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正道こそ王道  作者: マスター
05.来訪者
62/66

60:裁きの時

執筆が捗らず、遅くなり申し訳ありません><



 『ジェネシス』の戦闘開始の狼煙のろしは静かに上がった。


 騒ぎが起これば、法王庁直属の部隊や13使徒まで導入される可能性があったため、事の露見は可能な限り避けた結果だ。後方支援部隊により、伯爵家は完全に隔離される。


 物理的は勿論もちろん。多重の結界魔法や幻惑魔法を用いて外から見る分には何の変化も見られない。並程度の魔法使いでは、気がつく事すらできない隠蔽工作がされている。


 そんな静かな伯爵家のある敷地は、血の海が出来上がっている。


 その血の海の元となった者達――伯爵家が、雇い入れた傭兵達。女伯爵は、奴隷を連れ出すような愚かな行動を二度とさせないため、警備には一層力を入れていた。だが、その結果、死人が増える結果になった。


 伯爵家が雇った者達は、確かに実力は悪くない。平均水準より上の者達ばかりだ。だが、それは対モンスター相手を想定した強さである。『ジェネシス』のように対人戦闘を主眼に置いた戦闘集団相手には、時間稼ぎの駒にしかならない。


 不老不死という特性を持っているミーミルですら、相手にしたくないと言える程の猛者達がダース単位で襲撃をかけている。一人一人、卓越した技術を持つ。殺しの見本市となった伯爵家、その業界の者達からすれば盗みたい技術の宝庫であっただろう。


 そんな虐殺シーンを遠目で見るミーミルは、改めて理解した。一国の国王である父親がダオスとの交際に対して非常に前向きである事を。これだけの戦力を持つ『ジェネシス』と縁を結べるなら悪くないと思うのは、当然だと。


………

……


 コツコツと大理石でできた廊下が良い音を立てる。


 ミーミル含むダオスの両親が伯爵家の地下を闊歩かっぽしていた。野獣、美女、幼女という理解に苦しむ組み合わせだ。そして、又一人、死体が増えようとしている。


 ダオスの母親によって胸ぐらを掴み上げられた男性が恐怖のあまり錯乱している。たった三人を相手に、地下に詰めていた者達が、ボロ雑巾のようにされてしまったのだ。その一端を担った女性を恐怖するのは当然だ。しかも、碌な死に方が出来ないのは、床に散らばる肉と骨を見れば明白であった。


「た、助けてくれ。俺には息子がいるんだ。頼む」


「奇遇ね。私も息子と娘がいるのよ。でも、貴方達が原因で、私の可愛い息子が大怪我したのよ。……お別れです。舞いなさい―"(トルネード)"」


 その瞬間、床より舞い上がり室内の空気が吸い上げられる。


 鎌鼬により、皮、肉、内臓がそぎ落とされ、鮮度抜群の白骨死体ができあがった。防具の留め金を破壊し、生身となってしまえば、人間など肉塊と大差ない。


 ダオスの母親は、NOUKAとして酪農も営んでおり、牛や豚、モンスター……人間に至るまで綺麗きれいさばき出荷している。そして、親族が経営する焼き肉店などで振る舞われる。世の中、色々な種族や人種がおり、人肉を好む特別なお客様には大層重宝されるお店である。


「どんな精密制御したら、あんな芸当ができるようになるのかしらね。クーラお義母様を怒らすと怖いわ」


 ダオスの母親、クーラ・ベルトゥーフ。高位聖職者の様な法衣を身にまとい高貴な雰囲気を漂わせる黒髪の若々しい女性である。とても、40代には見えない。家事万能であり、戦闘までこなせる主婦の鏡だ。ダオス同様に、身内にはトコトン甘い。


 ミーミルは、その技量を褒める。単純に魔法を行使しただけでは不可能なほどの芸当。少なくとも、ミーミル自身は、修練を積んだ押しても同じ芸当は出来ない。


「肉を捌くのは、魔法を使った方が早いわよ。はやく、温存している戦力を出して欲しいわ。死霊魔法の使い手が作った駒なんて、早々お目にかかれないから楽しみだわ。でも、お父様曰く……生前と同様の能力を有する 又は 死体に誰かの規格化された人格を移せる可能性があると言っていたわ」


 『ジェネシス』は、洗脳魔法で送り込んだ先兵より既にある程度の情報を収集出来ていた。そこから、ダオスの祖父であるセイヤは、能力を推察していた。


 どちらにせよ、常識の域を離れた能力である。死霊魔法を使うエスカロリオを知っている為、そのような事が本当に可能なのかミーミルは疑問に思っていた。


 後者の技術に至っては、第八研究所で実用目前までこぎ着けていた。人造人間を製造し、記憶転写を用いた様々な研究が進んでいる。しかも、その目的がエロい事であり、情熱も予算も素晴らしい事になっている。



 ミーミル一行は、アイシャが監禁されている部屋の前にあるホールまで到着した。地下に作られたこのホールは、本来の利用目的は人目をはばかった周回をする場所で有り、権力者特有の腐った雰囲気が充満している。


 そこの守りとして5人の者達が待ち受けていた。死霊魔法の先兵では無く、生きた者達だ。今まで倒してきた雑魚とは違い、身に纏う雰囲気からそれなりの実力者であろうとミーミル達は確信していた。


 にらみ合う両者。


「外れたなクーラ。当たりを引いたのは、他の者達だ。さて、ミーミルちゃん――すこし、下がってなさい」


「ゾットおじ様、お手伝い位は致します」


「いいのよミーミルちゃん。旦那にも、いい格好させてあげて」


 加勢しようとするミーミルをクーラが抱き上げて、付近の椅子に座る。人前では気恥ずかしいミーミルではあったが、死人に口なしだ……誰にも言いふらされる事は無いので諦めた。


「こっちも仕事でね。一人でも全員でやらせて貰うぜ」


「――ミーミルって!! 『ゴスペラーズ』のミーミル・ギャランドゥじゃない!?」


 簡単に素性がバレたミーミルは、顔から火が出るほど恥ずかしかった。いい年した女性が、膝の上に載せられて子供のように扱われているのだ。同性の目から見ても痛々しい事この上ない。幸いなのは、フルフェイスヘルムのおかげで顔が見られていないことだ。


「ほら、ミーミルちゃん、手を振ってあげないと有名人なんだから」


 フリフリ


 この時、クーラは確信していた。ミーミルちゃんを弄るのは面白いと。よって、腕を持ち、力づくで腕を振るったのだ。可愛い子は、虐めたくなるという思春期かと言わんばかりの理論。


「"(ちか)い"持ちだ。やってやれない事はない。それよりも、このオッサン、やばい臭いがプンプンする。参加しないのなら、こちらとしては有り難い。――ハインド・シャーロック。『サリウス』の血盟主をやっている。女伯爵には血盟ごと雇われたんだが、割の良い仕事だったんだが~」


「ゾット・ベルトゥーフ。『ジェネシス』という組織に所属している。名乗られた手前、礼儀に応えたが……聞かれた以上は、死んで貰う」


 ダオスの父親であるゾット。身長2mに届くほどの巨漢であり、両手に持つ大型の麺切り包丁が恐ろしいほど威圧感を漂わせる。身に纏うハーフプレートの合間に見える肌には鍛えられた筋肉と無数の傷跡が残る。


 ミーミルは、口にはしないが……サクラが母親似で良かったと思っていた。


「『ジェネシス』って、嘘でしょ。流石に」


 『ジェネシス』の名前が出た瞬間、ホールの守りについていた者達全員の顔つきが変わった。謎であった襲撃犯が割れたのだ。伯爵家を襲うなど正気の沙汰ではないが、襲っている連中が国家の闇と称される集団なら納得の一言である。


 事実、そんな連中に襲われるようなネタを女伯爵は持っていた。制御輪を付けた奴隷達だ。護衛のハインド達も昨今巷を騒がせている奴隷商襲撃犯が誰なのかは分かっていた。自らの雇われ先に制御輪を付けたままの見目麗しい奴隷達が居れば誰だって理解できる。


「貴方達には悪いけど、本当よ。ギャランドゥの王女である私が保証するわ。それとね、よそ見していると死ぬわよ」


 ゾットが持つ包丁が赤くなり熱を帯びる。その刃で焼き切られた切断部は、出血こそしないが、魔法および外科的技術をもちいても回復する事が難しい傷を残す。


「クーラお義母様、今のうちにアイシャを助けに行きませんか?」


「そうね。ここは、旦那に任せても大丈夫でしょう」


 ミーミルは、誤算してしまった。


 この時、膝の上から解放されると思っていたが……ぬいぐるみの様に持たれたまま移動される結果になろうとは計算外であった。しかも、この状態で囚われの妹であるアイシャと再会するなど、悪夢である。帰省した際にネタにされることは明白であった。


「あ、あのクーラお義母様。降ろして頂いてもいいんですよ。重いでしょうから」


「い・や・よ!! 軽いから大丈夫よ。それに、こっちの方が面白そうだから」


 逃げだそうとジタバタするミーミル。だが、クーラの拘束は解かれず奥の部屋へと連れて行かれる。その道を阻む者は居ない。ホールの護衛は、ゾットから目を離せない。目を離せば、一刀の下、切り伏せられる事が分かっていたからだ。


 クーラは、監禁部屋の扉の前にきて、入り口脇にあった花瓶を床に落とした。


 ガシャンと背後から聞こえる音が戦端を切る。


◆◆◆


 重機で工事でもしているかの様な破壊音が響く最中、ミーミル達が監禁部屋に到着した。感動の再会を果たすもアイシャに、怪訝な顔をされるミーミル。ぬいぐるみ抱きをされて、登場する姉の姿に思わず、自分も抱きたいと言わんばかりにワキワキしている。


「ミーミルお姉様……何をなさっているんですか?」


「アイシャちゃん、こんなに大きくなって!? なるほどなるほど、昔の面影あるわね。それに可愛いわ。ミーミルちゃんが大きくなったら、きっとこんな感じなのかしらね」


 クーラが、アイシャをぺたぺた障り、抱き上げる。右脇にミーミル、左脇にアイシャと両手に花の状態だ。ミーミルは見た目10歳の幼女。アイシャは、実年齢は20半ばだが……見た目16歳程度である。


 あまりの唐突な事に戸惑うアイシャであった。


 『ジェネシス』という国家の闇と称される集団が来るのだから、凶悪殺人犯みたいな面構えの者が来るかと思えば、高貴な奮起を醸し出す淑女が来たのだ。


「あ、あの~、つかぬ事を伺いますが……『ジェネシス』の方でしょうか?後、出来れば夫も見ていますので、離して貰えませんか」


「あら、覚えていないかしら。昔……といっても、だいぶ小さい時に会っているんだけど。残念だわ」


 本気で残念の様子のクーラ。可愛い娘分に覚えられていない事にショックを隠しきれない。そのしわ寄せは、抱きかかえるミーミルの鎧へと向かった。ミシミシと悲鳴をあげ、圧迫感からミーミルがもがく。


「アイシャ。こちらの方は、クーラ・ベルトゥーフ様です。ダオスとサクラちゃんのお母様で……元法王様の御息女様になります。失礼のないように」


「お母様は、昔偉い人だったみたいですけどね。私は、ただの主婦よ。気にしないでちょうだい」


 ただの主婦が、国内でも上から数えた方が良い実力を有する国家なんて、あり得ないでしょと誰しもが思った。それに、只の主婦が、伯爵家を襲撃するはずもないと言いたかったが言葉を飲んだ。


「クーラ様、アイシャ共々、私達の救出ありがとうございます。正式なお礼は後日させて頂きたいと思いますので、とりあえずここから脱出いたしませんか?」


 アイシャの旦那であるシュバイバルがお礼を述べた。どのような経緯があったにせよ、助けだされた事には変わりないのだ。


「それもそうね。こんな息苦しいところに、長い間監禁されていたんじゃ大変だったでしょう。外の空気を吸いに行きましょう」


 妹のアイシャを助けにきたミーミルだが、クーラの腕から脱出できずアイシャに助けを求める。だが、その救いの神は居なかった。姉としての威厳がゲシュタルト崩壊するのを止めることはできない。


 監禁部屋の外へ一同が出ると、ホールは無残な姿となっていた。廃墟といっても納得がいくほどにボロボロとなっている。


 ホールを守っていた護衛のうち二人が壁や床のシミになっている。焼き切られており、部屋は香ばしい焼き肉の臭いで腹を刺激する。人間の肉が焼けても、動物の肉が焼けた臭いと大差ない。


「いつまで、遊んでいるの帰るわよ」


「まだ、そっちの部屋に入ってあまり時間が経ってないだろう。それに、連携とかでな……」


 ゾットは、真面目にやっていた。だが、迎えに入った部屋から出てくるのが早すぎたのだ。如何に、対人戦闘力に優れていても人数や相手の腕前次第で時間が必要になる。それに、この短時間で二人を仕留めている時点で褒められるべきである。


 このホールを守っていた者達は、監禁されているアイシャを逃がさないための砦でもあり、1級探索者と2級探索者の実力を有する者達で構成されていた。決して弱くない。


 そこで、ミーミルが閃く!! 姉の威厳を取り戻す絶好の機会を!!


「クーラお義母様、どうか、姉としての威厳を取り戻すチャンスを!! ゾットおじ様、一匹だけは残しておいてくださいね」


「おじ様……聞こえないな。お義父様なら聞こえるかも知れない。――契約の名の下に来たれ僕――食人植物マンイーター"召喚"」


 床が裂け、二階建ての建物ほどある毒々しい植物が生えてきた。チューリップのような花弁を持つが、モンスターらしく歯を兼ね備えている。甘い香りで対象を誘惑して誘い込み、がぶりと丸呑みにする。


「1級モンスターのマンイーター!? あれって人語を理解できないから飼い慣らすのに不向きなはずなのに」


 人気のない山奥に生息する凶悪な植物系モンスターが召喚される。床に根をはり、餌である人間に目を付ける。NOUKAで泥棒避けとして飼い慣らされている。


 今更になって召喚魔法まで持ち出したゾットには、ある計画があった。クーラだけ、お義母様と呼ばれて自分がおじ様と呼ばれることを実は気にしていた。この機に乗じて、お義父様にクラスチェンジを企む凶悪犯に似合わぬ頭脳である。


 護衛からの攻撃を捌き、カウンターを入れつつもミーミルの方をチラチラ見てくるゾット。凶悪犯の顔つきの男が幼女に期待の眼差しを送る……『ギャランドゥ』なら、間違いなく逮捕案件だ。


「ゾットお義父様!! その女、私が殺すから頂戴」


「貴方、いい年して恥ずかしくないの!? こんな可愛い子にお義父様とか無理矢理呼ばせて」


 自分の旦那が、あまりに恥ずかしい事を人前で平気でするのでクーラは他人のふりがしたい程であった。だが、クーラとて人のことは全く言えないが……似たような事をミーミルに強要した事など既に記憶の奥底にあるのだ。


「クーラだって、同じ事をやっていただろう!! それに、おじ様の響きもいいがお義父様の方がいいだろう。常識的に考えて」


「私は良いのよ、同性だから。でも、男性が女性に強要するのはセクハラよ。訴えられるわよ」


 世の中の真実を伝えるクーラ。世の中、女性は許されて男性は許されない事は多々ある。例えば、女性は男子トイレや男湯に入れるが、その逆は不可能だ。呼び名に関しても、見た目幼女のミーミルにお義父様と呼ぶように強要するのは、世間一般で言えば十分セクハラである。


 悲しい事にコレが現実だ。


 今までのやり取りをみて、ミーミルの威厳が回復する事は決してないと思っているアイシャ達。だが、それを口に出すほど野暮やぼでもなかった。


「『ジェネシス』のイメージが一変したな。なんだか、仲良くやっていけそうな気がしてきた」


「私も全員を知っているわけじゃないけど、少なくとも会ったことがある人達はとてもいい人達よ。でもね、やっぱり強さが規格外の人達なのよね」


 1級探索者と思われる者達の攻撃をいなしながら、会話を楽しむ者達。


「ゾットお義父様、クーラお義母様。相手は、此方と同じく三人。仲良く、分け合いましょう」


 ミーミルの屈託のない笑顔に、ダオスの両親も賛同する。1対多ですら、蹂躙されていたのに、同クラスの化け物が同数相手となれば、最早戦いにならず。辞世の句を考える護衛達であった。



◇◇◇


 伯爵家が襲撃された数時間後……ダオスの目の前に、意識こそあるが見るからに重傷の患者が1人運ばれてきた。尤も、同じ重傷であるダオスは、痛覚を麻痺させて立ち上がり手術室にいる。


 患者は手足が射貫かれており、回復魔法では治せない程の傷を負わされている。こうなると、外科的手術で手足を付け替える他に手立てはない。


「叔母様のサジタリウスの矢ですかね。抉られた箇所がポッカリ空洞になっています」


「そうだ。相変わらず、おっかない攻撃だった」


 魔力を矢の形状で放つ事ができる魔弓。膨大な魔力を利用し、上空から雨のように矢を降らし、爆撃で広範囲を殲滅する。何より、矢という物質的な制限が存在しない為、物理法則から開放された矢は、『ジェネシス』においてもトップクラスの殺害能力を持つ。


「それで、セイヤお爺様。このナグモ・セイジという男、殺さないのですか? 殺害する為に、一族総動員されていたと理解しております」


「無論、殺す。生かしておく価値はないからな。だが、襲撃に参加できなかったダオスは、些か鬱憤が溜まっていると思ってな。生かして持ってきた」


 本当に、生きているのがぎりぎりの状態だ。何も処置をしなければ、もうすぐ死んでも可笑しくないほどの怪我だ。


「そうですね。自らの力不足もありましたが、やはり一族揃っての仕事に参加できなかったのは心残りがあります」


 ダオスは、用意した自前の拷問器具を光にかざす。器具の輝くような美しさは、使う者にとっては、この上なく最上の状態である事を示している。だが、これから使われる者としては、恐ろしくて糞尿を垂れ流しそうになる。


「い、いやだぁ……助けてくれ。頼む」


「残念だな若僧。お主は、些か派手にやり過ぎた。奴隷商襲撃で何人が死に、何人が首を吊ったと思う? その報いは受けなければならないだろう。安心しろ、既に奴隷達もあの世で待っている」


 来訪者によって、連れ出された奴隷達は、全て首だけになって売り主の元に配送されている。『ジェネシス』の襲撃や知らないで良い情報まで知っている可能性もあり、アイシャ達を除き誰一人とて生存者はいない。


「セイヤお爺様。もう一人、洗脳魔法を使った者はどうしました? 回復魔法が使えたと記憶しております」


「そいつなら、我々に密告した事がバレて突入時には、暴行されて血祭りにされていた。全く、酷い事をする連中だ」


 ダオスは、肩を落とした。長くいたぶるのならば、回復魔法を併用した方が良い。"麻痺(パラライズ)"で痛覚を麻痺させても、死に体の来訪者の限界が近いのは目に見えていた。


「そうですか。新薬も試したかったのですが、別の機会にします。――さぁ、喜べナグモ・セイジ。贖罪の時間だ」


「いやだ、いやだ!! たのむ」


 必死に許しを請う来訪者をダオスは無慈悲に切り刻む。


 神経を取り出し刺激を行う。ドコが一番痛いのか、どうしたら痛みが続くのか……ダオスは怠らない。自らをより高みにするため、今日も悪を捌く。


話の構成は頭あるけど、書き下ろすと時間がかかるこの頃…モチベーションよ!!燃え上がれ~


ダオスの両親のイメージは、こんなキャラ風に考えています。

父親は、ベルセルクのゾット

母親は、KOFのゲニ子

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