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娘に断罪される悪役公爵(37)に転生してました ~悪役ムーブをやめたのになぜか娘が『氷の令嬢』化する件~  作者: 次佐 駆人
第5章 悪役公爵マークスチュアート、王都で暗躍す

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72/129

23 打ち合わせ

「私たちだけで南部大森林へ向かうのですか? しかも遺跡の調査までするなんて……。王太子……いえ、国王陛下ですら2万の兵で向かった場所なのですが、大丈夫でしょうか?」


 俺が少人数パーティで大森林へ行くという話をして、心配そうな顔をしたのは唯一マリアンロッテだけだった。


「実は冒険者時代に少しだけ足を踏み入れたことがあってな。あの大森林は大部隊で行くより、少数精鋭で行った方が踏破しやすいことはわかっているのだ」


「公爵様はお一人で大森林にお入りになったことがおありなのですか?」


「うむ、まあ入口付近だけだがな」


 マークスチュアートは確かに冒険者時代大森林には何度か素材採取に行っていた。ただ非常に嫌な予感がして奥に入ることはしていない。このあたりも有能な男である。


 マリアンロッテはそれで安心したらしい。すると今度はクーラリアが前のめりになってくる。


「獣人族の間でもあそこは絶対入っちゃいけねえってとこになってたんだけど、ご主人様なら大丈夫なんだよな……ですか?」


「無論だ。先ほども言ったように『紅蓮の麗炎れいえん』ローテローザ公とその妹御アミュエリザ嬢、さらには『聖女』オルティアナも同行する。それにお前達も十分に強い。なんの問題もない」


「なんか王国の最強軍団みたいな感じだなですね。腕が鳴るぜです」


「お前達の鍛錬も兼ねている。楽ではないぞ」


「望むところだぜです。オレもミアールも前よりずっと強くなっていますぜ。もちろんお嬢様もすげえですよ」


「うむ、期待しているぞ。ミアールは問題ないか?」


 強くなったとはいっても基本メイドだから一応聞いておく。


 ミアールは背筋を伸ばしてうなずいた。


「はい。お嬢様がいらっしゃるところならどこへでも。スキルもいつくか覚えましたので、十分戦えると思います」


「フォルシーナからも聞いている。ミアールは私から見ても才がある。続けて精進するといい」


「あ、ありがとうございます。ご期待に沿えるよう尽力いたします」


 手を胸に当てて真面目な顔をするミアール。う~ん、わかりづらいけど好感度アップ動作っぽいな。褒めて伸ばすが効くタイプか。頬が少し上気しているのは謎だけど。


「フォルシーナはどうだ?」


 と問うと、それまで考え事をしていたフォルシーナが俺の方に瞳を向けた。 


「まずひとつ、大森林に向かう目的が遺跡の調査というのはわかりましたが、お父様はその遺跡が重要なものだとお考えなのですね」


「そうだ。これから話そうと思っていたのだが、その遺跡には、非常に危険な古代文明の兵器が残っているらしい。その兵器を他の者に使われる前に始末しようと考えている」


「その『他の者』というのは、もちろん王家ということでよろしいのでしょうか」


「鋭いな。アレは人の手には余るものだ。魔族への対抗手段として手に入れるつもりのようだが、そのようなものに頼るようでは話にならぬからな」


「わかりました。お父様の御慧眼ごけいがんにはいつも驚かされていますし、今度のこともその一つなのでしょう。ただ、その古代文明の兵器を止めるのに、私とマリアンロッテ、アミュエリザの3人が必要というのはよくわかりませんが」


 う~ん、実はそれは説明はできないんだよなあ。一応理由みたいのはあるんだが、どっちかというとゲーム的にメインヒロイン3人にフォーカスを当てたかっただけな感じ強いイベントだった。実際古代兵器と3人のヒロインの間にはストーリー的にも設定的にも特につながりはなく、兵器にそういうシステムが組み込まれていて現地でそれが発覚する、みたいな流れだったし。


「それに聖女様が参加されるのもよくわかりません。お父様はもともと聖女様と懇意こんいになさっていたのですか?」


「いや、過去に公式の場で二、三度顔を合わせただけだ。今回聖女オルティアナが同行するのはマリアンロッテ嬢を思ってのことだろう」


「そうですか、それならいいのですが。しかし今回、大森林に向かうのはお父様以外すべて美しい女性ばかりです。これは偶然なのでしょうか?」


 青い瞳の奥に、いきなり氷の輝きをチラつかせてくるフォルシーナ。


 俺は背筋に冷たいものを感じ、ついビクッとなってしまう。


「ん……っ!? それは……言われてみればそうかもしれぬな」


 と答えたが、もちろん俺も気付いてはいた。だけど『オーレイアオールドストーリーズ』というゲームそのものがいわゆるギャルゲーの要素が強かったからこれは仕方ない。だからこそちょいエロソシャゲとして復活したわけだし……などと言えるはずもなく、俺はひたすらとぼけるしかなかった。


「お嬢様、それがご主人様だから仕方ないと思いますぜです」


「お館様は情の多い方ですが、一番はお嬢様とおっしゃっておられますから」


「公爵様の周りに女性が集まるのは仕方ないと思います。わ、私もそうですし……」


 他の3人が微妙にフォローになってないような言葉で援護してくれて、フォルシーナは辛うじて『氷の令嬢』モードには入らなかった。確かに男女比1:7とかいうとんでもギャルゲーパーティだが……誰ともフラグは立ってない、というか立ちようもない年齢差なのでそこは見逃してもらいたいものだ。

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