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正道こそ王道  作者: マスター
04.勇者
34/66

33:勇者適正

新章は、勇者編になりました!!

作者がおもう勇者像を露わにしてみようかと@@


33話だというのに、話があまり進んでいない気もしてきたぞ。

本当に終わるのかこの作品と昨今思い始めてきた。


 タワーオブアダルトの地下20階で、ダオスはある幼女を密かに護衛していた。


 法王庁を経由し、エスカロリオからの依頼だ。仮面を付けた怪しい男が幼女を影から見守るなど、通報されても文句は言えない。ダオスがいかに取り繕うとも、逮捕不可避だ。


 此度の依頼、ダオスとしても避けたかったが貸しを返すためにも避けられなかった。


 先日、テロリストからミーミルが強奪した宝玉……カトブレパスの瞳という国宝級の代物だ。その特性は、魔法の可視化という希有な特性を有している。


 この二つと無い代物を手にする為にミーミルとエスカロリオに多大な借りを作ったのだ。その返済の一環として、エスカロリオの依頼を引き受けている。手間も時間も掛かる上に機密性の高い依頼。他言無用との事で契約魔法まで持ち出されている程の依頼である。


「こんな冗談みたいな事を国家主導で行っているとはね」


 ダオスが護衛する幼女……当然、ただ者では無い。エスカロリオの研究所で人工的に作られたいわば人造人間だ。女性の子宮から生まれた訳ではない。培養液から誕生した生命体なのだ。


 後々、人権問題だの五月蠅い機関にバレた際の事を考慮し、人権が存在しない者が用意された。先進国である『ハイトロン法国』だからこそ、できる人道的な実験である。


「誰か~、誰か居ませんか~」


 幼女がタワー内部で叫ぶ。


 幼女は素足に加え、病院服を着ている。所々、汚れが目立っており、何日もタワー内部を彷徨っている感じする。実に、保護欲を漂わせる。常識ある者ならば、救いの手を差し伸べるだろう。


 だが、コレも全てダオスが選び抜いたチョイスなのだ。


 実は、この依頼……勇者を探す事だ。より正確に言えば、勇者適性を持つ者を探している。


 勇者とは、お伽噺の存在と言うわけでは無い。実在する。勇者とは、絶対的な力を持ちあらゆる障害を排除できる。だからこそ、国家としては、早急に味方に引き入れる事が急務とされている。敵対されれば、国家転覆する可能性すら秘めているのだ。


 尤も、勇者などという存在を真面目に探しているのは世界広しといえど、『ハイトロン法国』位だ。眉唾物を探すのに、金も時間も掛ける事が出来ないのが普通である。


「しかし、こんな方法で13使徒……ひいては、その候補者達が選定されていたとは」


 『ハイトロン法国』の最高戦力である13使徒達の過半数が、勇者適性を持つ者であり、今現在ダオスが依頼を受けているこの方法により見いだされた者達なのだ。国家主導の下で、人知れず試験が行われており、ダオスは試験官の一人としてこの場にいる。


 ダオスが受け取った試験は第三試験。勇者なる者、救いを求める声があるならばいかなる状況でも対象を救う……これがこの試験の内容なのだ。よって、無力にも等しい幼女を餌にして、同階層にいる勇者適正を持つ可能性もある候補者を勝手に試験している。


 当然の事だが、幼女は容姿も優れている。不細工な子供だと試験にならないとエスカロリオが気合いを入れて作った人造人間なのだ。勇者適正を持つ者は、人目を引く容姿を持つ者の前で真価を発揮すると過去の統計からたどり着いた真実がある。寧ろ、並以下の容姿の者に対しては勇者は毛ほども関心を抱かないという統計まで出ている。要するに勇者とは、選民主義の塊みたいな存在なのだ。


 勇者が男性として……容姿も心も醜い女性のために力を発揮する者と容姿も心も美しい女性の為に力を発揮する者が居たとしよう。どちらが勇者に相応しいかと言えば、後者である。前者のような特殊性を持つ勇者など国は求めていない。


「お願いします。誰か……だれか……」


 実に人間らしい芝居だ。


 培養液の外では長生き出来ない人造人間の割に、しっかりと演技力まで備わっている。これも、天災と名高いエスカロリオだからこそなせる技術だ。


 ダオスが居る地点から、数百メートルの地点に今回の試験対象がいる。よって、ダオスは、この為に準備していた仕掛けを発動させた。


 当然の事だが、この幼女にはこれから行われる事は何も知らされていない。それどころか、ダオスの存在すら知らない。幼女の望みはただ一つ……生きたいという生存本能のみだ。


「真に勇者適性を持つ者ならば、生きたいと救いを求める幼女を見捨てることはあるまい。"防御力低下(アーマー・ブレイク)"」


 ダオスは、周辺の壁に生き埋めにしていたモンスター達を解き放った。何日も壁の中にいたモンスター達は飢えている。そこに、幼女という恰好の餌がいるのだ。見た目通り、戦う力も無い存在だ。出来る事はただ一つ……助けを求めて逃げ惑うのみ。


「「「グォォォォォ」」」


「早く助けに来なければ、間に合わなくなるぞ」


◇◇◇


 ダオスと同じ階層を彷徨う一組の男女二人。


 幸運にも『ハイトロン法国』によって、勇者適性を持つ可能性があると判断された者。血筋も実力も年齢の割に高く、将来性がある男だ。


「アレンサー……あのね~、いくら金回りの良い依頼だからって地下20階はまだ私達には早いって」


 アレンサー・ジェレイド……ダオスの調査対象の男だ。国立メトロノーム学院を卒業したばかりの二級探索者だ。索敵魔法を得意としており、広範囲で精度の高い情報を拾い上げる事ができるというタワーに挑む探索者ならば是が非でも仲間に引き入れたいと思う存在だ。


「待て。網に掛かった。誰かがモンスターを連れてこっちに逃げてくる。小さい…子供か!!」


 アレンサーは、その優秀すぎる索敵魔法のおかげで要らぬ情報まで拾ってしまった。幼い子が何故かタワー地下でモンスターから逃げている。本来、探索者として正しい判断は逃げる事だ。


「逃げましょう……と言いたいけど、アンタは馬鹿だからね~」


「知っているかシャーリー。男は、馬鹿なくらいがちょうどいいんだよ!! "加速(ヘイスト)"」


 アレンサーは、逃げずに幼女を救う事を選んだ。多数のモンスターに狙われているという厄介ごとに首まで突っ込み助けるつもりなのだ。シャーリーも呆れてはいるが、アレンサーの人となりを知った上で、付き合っているのだ。彼女も自らに強化魔法を掛けて走った。


………

……


 ダオスが解き放ったモンスターに追い立てられて、命からがら逃亡している幼女。足の裏は血まみれで、衣服も損傷が酷くなっている。


「死にたくない死にたくない!! 助けて!! 誰か助けて!!」


 だが、それも限界を迎えた。人より遙かに強靱なモンスターに追い立てられて、幼女の足でよく逃げた方なのだ。袋小路に追い込まれて、多数のモンスターが幼女というなの餌によだれを垂らして見ている。


「イヤァァァァァァ」


 オーガ・ブロッケンから繰り出される重量級ハンマーが幼女を完全粉砕しようと振り下ろされた。


 だが、その一撃は幼女をに当たる事は無かった。颯爽と駆けつけたアレンサーの盾により防がれた。索敵魔法、強化魔法に加え、防御魔法まで同時に展開する実力は、二級探索者に恥じない実力だ。


 アレンサーも決して楽に防いだ訳では無かった。しかし、幼女にもモンスターにも弱みは見せない。


「一体、どうしたらココまでの数のモンスターが幼女一人に集まるかな」


 二級モンスターのオーガ・ブロッケンを筆頭に、三級モンスターのポイズン・フロッグが五体とその他多数のモンスターがいるのだ。この状況だというのに幼女のために飛び込んで来たアレンサー。ダオスは採点表に◎を付けていた。


「……おじちゃん。助けて」


 幼女のおじさん発言にアレンサーは心を打たれた。学院を卒業してはいるが、二十歳未満なのだ。世間的には、お兄さんと呼んで欲しいお年頃なのに、おじさん呼ばわりされたのだ。


 子供とは残酷だ。善悪の判断が虚ろのため、酷い事を平然と口にする。尤も、幼女にしてみれば10代後半、20代、30代もみんなおじさんなのだ。


「その為に来た。もう安心しろ」


 アレンサーは幼女を抱きしめて安心させた。


 如何に、アレンサーとて現時点の実力ではコレだけのモンスターを相手に立ち回る事は出来ない。タワーの特殊条件下では尚更だ。当然、救い出せる算段はある。


 それが、仲間の存在だ。


「全く!! 少しは後先考えなさいよ!! 5秒くらいしか持たないからね!! かの者に永遠を、かの者に呪いを……"石化(ストーン)"」


 シャーリーが放つ状態異常魔法により、モンスターの動きが止まる。多数の敵相手に力任せの"石化(ストーン)"である為、足止めにしかならない。だが、今の彼らにはそれで十分であった。戦略的撤退……正しい方法である。


 アレンサーは幼女を抱きかかえ、動きが止まっているモンスターの合間を走り去った。逃亡の最中、足止めも兼ねて天井や壁などを破壊する。これによりモンスターをあわよくば撃破、撃退する思惑があるのだ。


 その様子をダオスは観察し、更に採点表に○を付けた。


◇◇◇


 ダオスは採点表を片手に対象を追った。


「逃亡する最中であっても、索敵魔法は健在と……やるじゃないか」


 素直に称賛した。極めて優れた索敵魔法の使い手に恥じない能力である。


 だが、それでもアレンサーはダオスの存在に気がつけていない。索敵魔法の範囲内にいるダオスだが、先日手に入れたカトブレパスの瞳を介して、本来、不可視である索敵魔法が見えているのだ。


 よって、索敵魔法を状態異常魔法の"沈黙(サイレンス)"で打ち消している。その様な方法で索敵魔法をかいくぐる者はダオスが初めてだ。だからこそ、ダオス自身も思わず笑みをこぼす。


 状態異常魔法において並ぶ者が居ない程の使い手であるが、それで満足するダオスでは無い。誰もなしえなかった事ができるという優越感……ダオスも人の子なのだ。他者より優れていると自覚できる何かを有する事で悦に浸る。


「第一試験は合格だ。では、第二試験を開始しよう」


 第一試験の内容は、迷宮を彷徨さまよう幼女を救う事だ。多数のモンスターを相手にしても臆さず、勇敢な行動は点数が高い。当然、無謀であってはならない。信頼できる仲間も居る事で更に加点される。


 勇者には仲間がつきものである。一人でなせないことであっても、仲間がいれば……というやつだ。


 ダオスは、用意された白装束を身にまとった。そして、『ゴスペラーズ』のアイデンティティである仮面を外し、顔に血化粧する。コレだけで、よほど仲の良い者でも無い限りダオスだと悟る事は難しいだろう。髪型一つ、服装一つ変えるだけで人とは印象が変わる者なのだ。


 真に勇者適性を持つ者ならば、ダオスを振り切ってタワーの外に逃げる事も不可能では無い。 

さて、真の勇者を見つけて国家に貢献しないとね!!


男勇者が救う対象は、※(美少女や美女に限る)

女勇者が救う対象は、※(美少年や美男に限る)


間違いない!!数々のゲームをやり抜いた作者がたどり着いた真実や。


PS:

作者……先日ビックカメラでスイッチ抽選にいったら、残念な結果になった。

作者の番号:1034

当選 番号:1033

昨今の不正抽選ニュースから、「あれ?もしかして!!」と思わずにはいられなかった><


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