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槁木死灰の私から  作者: 案山子 劣四
君と見た夜桜

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第53話 飛花落葉の私と夜桜②

一果、二葉の家事手伝いをしたり、2人が教会の仕事に行っている間教会内を散歩をしたりすると、時間はあっという間に時間は14時になった。



「それじゃあ、そろそろ始めよっか。ところでさ、つっきー。」


「なに?」


「そのお菓子、なに?」


一果は机の上のお菓子に目をやる。飴や煎餅、個包装の焼き菓子などがいくつか机の上に置いてある。



「散歩中に何故か貰った…………。」



「以前も貰ってませんでした?」



「前も貰った…………。」


何故か、私は人から物を貰うことが多い。病院にいた時も同様に、お菓子や飲み物、お金を貰うことがあった。お金は流石に断ったけれど。



「なんでだろーね?あげたくなるオーラみたいな物があるのかな?」



「わからない…………。色々貰えるっていい事なのかな?」



「人による気がします。私だったらお菓子大好きなので嬉しいです。」


二葉は、何かを訴えかけるように私を見る。私は思わず笑いながら、


「じゃあ、後で皆で食べよう。どうせ私、あまり食べられないし。」


と提案すると、二葉は嬉しそうに強くうなずいた。


「じゃあ、お菓子パーティーをする為にもさっさと作ろっか。」


一果の言葉に、私と二葉は「おー」と言って、拳を突き上げた。



ーーーーーー


食材の買い物は前日に済ませており、既に何を作るかは決めていたらしい。私は、彼女達に振られた仕事を、具体的にはさやえんどうの筋取りであったり、じゃがいもを潰すであったりを手伝っていた。


一果には、「身体の事もあるし、疲れない範囲で大丈夫だからね。無理は絶対しないでね。」と釘を刺されており、私としても今日を逃すと次花見ができるか怪しい上、小春ともいつ会えるか分からないので、彼女の言うことに従う事にした。


「今日さ、高齢の人も多いし、重くない物多くしたけれど、れーくん文句言わないかな?」


手際よく調理をしながら、一果はお弁当に目をやる。確かに、唐揚げや卵焼き等の定番の物もあるが、獅子唐の焼き浸しや、めざし、高野豆腐の煮物などの少し若者向けでは無い料理が多い。


ちなみに、高野豆腐の煮物は私のリクエストなので、責任の一端は間違いなく私にある。


「絶対文句言わないですよ。目の前にあるものをとりあえず食うだけです。」


二葉は冷めた口調で答える。連花は涼との特訓以外では教会にほとんどいないので、普段の様子は全く知らないが、確かに何を出されても文句を言わずに食べてそうだな、と思わず笑う。



「そっか。てかさ、今更だけど涼って人のご飯食べるの?」


一果は、そう私に問いかける。


「一応食べられる、らしい。」



一応、と言うのは、消化や栄養にする事は出来ないそうだ。私も気になって、数日前に涼に聞いた時、そう答えていた。


『胃袋のような器官はあるが、文字通り袋としての機能しかない。貯めて、最終的には任意のタイミングで吐き戻している。だから食事は基本的にはしないな。人に紛れる時くらいだ。趣味で食事をする者もいるらしいが。』といつもの調子で彼は話していた。


その事を一果に伝えると、「…………なんか、自分の作った物が吐き戻される前提で食べられるの、嫌だね。」と苦虫を噛み潰したような表情をした。


「涼にはずっと酒だけ飲んでもらいましょう。」



彼女達の気持ちは少し分かるので、私は何も言わない。

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