母の日スペシャル
『恐怖の味噌汁』
「あれ、おかずは?」
「私だって休みたいの、だから、今日はお麩の日」
『包丁』
こちらに包丁を突きつけて
「やい、金を出さない!」
というわけで、今日からは愛妻弁当。
『嫁が、これなもんで』
「この後、一杯どうだい?」
親指と人差し指で摘んだ、見えないおちょこを口元で傾ける、が。
「すみません、嫁がこれなもんで」
人差し指で、額に、二本の角を作っている。
「いや、お前は、いつの生まれだよ」
「課長こそ、奥さんが、お帰りを待っておられるのでは?」
「うちはな」
人差し指で角をつくると
「これな、これなもんで」
「なんか、ニュアンスが変わってますよ!」
『冷蔵庫』
ピーッ、ピーッ、ピーッ
冷蔵庫の整理中、"扉を閉めて"と催促されている母の返事が怖すぎた。
「ないてもダメなのよ、ピーピーうるさいわ、後でしめるからね」
『家庭菜園』
「肥料のあげ方を間違えちゃったのかな、玉ねぎの芽がのびなくて、しょんぼりなの」
趣味の家庭菜園のことで、母にぼやいたら。
「私なんて、台所でも芽が出たけどね、すごい?」
『荷造り』
「仕送りする荷物はこれ?」
「そう」
「うわあ、こんなにガチガチに梱包しちゃったの?」
「大丈夫、開けるためのハサミも一緒に送るから」
『書き置き』
「お母さんは、どこ?」
「どうやら買い物に出かけたみたい、テーブルにメモを残してるよ」
「ああ、これか」
醤油、玉ねぎ、食パン・・・
「って、このメモ、残ってていいの?」
『OKグーグル』
えっちら、おっちら。
階段を昇るのも一苦労。
どっこいしょ。
ふぅ、ようやく登り切った。
さてと。
「OKグーグル。」
「私は、何をしに、二階に上がったんだっけ?」
『牛乳』
「ねーお母さん、牛乳ほとんど残らないよ、お兄ちゃんの分はどうしよう?」
「寝坊してるのが悪いのよ、お兄ちゃんには、コップの底にちょこっとあれば上等、上等」
「うーおはよー、僕がなんだって?」
「おはよう、いいから、これ食べちゃって、はい、パンとカフェオレ」
『誕生日』
「誕生日おめでとう」
「ありがとう、もう母さんに祝ってもらうような歳でもないけれどね」
「そうね、むしろ、母さんにこそ、おめでとうって言ってほしい日だわ」




