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オーランド・バルシュテインの改心  作者: 真川紅美
4章:オーランドという男
37/146

4、

アーッ♂パーティーを提案する政務官の巻ORZ

ご不愉快であれば飛ばしてやってくださいm(__)m


「……そう緊張しないでください。といっても、あんなことがあった後に、男と二人きりにされるあなたの心中はお察しします。……ごまかすために、彼のことを隊長と呼びましたが、私は、彼の隊のものではありませんよ」


 やわらかく言った彼に、きょとんとしていると、彼は硬く引き締めていた顔を緩め、髪を解き、ふわりと笑った。不思議なもので、それだけで彼の雰囲気がやわらかく、そして、社交的なものに、どこか女性的なやわらかさに変わる。


「初めまして。セザールと申します」


 一つ頭を下げた彼は、笑いながらも、シャナをしっかりと見ていた。


「初めまして。シャナと申します。……その、バートラム様の隊のものではないということはどういうことでしょうか?」


 単刀直入に聞き捨てならないところをつくと、彼は、ふっとわずかに目を細めた。


「まずはそこからですね。……私、これでも、政務官をしているものでしてね。主に、裏の統括をしているものです」

「……裏の統括?」

「詳しいことは機密になりますので勘弁を。しかし、貴女がさらわれた時に使われた影もどきについて知りたいと思いましてね。場合によっては粛清も必要ですので」


 耳に心地よい柔らかな声で言われる物騒なことに目を白黒させながら、シャナは、眉を寄せた。


「私をさらう時、ですか?」

「ええ。貴女をさらって同行したあの屑たちは、今、バートラム様のおもちゃにされて、さぞかし楽しい目にあっているでしょうに。そこらへんからの聴取は終わりました。後は、私の言った、その影もどきについてのところの解明と、そして、貴女の意思」


 首を傾げると、セザールは柔らかな色をしたエメラルドの瞳をすがめて首を傾げた。


「たとえば、彼らに厳罰を。とか、彼らに無慈悲な裁判を、などの、極刑を求める意思など、厳罰を求める意思表示です。ここまで隠密に、しかも、めんどくさいことをやらかしてくれたわけですから、内内で処理するんですよ。だから、貴女の意思が通りやすい。もちろん、ホモレイプされてしまえというのであれば、屈強な男たちを騎士団、そして軍人のごく一部の隊から選りすぐって彼らの牢にぶち込んで、お楽しみ会を開きますが?」

「……セザールさん……?」

「くくく、失礼。私的には面白そうだから後者のをおすすめしますけどねえ? どうされます?」


 いきなり言われても、と困惑していると、セザールはふっと切り替えるようにため息をついて、表情を真面目なものに戻した。ころころと変わるセザールの雰囲気に翻弄されながらシャナは、眉を寄せて、真面目な顔をしながら興味深いものを見るように楽しげな光を宿すエメラルドの瞳を見る。


「さて、困らせてしまったようですね。まあ、刑の執行は私どもの一存でどうにかなる。気長に考えてください。……本題の、影もどきのことですが、さらわれた時どうさらわれたか、そして、できれば、どんな得物を使っていたか。そういった些細な情報でもください。それでどうにか私どものほうで特定しますので」


 首を傾げたセザールに、シャナは、話がつかめないとため息をつきながらも一つうなずいて目を閉じた。


「わかりました。……さらわれた時ですが、人ごみに紛れるように、口元を片手で押さえられ、そして、首筋にナイフのようなものを突きつけられました。不思議と、他人には見えないようで、人ごみの中を……そうですね、はたから見れば、寄り添っているようにしか見えなかったんでしょうか。そんな感じで、人ごみから裏通り、裏通りのひときわ人気の少ない場所まで歩いて、……当身で」

「気絶、ですか?」

「ええ。後は気がついたらあの倉庫にいました」

「……冷静なものだ」

「……それを求めたのはあなたでしょう。……私は、もともと、浮浪でしたから、人さらいも何も小さなときから見ているものです。この4年が平和だっただけで、オーランド様に拾われなければ、そんな日常茶飯事の中にいましたから」

「これは失礼」


 本当にそう思っているのかはなはだ疑問なその言葉に、シャナは眉を寄せてセザールを見ると、彼は、ひょいと肩をすくめた。

どうしてこいつこうなったんだろう……


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