7章 → 8章
―― インテクルース王国 王都 王城 国王執務室
「国王陛下、ブラウモント・ローテローザの連名で書状が届きましたぞ」
「読むのダルいから説明してくれ」
「ほほっ、承知いたしました。……ふむ、先日ブラウモント公が言っていたこととほぼ同じですな。陛下の即位に後ろ暗いところがあり、また王としての資質にも疑いがあるので退位を求める。その後誰が王になるかは貴族による合議で決める。大体そのようなところのようです。なんとも無礼極まる奏上で」
「黙って従っときゃそのまま公爵でいられたのによ。なんでわざわざ自分から崖下に落ちにいくんかねぇ」
「権力と言うのはそれだけ甘い蜜のように見えるのでしょうな。国王陛下のように、苦さまで知って初めて権力の座につけるというのを知らぬようです」
「ブラウモントもローテローザも甘ちゃんだからな。大人しく娘と妹と、それと金を差し出しておけば楽ができんのにな。まあ逆に言えば王家の力を高めるチャンスか?」
「その通りでしょうな。マルダンフ侯爵らも内通しているという話ですから、まとめて家を潰して領地ごと王家のものとするのがよろしいでしょう」
「ああ、そういやそんな奴もいたな。もともとあそこで終わる予定の連中だったからちょうどいいな。で、軍備の方は整ってるのか?」
「軍備はラシュアル団長が整えましたので6万ほどが動かせますな」
「ああ、あの役立たず女か。ま、それくらいはしてもらわねえとな。そうだな、あの女は先陣を切らせてブラウモントにぶつけるか。逃げられたことの責任は取らせねえとな」
「よろしいのではないですかな。ブラウモント領にはなにやら巨大な兵がいるとの話もあります。ラシュアル団長ならその正体を暴きつつ、ブラウモント公を討ち取るでしょう」
「じゃあ俺はヴァミリオラの方をやるか? 3姉妹全員股を開かせて可愛がってやるのも面白えかもな。ああそうだ、例の古代兵器とやらはどうだ」
「古代兵器は稼働するところを見ましたが、戦場の在り方を一変させるものですぞ。陛下がお使いになればローテローザ軍など簡単に平らげられるでしょう」
「ははっ、そりゃいい。そういやレギルはどうする? ブラウモントに当てるか?」
「戦いたがっておりましたし、その方がよろしいでしょう。軍として精強なのはブラウモント軍の方ですからな」
「まあそうか。ああそうだ、あの役立たず女が戦っているところを後ろからズドンとやらせるのはどうだ? あの『ソウルなんちゃら』ってのはすげえ強力なんだろ?」
「『ソウルバーストボム』ですな。確かにその戦術なら間違いなく勝てるでしょう。しかしよろしいのですか? 最悪ラシュアル団長を失うことになりますが」
「失敗ばっかりしやがるし、あんな堅いだけの女はいらねえよ。だが最後くらい役に立つってもらわねぇとな」
「承知しました。彼女の後釜はこちらで見繕っておきましょう」
「あとはラエルザがさっさと例の剣を持ってくれば完璧だな。多少面倒くせえが、とりあえずこれでこの国は完全に俺のモノってわけだ。くくっ、まあゆくゆくはこの大陸全部が俺のモノになるんだがな」




