表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日常日記  作者: 七宝しゃこ
27/180

なくなってしまえばいい日

用事があって、久しぶりに母に電話を掛けた。




今日は変な天気だった。

珍しく雲が空を覆い、時々それが割れて晴れをもたらし、そして再び覆い隠して強い雨を呼ぶ。

東日本では台風が来ている。

かなりの暴風雨らしい。

川が決壊したり、浸水したりしないようにと思う。


今日、火曜日は月曜日に行った外科ではなく、二週間に一度の病院に向かう。

その前にである。


いつも決まりは10コール。

父は仕事のためコールを長くせず、2コールで切って、向こうからかけ直してもらうことにしている。


母は、携帯を携帯しないので、仕方がない。


……1コール……2コール……。

溜め息を吐く。

10コールで切ったら、母はかけ直してくれない。

代わりに、夕方妹か父がかけ直してくれる。


それでは困るのだが……。


9コール……まで待つと、電話が取られ、


『もしもし?どしたのー?』


緩い母に、がっくりする。


「あーいや。用事があってね」

『用事?もんてくるんかね。泊まりに来てもかまんよ』

「いやいや。結構」


きっぱり拒絶する。


「いや、そっちの家に置いとるぬいぐるみ、捨ててないよね?それと黄蓋こうがいじいちゃんの京劇の仮面と、ガン○ムの未開封のプラモ‼」

『……姉ちゃんは、何でも集めるなぁ……』

「三国志ガ○ダム‼……趙雲‼」

『作らんかったら意味ないがね』

「お宝‼……それはええんよ。ぬいぐるみとプラモは片付いたら取りに行くけん」


と言うと、


『あんたの家は一生片付かへん。自分の洗濯物を片付けるよりもテディベアってなんでで?』

「えぇやん。それよりもぬいぐるみは捨てんといてや」

『何で?』

「やけんね?綺麗なぬいぐるみがあったら、みぃちゃんのお家にあげようかと思ってみぃちゃんの子供さんに」

『あぁ、それはエェねぇ』


のんびりと答える。


まぁ、私のぬいぐるみ好きは前の家からこちらに引っ越す前に、実家ですんでいたときから、かなりあった。

ちなみにかなり金銭に苦労していたので、結婚する友人が引っ越すときに捨てると言うぬいぐるみを引き取ってリサイクルして寄付もしていた。

そんな行き場を探すぬいぐるみは山のようにある。


しかし、甥と姪は、そういったぬいぐるみではなく、私のお気に入りのぬいぐるみを欲しがる。

隠していても探しだし、


『頂戴‼これがいい‼これー‼』


とねだる。


『いや、これは特別だから……』


と言うと、


『ママ‼これ、はりながくれたよ‼』

『え?』


スマホを操作していた兄嫁は、顔をあげ、


『ありがとう。ほら、はりなにありがとうって言いなさい』


これで終わりである。

大事にしていたものほど、持っていかれる気持ちは誰にも解らないのだろう……。


チクチクとする痛みを忘れるように目を伏せ、


「ほんなら又」


と告げた。

すると、


『あ、そうやった。そう言えば今度誕生日やねぇ』

「覚えとったん?ありがとう」


珍しい……と思っていると、


『ご、っめーん‼姉ちゃん。お金ないんよ。この間年金のお金、貰ったんやけど、もう使ってしもてね?さ来月になったら、なにかあげるわ』


年金は二月に一回。それに、それを貰えるように手を回したのは私であり、生活費以外に年金用に元気だった頃は母に15000円を毎月渡していた。

それを威張ったり、それをだしにして金をくれとか言う気はないが、何に使ったのか聞く気もないが、二月分の一種の生活費。

それを一月もたたずに使ったのかと思うと、もうあきれると言うよりももう嫌だと思った。


「あー、要らんわ。兄ちゃんの誕生日もあるし、10月にはななちゃんと、11月にはけんちゃんの誕生日やろ?買うてあげんけんよ……」


甥と姪の名前……当然偽名である……を出すとすぐに、


『あ、そうやったね。そうしようわい』

「まぁ、そんじゃね」

『まぁ、体にお気をつけや。泊まりにおいでや』


行くか‼と思いつつ、電話を切った。




「あ、忘れとった。亮ちゃんにプレゼント貰ったの言うの。可愛いの貰ったんでー‼で、自慢したかったのに」


子供っぽいかもしれないが……私が一番でなくてもいいが、ただ、


『お誕生日おめでとう』


だけでも欲しかった。


プレゼントもうれしいが、言葉だけでも本当に嬉しかったのに……。

何故、こんなことばかり聞かされるのだろう……?

苦しくて情けなくて……切ないのはどうしてだろう……。


誕生日は嫌いだ……私の心を傷つける。

生まれてくるんじゃなかった……と思い知らされる。

それよりも素直に電話をするんじゃなかった……と思う。




泣くよりも寝ようと眠ったら、台風の被害のすさまじさに、寒気がした……。

たった、誕生日ごときでうじうじするなんて情けないなと、思った……。


被災者の皆様にお見舞いを申し上げます。

そして、被害者の方々にご冥福を……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ