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29.新しい装備の相談

パルゥとの共闘の感覚を確かめた後は、そのままフュントの街へと向かうことにした。

この道も3度目ともなれば、スムーズに進めるものである。


無事に門の前に着いたのでこのまま牧場まで連れて行こうとしていると、突然横から声を掛けられた。



「わぁ~お兄さんその騎獣のアクセサリー?カッコいいですね!それってどこで売ってるんですか~?私も欲しい~!」

「えっ本当だ~このデザイン結構好きかも!アタシも欲し~~い」



あ~ー……この手のタイプはいい思い出ないなぁ~!

こういうグイグイ来る人たちって大体話聞いてくれないんだよね…。


前回のゲームの時も、有名なプレイヤーだったからという理由だけでやたらSSをせがまれたり、フレンド登録を迫ってきたりしてたんだよな…。

何が怖いって、向こうには全然悪気なんかないところだよね。そしてその後は許可も出してないのに、「有名人と会っちゃった~☆」とか言って勝手にネットに上げるんだよ。それに断ったら断ったでやっぱりネットに上げるんだよ……なんなんだよ本当に………


ハッ!

嫌な記憶がフラッシュバックして一瞬意識が飛んでた気がする!危ない危ない…


「えっていうかお兄さんすごいイケメンですね!ヤバ~~い!あ、私ハルカって言います。折角だしフレ登録しません?私たち最近フュントに着いたばっかりなので、よかったら一緒に街の中とか見て回りたいなあ~」

「うんうん、それいいじゃん!あっアタシはミナで~す、ヨロシクね!ってかアタシお兄さんめっちゃタイプかも!そうだ、3人で一緒にSS撮ろうよ!やっぱりゲームって言ってもこういう出会いは大切にしていきたいじゃん?」



あ゛ぁ゛~~ーーーー!!!!

この相手の意見は聞かずに自分の意見だけを押し付けてくる感じ!地雷ですぅ!!!!


何が出会いは大切にしたいだぁあ?ただのナンパなんだよなあ~~???



「断る」



もう色々と無理すぎて蕁麻疹出てきた気がする。

いや別にそこまでアレな絡まれ方をされた訳じゃないんだけれど、今はまだちょっとこういうのに対して過敏というか何というか……

そもそも残念ながら中身の性別が女だからなあ…いくらこの二人組が可愛らしい容姿をしてるといっても何もグッとこないからなぁ。


なので牧場まで行くのは諦めてその場でパルゥを送還する。

ごめんよ……というかパルゥもいきなり撫でられそうになって普通にキレてたもんな。


そして「えっなんで!?」とか「ちょっひどくない!?」とか言っている二人組は無視してさっさと転送装置へと向かう。



あ~~~ハッキリとNOと言えるって何て素晴らしいんでしょう!

ジュカにして良かった!!




戻って来ましたヤヌルカの街。


面倒な出会い厨のことは忘れて、ゆっくりとゲームを楽しもう。

ヤヌルカに戻って来たのには勿論理由がある。


椿たちにパルゥの騎獣装備を見せて自慢……ゴホンッゴホンッ、ではなくこれに合わせた装備へと新調してもらうためである。


できればパルゥとお揃いのアクセサリーとか着けたい。

きっとあの3人なら大喜びで作ってくれるとは思うのだけれど、果たしていくらになるのか………そこが問題である。


あ、そういえばギルドに行こうと思ってたんだ。…………別に後でいっか。



──カランカラン

「よォ、椿いるか?」


「おっジュカやん。お陰様で儲けさせて貰ったわ!椿なら奥に居るで」


本日の店番はキャロさんらしい。

軽く手を上げて挨拶しながら奥へと向かう。


「椿」

「ジュカくん!いらっしゃい!どうぞ座って座って!」

「あら、ジュカくんいらっしゃい」


一緒に作業をしていたらしいユリさんにも挨拶をして、椿がいそいそと席を勧めるので遠慮なく座る。


「今日はどうしたの?ハッ!もしかして装備の新調!?いいよいいよ!私に任せて!!」

「ちょっと椿、落ち着きなさい?で、どういったものがいいのか希望はあるのかしら?」


この二人も相変わらずグイグイ来るな……

でもさっきの二人と違って不快にならないのは、勿論この人たちの人柄を知っているというのも大きいけれど、最終的には自己中心的な考えなのかどうかって所な気がする。

この二人もグイグイとは来るけれど、あくまでも私の意見を聞き入れた状態からの提案、という形なので不快になるようなことは殆どないのである。まあたまに暴走したりもしているけれど。


そもそも信頼関係も何もない相手に対して、相手の迷惑も考えず自分の意見ばかりを押し付けてくるのは如何なものかと。


「ジュカくん?どうかした?」

「紅茶でも淹れましょうか?」


二人の気遣いにホッコリする。


「いや、なんでもねェよ。つかコレ」

「あら珍しい、ジュカくんの撮ったSSですか?」

「!?こ、これは…………っ!!!!」


椿がガバッと送られたSSを覗き込む。

ユリさんも真剣な目で見つめている。


「ま、まさかコレって……」

「あァ。俺の騎獣だ」

「ふぅーーーーーっ。褐色猫耳イケメンと黒い大型猫種ね………オーケー大丈夫よユリ、まだ慌てるような時間じゃないわ」

「ちなみに今はコレを着けてる」


実は最初に見せたSSは装備を着けていない状態のパルゥさんである。

ふふん、どうかね?うちのパルゥさんとその装備の組み合わせは。正に神懸かっていると言っても過言ではないでしょう!


「!?!?!?!?」

「あ~~~困ります!!困りますお客様!!そんなエキゾチックなアクセサリーを着けた騎獣なんてジュカくんと似合い過ぎてしまいます!!あ~~困りますう~~~!!!!」


ユリさんは頭を掻き毟っているし、今日は静かだなと思っていた椿は目を血走らせながらSSをガン見していた。二人とも怖いよ。


「ちょお何やねんあんたら。店の方まで叫び声聞こえてきたで」

「ハッ!そうだ、ロック忘れてた!」

「うっかりしてました。すみません……」


キャロさんの鶴の一声で、何とかその場は落ち着きを取り戻した。



「はぁーーー騎獣装備なあ。またえらいもん見付けて来たなぁ」

「ヒィン。神、神過ぎるよおぉ………」

「この組み合わせは卑怯。さすがに許されない。嘘、許した。むしろ愛してる。ありがとう、ありがとう………」

「さすがにそろそろ落ち着きぃや、あんたら」


落ち着きを取り戻したと思ったのは気のせいだったようだ。


「で、これに合わせた装備が欲しいんだが…」


「作る作る作る!絶っっっ対作る!!!!任せて!!」

「ふふん、腕が鳴るやん。任せとき!」

「ハァハァ……っ!身命を睹して作り上げますわっっ!!」


ユリさんの決意がやたらと重めな気もするけれど、こうして二つ返事で作って貰えるのは素直に嬉しい。


「てゆーかこの装備マジで精巧な作りやな。できたら実物見たいんやけど?」

「別に構わねェが、ここじゃ騎獣喚べねぇだろ」

「あっそうか、貸し店舗だと出せないんだっけ」

「まぁここもそこまで広くないですからね~」


とりあえず実物を見せるのは又の機会にということにして、デザイン案を決めていく。


「このデザインってやっぱり古代エジプトの装身具がモチーフだよね?」

「そうですね~。とすると今回もやはり布装備……絹とかサテン生地もいいもしれませんね」

「それやとちょっと重めな印象にならへん?ここは敢えてリネンにして風に靡く軽さを求めてもええと思うんやけど…」


「「あ~~~なるほど……」」


アクセサリーは基本パルゥのものを踏襲するので、服のデザインと素材をどう組み合わせるのかで盛り上がっている。

この辺は私はノータッチなので、基本姉たちに任せている。

ユリさんが淹れてくれた紅茶を啜りながら傍観していると、ある程度の方針は決まったようだ。


「うんっ!まずは現地で素材を確認しながら最終決定しよう!」

「せやな、実際に実物を見てみな分からんこともあるしな!」

「そうしましょうか。では、出発はいつにします~?」


3人の視線が一斉にこっちを向く。

えっ?何の話です???


「何の話だ」

「いや何も聞いてへんのかーーーい!」

「材料の調達と、ジュカくんの騎獣ちゃんの装備確認も兼ねてドーラまで行こうかって話だよ!」

「ドーラは貿易の街とも呼ばれていますからね~。世界各地から色んな物が集まってくるそうですよ」

「へェ、そうなのか」

「中には他国からの輸入品もあるらしいで?」

「何か珍しい素材とかあるといいねー!」

「でもさすがに私たちだけだと戦闘が心配なんですよね~。なので護衛よろしくお願いしますね」


なるほど、そういう話でしたか。


「あァ、構わねェぜ」

「やったね!ジュカくんとデート!」

「いや、うちら二人のことも忘れんといてや」

「うふふ。ジュカくんハーレムですね~」


確かに3人ともタイプの違う美人さんなので、これは紛れもなくハーレムであろう。……セクハラで訴えられてBANされないように気を付けねば。

 


「あんたら外ではジュカにセクハラして通報されんように気ぃ付けるんやで!」


「「………はぁ~~い…」」




どうやらセクハラされそうなのは私の方だったらしい。

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知らん人間より知ってて変態な人間が信用できルもんなァ…
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