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『この小説を同士に捧ぐ』&『戦車』
『この小説を同士に捧ぐ』
薄桃色の和紙で作った花びらを、はらり、はらり、木の根元にまいている。
桜は、まだほころぶのにも早い。
涙でにじむ彼の瞳には、春が過ぎて見えるのだろうか。
けれど・・・
「友よ、その木は、桜ではないよ?」
「いいんだ、こいつらに新しい生き方を提案しているところだから。」
酷い鼻声で、マスクとゴーグル装備の不審者は言った。
『戦車』
春の陽気に誘われた戦車が、直後に爆撃を受けて見るも無残に・・・
って、なんのこと!
それが、ふと小耳にはさんだ両親の会話だということに、さらにびっくり。
「えらく物騒な話をしてるね。」
「物騒?」
父が首をかしげる。
「戦車とか爆撃とか聞こえたけど?」
「うぅ、綺麗に洗ったばかりの車に鳥が・・・」
傍らで、母が、めっちゃ笑ってた。




