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日常日記  作者: 七宝しゃこ
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姉がブッちぎれた(妹の目線)

姉は神経質であり、物は捨てられない。

友人が結婚するときには引越しの手伝いをし、お金を渡すと言われると、ゴミ袋に入れられたぬいぐるみを示し、


「お金はいらないから、これ頂戴。手入れしてボランティアで寄付するから」


などという。

その人たちがいらないから捨てると言う服も貰って着ている位である。

ドケチなのだ。

それに一言目には、捨てるのならば、ボランティアなどで使えるかどうか聞いたり、知り合いのフリマに手伝いに行くついでに、置かせてもらう。

売れたら募金か、結婚して子供が生まれた友人のお土産代に使ったりするらしい。


で、本人は精神的に疲れるのだが、続けているのがネットフリマ。

要らないものを売るのである。

要らないものと言っても、友人が雑誌の付録で貰った最近流行りのブランドのポーチだの、携帯会社のくじ引きで貰ったキャラのグッズだの、コンビニで買ったら、おまけにつくクリアファイルだったりする。

そんなに高くないし、送料を引くと100円にもならないことが多い。

やめればいいのだが、ゴミとして捨てられるのが耐えられないらしい。

ちなみに、お皿だのは知り合いの人にシールを貰ったりして集めているが、重さのせいで送料がかかるので、台所の奥の奥にしまいこんでいる。

その奥もぎっしりで、どこまで集めるんだと思うのだが、本人の気持ちに任せて置かないと、キレる。


元々口は達者だったが、病気を患ってからは、第二次成長期の反抗期のように癇癪を起こし、物を投げるようになった。

壊れるものは投げないし、重いものや凶器は投げないが、怒りに任せてテーブルや棚などを持ち上げて振り回そうとする。


「もううるさい!」

「知るか!知るか!」

「こっちの言うこと、ろくすっぽ聞きもせんかったくせに、今更くるな!」

「うざっ!」


とキンキンごえで叫ぶ。

しかし本気で怒っているときは、


「今更」

「黙れ」

「着拒」


と低い声で単語になる。

これ以上怒らせると、何度かまずくなったので、親も逃げるらしい。

まずくなったと言うのは、薬の過剰服用や、異物を飲む……しかし、異様に知識のある姉は、洗剤や漂白剤だけは口にしなかった。

内臓が荒れてしまっては困るらしい。

しかし、ある時は姉の趣味のアロマオイルを何種類もガブ飲みし、ついでに水晶などを飲み込んだらしい。

その時は、病院で、


「心の闇を浄化させたいから……やめて……吐かせないで……」


と言っていた。

心の浄化以前に、体を癒せと私は言いたい。


だが、あの頃は、特に兄達によって追い詰められて、睡眠導入剤と、抗うつ剤、胃薬と喘息発作の薬などを交代に大量服用していた。

最後がアロマオイルである。

なぜまとめて飲まないのか?

と、朦朧としていた姉に聞くと、


「仕分けが面倒……なぜか余るから、数を揃えておこうかと順番に余分をまとめて飲んだ」

「……」


遠い目になった。

特に病院は三種類通うため、仕分けが面倒なのはわかる。

なぜ最後が胃薬なのか……。


「他の病院は一週間や二週間だけど、胃薬などは1ヶ月もらうから、二日ぶん余るから……それが突き詰めて1ヶ月ぶん飲んだ……」


賢いのか、アホなのかわからない姉である。

しかし、姉が怯える兄たちは、一回姉を救急病院に運び、


「こんな状態だから、会うのをやめてやれ。その前に見舞いに来いや!お前たちもはるを追い詰めたんやぞ!どんな様子か見にこんか!」


と父が電話で怒鳴り込んだが、一度も顔を見せに来なかった。

メールも電話もなかったらしい。




それなのに最近、姉は兄からのLINEに怯え、電話で泣きじゃくり、両親……特に父が危険信号を発令した。

昔は、反抗しなかった姉が反抗すると、ものは投げるが、最終的には相手を傷つけるのではなく、自分を追い詰めて手や腕を鈍器で殴りつけたり、異物を飲むので危険なのだ。

そのため、今日は自分が暇だったこともあり、姉の病院に着いて行った。

姉の病院の近くには、古本屋がある。

姉の家の近くにも昔ながらの古本屋が二軒あり、羨ましい限りである。

姉は寝違えた腕を痛そうにしていたが、病院に行くまでに時間があり、一緒にCDを見ていたところ、目がキラキラ輝いた。

アニソンだろうか……しかし姉のアニソンはかなり古い。


「ひなぁ?ねぇねぇ。森口博子さんって、普通の歌手だよね?アニソン歌手って書かれてる……まぁ、ガン○ムの主題歌好きだなぁ」


やっぱり古い。

しかし次の瞬間、クワッと目を見開き、一枚のCDを抜いた。


「ひなぁ!これ買う!」

「姉ちゃんCD滅多に聞かないじゃん」

「今回は絶対聞くんだ〜!ほら〜声優さんがね!キャァァ!」


姉の声優さんの現在第1位に君臨する方である。

姉は否定するが、私は知っている……姉の作品の三国志の書き始めた日は、私の誕生日の翌日だからと言っているが、本当は、この声優さんの誕生日で、姉の初恋の人の誕生日である。


「キャッホーイ。わーいわーい」


他にも本の続編を見つけ無邪気に喜んでいた姉が、病院で診察と治療、そして一旦私の買った荷物を置くためにうちに来た瞬間、鬼になった。




姉が本気で怒ると、無表情になる。

口数が減る。

ついでに口を開くと罵詈雑言の数々を吐く。


一応女子校で、クラスメイトの先輩方に『姫様』『お嬢様』と呼ばれていたらしい……本人ではなく、先輩から聞いた。

本人は友達たちが端正で剣道や弓道をしていて、王子たちと呼ばれているんだ〜。かっこいいからねと言っていたが、姉は本人は化粧っ気もなければ分厚い眼鏡をかけているものの、外すとど近眼なのでボヤ〜としてニコニコしていることが多い。

姉は自分がブサイク言っているが、クリクリお目目で割合整った東洋系の童顔。

今現在もすっぴんのくせに、シミにシワもほぼなく、肌チェックで二十代と出たらしい。

読書に時々編み物をし、何か考え事……姉の趣味の妄想をしている姿が可愛いと観賞用となっていたそうである。

マイペースで邪気がなく、ボケているのに日本史や国語、古語漢文はトップで、図書室で古語の原書を読んでいる姿が小動物が本を読んでいるようだったらしい。


「面白い?」


と聞くと、目をキラキラさせてうんうんと喜んでいたらしい。

それに、本人は知らないが餌付けされていたと言う。




その姉が激怒……姉の友人たちには見せられない構図である。

それは、私が原因ではない。

タブレットを見たからである。

ネットフリマでのやりとりだった。

ブランドの化粧ポーチを売って欲しい、安くしてくれないかと言われ、じゃぁと送料もあるのでとこの値段にと提示すると、


「高い、それから200円下げてくれ」


と言われ、今まで売れなかったしと納得できないながらもOKした。


すると、購入までに時間がかかった上に、購入してからメッセージが一言もなくなったのである。

姉はいつも丁寧に、メッセージを入れる方である。

もし届かなかったらとか、壊れるようなものだったらどうなるだろうと不安になるらしい。

今回の相手にも、『遅くとも○日にお送りいたしますので、お待ちくださいませ』といれ、『発送いたしました。割れ物がありますので、ご注意くださいませ。受け取り確認をよろしくお願いします』とメッセージを入れたのだが、相手からは返答1つなかった。


その時は黙っていた。

しかし、私の家でチェックすると、『受け取り評価がありました。すぐに評価をしてください』とサイトからメッセージが入っていた。

コメントも入っていない。

評価は、完全にやり取りが終わってからでないと見えないし、ポーチには割れ物があり、壊れていたりしないように、型崩れしないようにと丁寧に包装し、送ったのだと姉は言っていた。

姉からしたら、一言『無事届きました』でも良かったのだ。

しかし、こちらから丁寧にコメントを入れても一言も返事がない。

納得しているのかどうなのか、それも心配で届くまで不安で堪らなかったのに、この相手のそっけない応対に、キレた。


姉は一回、ガラスの目を持つテディベアを繁雑に扱った売り手に冗談じゃない!とキレたが、運営が『その程度で写真を撮ったりするのはやめてくれ。ここはフリマで物を売るところ、削除します。又したら退会させます』と言われたらしく、今回は、めんどくさいうえに、前の被害者だったこちらへの塩対応に切れていたこともあり、運営にも言わず、相手に、


「こちらが丁寧にメッセージを送り、割れ物もあるので届くまでとても心配していたのに、評価だけで届きましたの一言もないのは非常識です。本当はもっとストレスのない楽しいやり取りが良かったですが、最悪です。もう2度とやり取りはしたくありません。さようなら」


と送っていた。


『評価も悪い』


と言うところにクリックして、同内容をコピペして、貼り付けたらしい。

コメントは二週間で運営によって削除されるが、評価の文章はずっと残る。

普段の温和な姉なら絶対しないが、ねっちこい二重人格の姉ならする……恐ろしい仕返しである。


普段、姉曰くある程度は甘くつける。

しかし、今回は腹に据えかねたらしい。

相手から貰った評価を、


「けっ!」


と見ることもなく閉じて、削除したいと漏らした。

ついでに、


「いねや!ボケが!それより、うちがいんじゃろか……あぁ、桔梗姫……お母さんを癒してくれる〜?」


ちなみに、今日一日中、姉は熱が下がらず、頭痛もひどく一日2回しか飲めない解熱鎮痛剤でフラフラだった。

ついでに『いねや』は、『いぬる』という方言の呼びかけになり、『帰れ』である。

テディベアを抱きしめ、私の家の隅でブツブツ呟く姉はかなり怪しかった……。

心配になり、


「泊まって行く?」


と言うと、


「子供たちが待っている……」


と帰っていった。


姉が、相手に呪いをかけていないか不安である。

大好きな声優さんの萌え萌えCDで癒されて欲しいものである。

前の話は可愛いのにすみません。昨日の話です。

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