28.騎獣装備と新たな称号
で、伝説級だとぅ………!?!?
お、落ち着け私、ほらあれだ、ここは遺跡なんだし、そりゃあ伝説級のお宝ぐらいあるでしょう。うん、きっとそうに違いない。
ふぅーーー………
え、これ本当に貰っても大丈夫なやつ?呪われたりしてない?
えっ?えっ?と表には出さないものの、内心で軽いパニックになりながら受け取った装備を眺める。
そもそもどちらかと言えば、装備品というよりは装飾品である。
巨大な首飾り……というか襟飾りかな?よく古代エジプト人の壁画とかに描かれている装身具っぽい見た目。それと腕輪(足輪?)が4つ。
襟飾りは金を大量の円筒形ビーズにして何段も重ね、その両端を大型のビーズで固定している。さらには間に宝石やら魔石やらを嵌め込むことで、非常に精巧で美しい装身具となっている。
さらにこれが二本あって首回りと前足の後ろ、付け根あたりに装着して、ズレないようにか胸元を方形の装飾品が繋ぐ形になっている。
あれだ、馬に着ける道具の胸がいというのにちょっと似ているかもしれない。
腕輪も言わずもがな、こちらはリューヒカイト語で言うところの“聖なる文字”が刻まれていて、装飾品としての美しさだけでなく護符としての役割もありそうである。
チラリとパルゥさんを横目で見れば、「さぁいつでもどうぞ?」と言わんばかりにお利口さんなお座りをしている。心なしかドヤ顔をしているようにも見えますね。
この薄く模様が浮かび上がる美しい黒の毛皮に、この装備が似合わない訳がないんだよなあ~~~!!!!!!
装 ・ 着 ! !
あーーーはいはい、わかってましたよ。
もうこれってパルゥさんの為に作られたんじゃないの?ってくらい似合っちゃうなんて、もう着ける前からわかってました。
やれやれ……
SSを撮る手が止まりませんね!!!!
・
・
・
はぁ~満足した。
パルゥもとっくに飽きて夢の中ですわ。
というか装備してからわかったんだけれど、これパルゥのステータス上がってますね。
敏捷と攻撃力に補正が掛かってる…。
敏捷は分かるけれど、攻撃も?んん?一匹でいるときに魔物と対峙しちゃった時用、とか?
そんなことあるぅ?騎獣になったら特殊な状況を除けば、基本は牧場に送還するだろうから一匹で魔物と対峙することなんて無いと思うけど…
ハッ!これってもしや騎獣に愛想を尽かされるとお別れすることもあるよっていう示唆なのでは……!?!?
あ、あり得る。
好感度が設定されている以上、マイナスに振り切ったら絶対に逃げられるんだ…!
だからこその攻撃補正。果たしてその牙が向けられるのは魔物なのかプレイヤーなのか……
唐突に知ってしまった衝撃の事実に震える。
いや勿論パルゥは大切にするけれど、より一層愛情を注いで行くことをここに誓いたいと思います、はい。
◇
とりあえず調べたかったことは粗方調べ尽くしたので、そろそろ街へ戻ろうと思います。さすがにベッドが恋しい。
RFOの不便な所といえば、フィールド上から街へは直接転移する方法がないという所だろうか。
もしかしたらその内魔法とかアイテムで転移できるようになるのかもしれないけどね。ゲームでは定番だし。
しかし現状は地道に移動するしかないので、この見た目も能力もツヨツヨになったパルゥさんで街まで戻るとしますか。
とはいえ一度はどこかで野営を挟まないといけないので、中々面倒な道のりである。
遺跡周辺の敵は、この一週間で大分戦い慣れたお陰で苦労することなくサクサク進めている。
パルゥに乗ったまま敵の背後まで移動して、そこからは降りて戦う。一々降りる動作が面倒だけれど、最初の一撃をほぼ確実に不意打ちで決められるのは大きい。
パルゥ様々である。
あまりにスムーズに狩れると調子に乗っていたらしく、気が付いたら周辺をぐるぐるしていたみたいで全然進んでいなかった。
仕方ないのでパルゥの要望もあって、最初に会ったあの小さな泉の近くで野営することになった。
いやだからここはセーフゾーンじゃないんですけど…
まあ幸いログイン時間にはまだ余裕があるので、暫くはここで休憩をしてから街へ出発でもいいかな。
おそらくここの魚はパルゥの好物なんだろうしね。次は港町らしいドーラを目指してもいいかもしれない。美味しい魚介料理を食べに行かねば。
休憩もかねて釣糸を垂らす。
それと休憩にコーヒーは欠かせないので、焚き火をセットしてお湯も沸かそう。
焼き魚…は別にいいかな。パルゥは生でバリバリ食べるし、正直準備が面倒。というかまた塩を買うの忘れていたし。
コーヒーを飲みながら釣りを続けること暫し。
自動回復スキルによってジワリジワリと回復していたHPとMPも、ようやく満タンになりそうである。
もう一匹くらい釣れたら出発しようかな、と思ったその時──
《特定の条件を満たしたことにより、称号【共に歩む者】を取得しました──》
おや?称号とな。
早速詳細を確認してみると、
【共に歩む者】:騎獣と共に歩むことを決めた者に与えられる称号。
騎獣が戦闘に参加するようになる。
おぉぉ!パルゥと一緒に戦えるようになるのか!!
え、めっちゃ嬉しい…そして助かるぅ。
しかし“共に歩むことを決めた者”とは?
そりゃ共に歩みますけども……
あ、あーヘルプ追加されてる。
なになに……ログインしてる間、現実時間での24時間一度も騎獣を送還せずに共に過ごすことが条件、と。
はあ~~成る程ね。
確かにここの所ずっと一緒にいましたね!
あれか、普通は街へ行く度に送還しちゃうから、中々この称号に気が付かないのか。
ということは、遺跡に籠る前にパルゥと出会えてたのはラッキーだったんだなぁ。
あっということは、この騎獣装備ってこの為のやつだったんだ!?
裏切られた時の制裁用とかじゃなかったんだね……なんだ騎獣も戦闘に参加するようになるからこその装備だったんじゃん、良かった~。
って本当にそうだろうか。
制裁用の可能性もなくはないような……
いや、やめておこう。パルゥと仲良くしていれば何も問題はないさ。
……ないよね?
若干の不安は残ったものの、パルゥが戦闘に参加出来るのはとても喜ばしいことである。
「試してみるか……パルゥ、行くぞ」
「GAルゥ!!」
称号のお陰か、気が付いたらパルゥの使える技が見れるようになっていた。
【噛みつき】
【爪攻撃】
【隠密】
おぉ。予想通りと言えば予想通りなんだけれど、隠密も使えるのか。
微妙にタイプが被っている気がしないでもないけれど、ほら、パルゥは物理、ジュカは魔法だから!近接と遠距離だし丁度イイネ!
まあ敵が単体ならよさそうだけれど、複数だとどうだろうね…?といった印象。
物は試し!とフュントへ向かう途中にいる魔物たちで実践してみることにしますか。
「ギャンッ!!」
「ガウゥッ」
「グルルル……ッ!」
森と草原の境には草原狼が沢山いる。
ワイルドドッグの時もそうだったけれど、魔法が使えない相手であれば木の上にいれば完封出来る。
しかし地上戦だと中々そうは行かない。
油断するとすぐに囲まれタコ殴りにされてしまう。
──お、丁度良さそうな3匹のグループがいるね。
まず基本はパルゥと私が対極になるように位置取りする。
そしてパルゥが隠密で身を隠したのを確認したら、魔法で攻撃開始である。
「ギャウッ!!」
不意打ちも問題なく決まったようで、脚をもたつかせてフラついている。
周りにいた残りの2匹のヘイトもこちらへ向いた所で、背後からパルゥが強襲する。
グシャッという音と共に最初の1匹が潰れる。
近くに来たパルゥにヘイトが移り、残りの2匹がそっちへ襲いかかるのをパルゥがバックステップで華麗に躱す。
今度はこっちのヘイトが外れたので、すかさずランスを撃ち込む。
パルゥも私もヘイトを管理するようなスキルはないので、攻撃のたびにヘイトが入れ替わって行く。私たちの間で右往左往する魔物を翻弄するのは中々楽しい。
「おいおいどこを狙ってやがる、ォラッこっちだ!」
「グRrァッ!」
距離を詰められれば杖で弾き飛ばし、飛ばした先でパルゥが囓りつく。
うん、3匹程度であれば問題なさそうかな。パルゥとの共闘も結構楽しい。
それでもやっぱり複数相手は3、4匹が限界かな。5匹を越えると厳しいし、そうなると私にもパルゥにも敵が分散してしまい、各個撃破しなければいけない状況になってしまう。
うぅん、やっぱりタンク役が必要かなぁ。
……いやでも、もう暫くの間はパルゥと二人でいいか。
敵をおちょくりながら倒すのがとても楽しいです。




