ベアトリス(クマのぬいぐるみ)殺害事件 〜文芸部長からの挑戦状〜 第三回『問題編 -後編-』(全五回)
ミステリークイズになっています(全五回のうちの三回目です)。
よかったら挑戦してみてくださいね。
「えっとその前に、部長に質問してもいいですか?」
「もちろん良いよ、何かな?」
「僕が職員室に行っている間、部長はここで何をしていましたか?」
「ああ、部員Bにメールしたかな、もし部室に誰もいなくても、そのまま待機してて、って」
ねっ、と部長が、部員Bに水を向けると、今日はもう部員Bで通す気なんっすね、と言いつつも、メールの件については肯定をしている。
「他には、特に何もしてないよ」
「なるほど・・・、わかりました」
僕が納得した様子を見て、部員Bがたずねてくる。
「それじゃあ、とっかかりはどうする?」
「まずは、この鍵かな」
職員室から借りてきた空き教室の鍵をかざして言う。
「この鍵は、職員室から持ち出されたことが無いので、外からこの鍵を使って施錠することはできない」
部員Bがうなずいたので、僕はさらに続ける。
「それと、教師の協力を取り付けている以上は、顧問の先生に怒られそうなこと、許してもらえないだろうことも出来ないよね」
「そうだな、学校の教室を外から鍵を使わずに開閉しちゃうのは、まあ、アウトだろうなあ」
「じゃあ質問、密室とかそういうのは置いといて、この鍵を使わずに扉の鍵を締める方法ってある?」
「内側から鍵をかける」
「多分、それが正解なんだと思う」
「でも、内側から鍵をかけるって、どうやるんだ?」
「そうだよねぇ、被害者が何らかの理由で自ら鍵をかけるっていうのは、今回のケースではありえないしね」
「ベアトリスには無理だよなあ、縫いぐるみだし」
「被害者役がベアトリスだと使えないトリックが結構あるのは残念だよね、実は自殺だったとか、外から上手く誘導して自分から毒に触れさせるとか」
「まあ、推理の的を絞れるから、今は良しとしとこう」
「要するに、内側から鍵をかけたのは、ベアトリスではなく、人間の手によるものってこと、って、言うまでもないけど」
「それが、犯人か」
「だとしたら、鍵をかけた状態から教室を出るための方法をみつけないといけない」
「って、言ってもなあ」
ここで僕は一歩踏み込む。
「実は、バケツが気になってた」
もうそろそろ、良いかなって思ったから。
「あのバケツ?」
「わざわざバケツに入れてあるなんて、絶対に意図があると思って」
「確かに、そうかも」
「バケツは手がかりのひとつに間違いない、でも、バケツ自体には意味がないんだ」
「あー、うん、言ってることがおかしいな」
「重要なのはバケツそのものじゃなくて、バケツがどこに置かれていたのか、ってことの方だったんだ」
「場所に意味なんてあるのか?」
「いや、僕も最初は気づかなかったんだけど、ロッカーを調べて、その後、密室の謎が解けたから、ついでに、バケツの謎も解けたんだ」
「えっ、密室の謎が解けた?」
「うん、あらかた分かったと思うよ」
「おぉっ、解けたの!」
部長が嬉しそうに、パンっと手を合わせて言った。
「ならば"名探偵部員A"による推理ショーをお願いしようと思うのだけれど、部員Bもいいかな?」
部員Bは、ひとつ頷いて僕に言う。
「おう、やってくれ」
「了解」
僕は、周囲を徘徊しながら言った。
「さて」
ま、これは、様式美ってやつだから。
そこはもうノリノリで、探偵役のロールプレイを敢行する。
「全ての鍵がかかっていれば、犯人だって外に出ることは出来ません。当たり前ですが、外に出られない間は、犯人も教室の中にいました」
僕は、右の手のひらを見せて。
「ポイントは、5つあります。まず、犯人はどこにいたのか」
親指をおる。
「犯人は、いつ教室から出たのか」
小指をおる。
「犯人は、自力で脱出したのか」
薬指をおる。
「犯人は、どこから出ていったのか」
中指をおる。
「そして」
今、犯人を問い詰めるための、僕の手持ちのカードは全部で3枚ある。
最初に、とっておきを切った。
「犯人は君だ」
部員Bを指差す。
謎が解けたという方は、メッセージでお伝えいただけましたら、個別に対応させていただきます。
また、質問などありましたら遠慮なくお尋ねくださいませ。
次回、第四回『解答編 -前編-』は、来週土曜日の朝7時に投稿します(前編では、まだ答えは書かれてませんので、ゆっくり推理してくださいね)。




