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35.ジャンヌ

「いやぁわざわざ案内してもらって悪いねぇ!」

「……別に暇だったからな」



あれから改めて自己紹介を済ませ、路地裏を進む。

聞けばジャンヌは〈ペペロンチーノ海賊団〉というクランのマスターをしているそうで、副マスの副官と、船員…クルーと呼んでいるクランメンバーがあと15人ほどいるそうです。


彼女の容姿は整った顔立ちに気の強そうな目、そして燃えるような赤髪が正に強い女!といった感じで女海賊の衣裳とよく似合っている。なのにニカッと笑う姿は人懐っこくどこか幼げで、そんな所がまたギャップがあっていいと思います。


そしてフロックコートの下から覗くコルセットにより強調された豊かな胸に、ピタリとしたズボンの上からでも察せられる見事な脚線美。


何とも容姿だけでも十分に人を惹き付ける人だけれど、実の所彼女の一番の魅力はそのサバサバとして快活なこの性格なんじゃないかと思う。

こうして少し話しただけでも伝わってくるので、たぶんクランメンバーの人たちも「姉御!」とか「姐さん!」とかって呼んで慕ってるんじゃないかな。知らんけど。



「それにしてもこの辺は入り組んでるねえ。とてもじゃないけど一人じゃたどり着けそうにないよ」

「まァ面倒なプレイヤーに絡まれないように裏へ引っ込んだって言ってたからな」

「え゛っ!?それってあたしが行っても大丈夫かい!?」

「さァな」

「えぇ~……」


ブツブツと「手土産を持っていった方がいいか…?」等と悩んでいる所悪いけれど、多分大丈夫だと思う。そもそも自分も一度買い物をしているし、別に最初から変に警戒されたりとかも無かった気がする。

まぁまた面倒な客に当たってしまったら、再び場所を変えてしまうのだろうけれど。


「よォおっさん、客だぜ」

「あん?なんださっきのあんちゃんじゃねぇか。買い忘れか?」

「いや俺じゃねェ、コイツだ」

「どぉも、あたしはジャンヌってんだ!ちょいと聞きたいことがあるんだけどいいかい?」


ジャンヌは早速おっちゃんに懐中時計や羅針盤を売っている店について聞いている。


そもそもおっちゃんの店は武器や防具、そしてフライパンや包丁などの日用品まで幅広く取り扱っている。

そのどれもが品質が高く、デザインも凝っている。コレってもしや地元のドワーフ族の作品だったりするんだろうか。………もしやこのおっちゃん割と凄い商人だったりします?


しかしここの武器防具は剣や鎧といった金属製品なので、どちらも装備していない私は正直全然興味なかったりするのだけれど、ジャンヌのメイン武器はカットラスという片手剣タイプのようでこちらは目を輝かせて見ている。


「へぇ!お前さんテメェの船作ってんのかい!」

「そうなんだよ!あたしは昔っから自分のガレオン船を持つのが夢だったのさ」

「いいねいいねぇ!テメェの船ってのは子供みたいなもんだからな、大切にしてやるんだぜ?」

「当たり前さね!クルー共々大切にするさ!」

「おう、そうしてやんなぁ!」


ガッハッハ!アッハッハ!と気がついたら物凄く盛り上がってましたね。

若干置いてけぼり感はあったけれど、私は私で見事な細工の施された鍋に夢中になっていたので特に問題はありませんでした。はい。


どうやら無事に船用の小物というか、航海に役立つ道具などが売っている店を教えて貰えたらしく、ホクホクした顔でジャンヌが戻って来た。


「いやぁ待たせちまって悪かったね。でもお陰でいい情報が貰えたよ!」

「そりゃ良かったな」

「ああ!勿論あんたにもしっかりお礼をさせてもらうよ!」

「ドーモ」


なんとも律儀な海賊である。




「さあ、これが今造ってるあたしたちの船さ!」


所変わり、現在とある造船所へと来ています。

さっきチラリと聞こえてきた話の中にジャンヌたちがガレオン船を造っているというのがあったので、折角なので見せてもらいに来たという訳です。


ガレオン船なんて映画か模型でしか見たことないからね、この機会にぜひ実際の船を見てみたいなと。



「おっ姐さん戻って来てたんスか~!」

「何か素材足りなくなりそうって言ってるみたいっすけどどうします~?」

「アレ?姐さん男連れてね?」

「ハァッ!?ちょっ姉御誰っすかそいつ!!」


なんかギャいギャい言ってますねぇ……


「うるさいよアンタら!ジュカはあたしの客だからちょっかい出すんじゃないよっ!」


「へぇーい」

「ウッス!」

「アイアイサー!」

「おけまる~」


下っ端感あふれるクルーたちは適当な返事を返して散って行った。


「悪かったね。あんな奴らだけど気の良い奴らなんだよ」

「そうかよ」


まぁこれくらい適当な感じの方が気楽で楽しそうだよね。

たまにリーダーが信仰対象みたいになっちゃってたりすると、下の連中がそりゃあもう面倒臭い感じになってたりするからなあ……。


自分たちの中で盛り上がるのは勝手なんだけれど、それで周りに迷惑を掛けちゃアカンと思うのですよ。ええ、本当に。


「お、ジャンヌおかえり。探してた物は見つかったか?」

「あぁカインか、ただいま。物はまだだけどいい情報は手に入れたさ」


「そりゃ良かったな。で、そちらさんは?」


チロリ。と目線を向けてきたのは、金髪に薄いブルーの瞳の背の高い優男だった。


「紹介するよ、コイツはジュカ。あたしが欲しかった情報の提供者さ」

「ふーん…そいつはジャンヌが世話になったな。俺はカイン、一応ここのクランの副マスをやってる」

「ジュカだ」


あーハーン?

これはもしかしなくとも牽制されてますね?なんだぁ?お付き合いしてる感じですか?俺の女に手を出すな的なアレですかぁ???


カイン(コイツ)とは昔からの付き合いでね」

「…………へェ」


さてはアレだな?うちの冬華(椿)隼人(ハル)くんみたいな感じだな?

昔からの付き合いっていうのが現実の話なのかそういう設定なのかはわからないけれど、二人は幼馴染みに近い関係であり、カインの方はジャンヌに気がある。しかしジャンヌはそれに気付いている節はなく、あくまで親しい友人止まり。


別の男を近寄らせたくないカインに、生来の魅力で人を惹き付けてしまうジャンヌ。

そんなカインの努力が実っているかどうかは、この〈ペペロンチーノ海賊団〉というクランが出来上がっている所を見れば明らか、と。

………なるほどね?


ニマァ~と嗤う私に気が付いたのか、カインの顔が引き攣る。

いやぁ人の恋路って見ているだけでなんでこんなに面白いんだろうなぁ!


「あァ、ジャンヌが()()()って誘ってくれてなァ。ありがたくお邪魔させてもらったんだ」


ガシィッ!とカインの肩に腕を回し、笑顔で告げてやる。

あ、怒ってる怒ってる。


「そうかそうか。なら俺からも礼を言わないとなぁ?」

「ハッ!別にお前は()()()()んだから、無理しなくていいンだぜ?」

「いやいやいや、関係大アリだからな?()()ジャンヌの仲だしな」

「へェ、お前とジャンヌの仲ねェ~?」


あ~片思いの関係って何でこんなにつつくと面白いんだろうな~?

女の子相手にとかは控えるし、さすがにこれ以上はやらないけれども。


「おっなんだい?アンタたち急に仲良くなっちまって!男共はすぐに打ち解けられて羨ましいね!」




「…………鈍感系主人公か?」

「……………言うな」


どの道カインは苦労しそうである。



その後は二人に制作中の船の内部を見せてもらうことになった。

制作の進行度的には3分の2くらいは終わっているらしい。


初めはもっと小さい船だったらしいけれど、何度か海に出たものの魔物に襲われ壊される、というのを経験したため、ならいっそのことドでかいのを造ってやろう!ということでのガレオン船だそうな。


ちなみに海の魔物といえば、やはりクラーケンだそうです。

とはいってもクラーケンは徘徊型のフィールドボス扱いだそうで、必ず襲ってくるという訳ではないそう。しかしクラーケンが出なくとも一般モブの魔物も十分強いらしく、突撃して船底に穴を開けたり飛び魚のようにジャンプして襲い掛かってくるような敵ばかりらしい。いや海怖すぎ。


そんな危険地帯である海だけれど、そんな中を冒険するというロマンはやはり人を惹き付けて止まないらしい。


ジャンヌたち〈ペペロンチーノ海賊団〉はそんなロマンを求めて旅するクランなのだそうです。

魔物だろうがお宝だろうが、とにかく未知のものを探して冒険するのが楽しいらしい。そして今は新大陸の発見が第一目標なのだと張り切っている模様。


そういう冒険譚は大好きなので、彼らにはぜひとも頑張ってもらいたい。


最終的にはカインとも打ち解け、今回の情報のお礼として新大陸を発見できたら、船で連れて行ってもらうという約束も取り付けられた。

初到達自体には特に興味はないので、安全に行き来出来る航路を発見してくれるまではのんびりと待ってます。






まぁその後何だかんだでカインから恋愛相談されるようになるとは、この時の私は思ってもいなかったのである……

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― 新着の感想 ―
戦利品や回収物にある考古学的な物を買い取るパトロン的な契約するのもありじゃね
鈍感系超えてないかな?超や絶がつきそうなほどのやつ 男だろうと女だろうと鈍感系が厄介な種族よ
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