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日常日記  作者: 七宝しゃこ
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古本屋さんのお話

最近と言うか、綺麗な小説やコミックのような古本をなるべく見つけたいなら、支店の多い大型古本店に行くのだが、目玉と言うか、資料ネタになりそうな本を探すなら、昔ながらの古本屋がいいと思うようになった。


私が行く古本屋は、有名なCMのお店と、数軒の古びた印象の本が多いお店。

昨日は、いつもお世話になっていることもあって昔ながらのお店に顔を覗かせると、最近は古刀の本ばかり買っているものの、本来探していた地域の歴史の本が50円だった。


ラッキー‼


とレジに行くと、小学校時代からちょこちょこ行っていたので顔を覚えてくれていた奥さんが、


「あらぁ、お久しぶりです。おはようございます」


と穏やかに微笑む。


「おはようございます。一時期別の地域にいっていたのですが、戻ってきて、ここに通うようになったのですが、やっぱりいいですね」

「そうだったんですか……」

「はい。他の古本屋も別の意味で本はありますが、ここのように専門書って少ないですよね。本当なら、ちゃんとした本を買いたいんですが50円ばかりで……」


照れ笑うと、


「いいえぇ……もう、こちらも見ての通り、上までぎっしりで定期的に棚卸しと言うか、処分してしまうんですよ」

「えぇぇ‼実は、私の妹にこの間ここで買った本を電話で話すと、読みたいと言うので昨日、待ち合わせして貸したばかりだったんですよ。そうしたら、父も読みたいって。ここ、本当にお宝……貴重な本がようけ(たくさん)あるって……」

「定期的にごみ収集に出して……」

「勿体無い……本は知識の宝庫なのに……最近は電子書籍が増えてるせいでしょうか……」


本気で嘆く。

すると、にこにこと、


「50円に値段を下げているのは、最後のチャンスですね……捨てる前に、その本たちに新しい持ち主を見つけてあげたいと思って……ですから、お嬢さんのようにそういって、嬉しそうに買ってくれるのを見て、私たちも本もうれしいんですよ。ありがとうございます」

「いえいえ‼私こそ、本当は、こっちの専門書を買いたいのですが、元がケチと言うか、50円の本を見つけてはお宝~‼と、今も少しずつ読んでいるんですよ」

「また今度も他の古本屋さんと『古本マルシェ』を開くと思いますから、来てくださいね」

「はい‼是非‼それに、また伺います‼」


そう言ってお別れした。


そういえば古本屋も様変わりしたが、別のお店も次々に閉店しているときいている。

私は利益がどうとかは解らないが、昔よりも安易に本が手に入るようになり、処分できる今現在、個人経営の古本屋はかなり大変だろうなと思うようになった。

でも、それだからこそ……本のよさを再認識して、電子書籍だけでなく、ページをめくって読む本来の形式を、大切にしていきたいと思う。


「……また、必要な本があったらここに来ようかな」


県の歴史の本を抱き締め、緩やかな坂を下っていったのだった。

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