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カレードリア

晩御飯は昨日の残りのカレーを使ってドリアを作ることにした。


使いきりのホワイトソースを切らしてしまっていたので簡易ホワイトソースから作り始める。


耐熱ボールに米粉とバターを入れてレンジで1分ずつ様子を見ながら温めてバターを溶かす。

米粉は最初からサラサラでふるわなくてもダマになりにくいのが特徴だ。

仕上がりもなめらかになる。

泡立て器で混ぜ合わせ米粉とバターの固まりができたら牛乳を少量入れて混ぜる。

レンジで40秒ほど温めボールを取り出し牛乳を加えながらまた混ぜる。

それを繰り返しクリーム状になったら顆粒コンソメと塩コショウで味付けして出来上がり。

付きっきりで火加減と様子を見ていなくてはならない鍋で作るよりレンジの時間調節の方が楽なので京香はいつもこの方法でホワイトソースを作る。


カレーとご飯を温めて全体に混ぜ合わせ耐熱皿によそい上からホワイトソースととろけるチーズを乗せてトースターで焼いたら完成だが圭介の帰宅までまだ時間があるので直前に焼くことにした。

これで準備は完了。

期末考査が迫っているということもあり今はバイトを休ませてもらっている。

圭介が帰ってくるまでテスト勉強を始めた。


少ししてスマホが鳴る。

圭介からかと思いきや母からの着信だった。


「もしもし」


『もしもーし。今大丈夫ー?』


「うん。どうしたの?」


『どうしたのって何もなければ電話しちゃダメなのー?』


「そういうわけじゃないけどお母さん毎日メッセージ送ってくるじゃない」


『それとこれとは別でしょー?あ、あなた今勉強してたわね』


「正解。期末が近いの。来月には実力テストもあるし」


『大体態度が冷たいときは勉強中だもんなー』


「わかってるなら切るよもう」


京香は自分で母とは普通に仲が良いと思っている。

むしろ母子というより友人関係に近いのではないかとも感じていた。

2人で生きていかなければならなくなってから京香の自立心の成長は早かった。

母からしても家事や料理を任せている京香に頭が上がらない部分もあったのだろう。

大人びた京香と母はもはや対等な立場であると言って良かった。


『待って待って。切らないでよもー来月実力テストってことは11月ならゆっくりできる?泊まりに行っていい?』


「いいけど12月に保護者面談があるよ」


『あ、そうなんだ。いつ?』


「多分前半」


『12月はお父さんの命日があるから忙しくなっちゃうわね。なら11月はパスしようかな』


「無理しなくていいよ。8月のお盆にも会えたんだし」


『そうねー仕事の様子見てからかなーゴメンね』


父の命日は12月15日。

12月前半の保護者面談に来て一度帰りまた命日に戻ってくる。

しかも今年は父の七回忌だ。

北陸の父の実家までの移動や準備のことも考えるとあまり無理はさせられない。


『ところでー…京香ちゃーん、お母さんに何か言うことあるんじゃないのー?』


ギクリとする。

母は成績のことも友人関係も特に口を出してきたりしない。

基本的に放任主義だ。

だからこの追及はきっと圭介のことだろうと予想がついた。


「先輩のこと?なんで知ってるの?」


『お母さんの情報網を舐めたらアカン。…なーんて礼子さんに聞いたのよ』


(大家さんかーーーーー)


大家の甲斐礼子が情報源だったか。

仲の良い二人のことだ。その日にでも連絡が行ったに違いない。


「言おうと思ってたんだけど…」


『説明がめんどくさかった、と』


さすが母親である。

京香の性格をよくわかっている。


「別に危ないことはないよ。良い人だから」


『うん、その辺は礼子さんに散々聞かされたから。安心してる。ちなみに多分京香より彼のこと詳しいわよ私』


「マジか」


『すんごい頭良いらしいわね。勉強教えてもらえるという利点は外せないわよね』


さすが(以下略)。


「まぁ、それだけじゃないけど…」


『え!?何々?芽生えちゃった???』


「ち、違うよ!あんなイケメン恐れ多いわ!」


『礼子さんもハードル上げまくってたけどホントにそんなにカッコいいの?』


「う、うん。顔が良すぎて恋愛に発展する気がしない」


『わかんないじゃなーい。好きになっちゃったらさー』


「…そんな気持ちわかんないし」


『ふーーん…ま、そういうわけで次帰る時挨拶させてね』


「え!?やだよ!」


『なんでよ!イケメン独り占めしないでよ!』


「そういう話じゃなくて!恥ずかしいじゃない!」


『もー照れ屋さんなんだからーあ、電車の時間だ。また連絡するわ』


「あ、うん。じゃあね」


『おやすみー』


「おやすみなさい」


電話を切る。

母との関係が良好で友人のようなものでもあるので京香はわざわざ友人を作らないのかもしれない。

どうやって挨拶を回避するか、また考えることが増えてしまった。

頭を抱え悩む。

何かあった時の為に母のことを圭介に話しておこうと決めたところで圭介からのメッセージが届く。


『こんばんは。あと15分で着きます!』


『こんばんは。了解です。お気をつけて』


ドリアを焼くのにちょうど良い時間だ。

すぐに台所に向かった。

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