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正道こそ王道  作者: マスター
02.閑話1
23/66

22:不祥事

お久しぶりです。作者デス。

久しぶりの執筆作業・・・・・・リハビリも兼ねてまずは投稿!!


 生き餌達の胃の中で元気に生きるアニサキスにより、悲痛の呻きがタワーに響いた。


 夜通しで叫ばれたオカゲで、探索者達の睡眠時間に影響を与えてしまう結果になりダオスは少々後悔してしまった。"沈黙(サイレンス)"をかけ忘れてしまったと。


 しかし、その反面、モンスターを呼び寄せると言う点においては効果的だった。特に、女性の声に反応したオーク系、ゴブリン系、オーガ系のモンスター達がこぞって罠に掛かったのだ。


「あら~、大量じゃない。やっぱり、餌は女性に限るわね。じゃあ、帰りもよろしくね。特に2級以上のモンスターには入念に状態異常魔法をお願いするわ」


「承知した。バルブリエル」


 檻の中にいた男はモンスターに喰われ、女は犯されいつ死んでも不思議で無い状況だ。生きているのはモンスターが子孫を残すために手加減をしているからに過ぎない。死なないギリギリで女性を使い潰す事に関してはモンスターは、人より遙かに優れている。


「おね……がぃ。ころして」


「あぁ、タワーの出口付近でまだ息があれば殺してやる。犯罪者を生きて外に出すわけには行かないからな。喜べ、数日で死ねるぞ」


 ダオスは、早々にモンスター達に状態異常魔法を行使した。檻を破る力をもつモンスターには、"麻痺(パラライズ)"と"遅延(スロー)"といった行動阻害。檻を破る力が無いモンスターに対しては、"睡眠(スリープ)"など的確な仕事をこなしていく。


 次々と運び出されるモンスター達。


 『アッーーーメン』の血盟員達が満足げに檻を眺めている。ここ最近で一番の成果であるため、彼らが喜ぶのも無理は無い。それに大きく貢献しているダオスの働きに、「うちにこいよ!! 幹部待遇を約束するぜ」など好意的な意見が飛び交う。


 もちろん、彼らはダオスの事情も知っているので社交辞令である。ダオスもそれを理解しており、「移籍は出来ないが、こうしたイベントならいつでも誘ってくれ」とやんわり返す。


◇◇◇


 間もなく、タワーへの出口だという所で、ダオス達に思わぬトラブルが発生した。


 就寝中だったが、ダオスも周りの声に飛び起きた。同様に、『アッーーーメン』も次々と完全武装で有事に備え始めた。


「何事だ。敵襲か?」


「いいえ、檻の一つが壊されました。ダオス殿は、逃げ出したモンスターの捕縛にご協力を」


 ダオスは、信じられないと思った。檻の整備に関しては、プロ中のプロである『アッーーーメン』の者達が行っているのだ。モンスターに対する状態異常魔法にしても、万全だ。


「何番の檻が壊れたか、分かるか?」


「4番だと聞いています」


 ダオスは、どの檻に何が収められているか把握している。その檻には、生き餌として元メイデンメンバーと生き餌を楽しむ2級モンスターであるゴブリンキングが入っている。通常時であれば、檻を破壊できる力があるモンスターだが、状態異常魔法によりそれが出来る事はありえない。


 ダオスは、自らの魔法に絶対的な自信を持っており、疑うべきは内部による犯行だと決定づけていた。『アッーーーメン』の集団に真っ向から犯行を出来る存在などいない。事の露見のタイミングを考えて、間違いないと考えたのだ。


「私以外に『アッーーーメン』以外の者はいるか。もしくは、ここ最近になって加入したメンバーは?」


「まさか、俺達の中に!? そんな……でも、数日前に一人新人が。名前は、メトルジオ」


「下の名は、アシュトールで間違いないな。ならば、そいつは、生き餌として使われた者の弟だ」


 以前の血盟戦において、相手側の親族情報も全て洗った。その際の情報をダオスはしっかりと記憶している。


 本当なら、『アッーーーメン』の者達でも気づけそうなのだが、生き餌として送られてきた者達には名前の情報は何も無かったのだ。どうせ、餌となって死ぬ犯罪者なのだから、名前を覚えて情を抱かれは面倒だと言うことで、名前など無い生き餌として送られてくる。


 この場にダオスが居なければ、生き餌と『アッーーーメン』の血盟員の関係を紐付けるまでに相当の時間を要しただろう。その間に、生き餌はタワーを生きて出てしまい雲隠れする。


 これは、『アッーーーメン』としては非常に大きな問題なのだ。必ず殺すという条件で生き餌が提供されているにもかかわらず、それが守られなければ、生き餌の供給が絶たれる可能性すらある。それは、『アッーーーメン』の基盤を揺るがす事態なのだ。


 バルブリエルがダオスの情報を耳にして、驚いている。血盟員の不祥事となれば当然だ。


「情報提供感謝するわダオス。メトルジオを探しなさい!! そう遠くには行っていないはずよ。悪いけど、ダオスは、うちの者達と一緒にモンスターを捕らえてきて。身内の不祥事は、身内でカタを付けるわ」


「分かった。向かった先はタワー入り口だろう。そこから、逃げて国外にでも逃亡を図るつもりとみている」


 『アッーーーメン』血盟主含む幹部達から凄まじい殺気が漏れ出している。血盟の看板にドロを塗られたのだ。


 ダオスは、どうあっても逃亡した生き餌と実行犯は助からないと確信した。強化魔法と索敵魔法を全開にして、タワー入り口に目指して駆けだす追撃部隊を送り出し、ダオスはせっせとモンスターを捕まえなおした。


・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・


 『アッーーーメン』ホームの応接間に積まれる大金。エース金貨1000枚。本来ダオスが受け取るはずだった、エース金貨500枚より遙かに多い。2級以上のモンスター捕獲ボーナスを考えても、過剰な報酬だ。


「思っていた以上に、2級以上のモンスターも確保できたし~。うちの者達にも色々教えてくれたからボーナスよ。後、分かっていると思うけど」


「檻の整備不良で、モンスターが逃亡し、血盟員が一人お亡くなりになったのは残念でした。心からお悔やみ申し上げます」


 察しの良いダオスは、理解していた。口止め料込みのお値段という事実を。元より、命が惜しいので外部に漏らすつもりなど更々なかった。同盟血盟の不祥事など広めたところで何の利益にもならない。


「本当よね。次回からは、整備も手を抜かないような人材を採用しないといけないわ。身元などもしっかり調べた上でね」


「そうですね。では、良いお話がありましたら是非お声かけ頂けると幸いです。これからも良い関係を」


 ダオスは、右手を差し出しバルブリエルと握手を交わした。

来週からは、学園編の予定@@

若い子が沢山居る空間だ。

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