこに沈めるっていうのよ」 


「じゃあ、行くよ、ツクモ、こっちにおいで」


 しばらくすると、水音が聞こえてきて・・・


「ほら、ツクモ、見てごらん」


 渓谷にたどり着く。


 そこで、ツクモは、動かなくなってしまった。


 岩の上から木漏れ日が注いで、キラキラと光る川面に、まるで見入っているみたいに。


 その傍らにしゃがんで彼女が言った。


「来て良かったね」


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『みどりの竜』
 一話完結、ショートショートコメディです。


『月の音色』
 声優、大原さやかさんのネットラジオに投稿した400文字以下の物語


『いくとちゃんとおじいちゃん』
 子供に読み聞かせるとき、大人も一緒に楽しめる童話を目指しました。
― 新着の感想 ―
ツクモ、可愛いですよね♪(*^^*)b うちにも欲しいです♪(●´ω`●) リアクションがお子さまのようで、 うりうり~♪と構ってあげたくなるんですね(*^^*)♪
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