８１話：浅香にルリさんの話をしていく
ルリさんとの通話を終えてからしばらくして。
「えっ、ルリさんはB級冒険者に昇進したの！？ それは凄いね！」
「うん、本当に凄いよね！ まぁでも毎日あんだけトレーニング配信とか頑張っていれば当然の結果だとも思うけどね」
僕は浅香と一緒に自宅で晩御飯を食べながら、さっきルリさんに教えて貰ったB級冒険者に昇格したという喜ばしいニュースを浅香にも伝えていった。
「あー、そう言われてみれば確かにそうだよね。私もちょこちょこルリさんの耐久トレーニング配信を見てたけど、あの人は本当に凄い頑張り屋さんだよね。そりゃあ一ヶ月半で上級魔法を覚えられる訳だよ」
「うん、そうだよね。ルリさんは本当に凄い頑張り屋さんだし、このままの勢いでA級冒険者までスムーズに到達していって欲しいよね。あ、そうだ。そういえば浅香は冒険者ランクはどれくらいなの？ 確かちょっと前に浅香も検査して貰ったんだよね？」
僕はそんな事をふと思い出したので浅香の冒険者ランクを尋ねてみた。少し前に浅香も自分の冒険者ランクが気になるって事で検査して貰いに行ってたんだ。
「あぁ、うん、一ヶ月くらい前に冒険者ギルドで検査して貰ったよ。私はＣ級だったね。私の魔法の習得数はB級昇格の条件は満たしてるんだけど、ダンジョンの探索時間とかモンスター討伐とかは全然条件に満たしてなかったから私がＢ級になれるのはだいぶ先になりそうかなー」
「なるほどね。確かに浅香はダンジョンにはあんまり行かないし、行ったとしも基本的にピッケル担いで鉱石採掘してる事ばっかりだもんね」
浅香は冒険に行く頻度は月に１～２回くらいだから、それくらいのペースだとＢ級の昇格条件にはまだまだ満たせないようだ。そう考えるとルリさんが物凄い努力をしているってのもわかる。
「そうそう。まぁ魔法のトレーニングとかは家でも出来るから問題無いんだけど、でもダンジョン探索とかモンスター討伐は私にはちょっと難しそうだね。だってダンジョンに入ったら鉱石採掘に熱中しちゃうしさー」
「あはは、何だか浅香らしいね。でも魔法の習得数は余裕で昇格条件を満たせてるってのは凄いよね。って、あ、そうだ。そういえば魔法の件で思い出したんだけどさ、今度浅香に闇属性魔法の基礎について教えて欲しいんだけど……ちょっとお願いできないかな？」
「え、闇魔法の基礎？ そんなの全然良いけど、でもどうしたの急に？」
「うん、あのさ、闇魔法ってちょっとピーキーな属性でしょ？ だから闇魔法について知らない冒険者も割と結構多いんだよね。だから闇魔法に精通してる浅香に今度配信で基礎から教えていってくれると嬉しいなって思ってさ」
「なるほど。確かに闇魔法って使う人あんまりいないもんね。うん、まぁ私の知ってる事だけで良いんだったら幾らでも教えるよ。って、あれ？ でも配信って……？」
浅香は僕の“配信”という言葉に引っかかったようでキョトンとした顔を浮かべ始めていった。まぁ僕は今現在配信なんて全然やってないんだから、そりゃあ不思議に思うに決まってるよね。
「あぁ、良かった。実はルリさんに増殖期が終わったらまた東京に来て一緒にコラボ配信しようねって言われてるんだ。それで次回のコラボ配信では闇魔法についての話が聞きたいって事になったから講師として浅香に参加して貰いたいなって思ってさ」
「ふぅん、なるほどねー……って、えぇっ！？ そ、それってつまり……わ、私もルリさんの配信に出るって事！？」
「う、うん、そういうお願いなんだけど……今のリアクション的にやっぱり無理そうかな？」
「えっ！？ あ、いや、べ、別に無理とかそんな事はないんだけど！ でも私って普通のそこら辺にいる女子中学生だよ？ そ、そんなごく普通の女子中学生がルリさんみたいな最強の女子高生の配信に写り込んでも大丈夫なのかな……？ と、というか流石にこんな田舎者の女子中学生がルリさんの配信に写り込んだらリスナーさん達にも怒られるでしょ……？」
「え？ いやいや、そんな事ないでしょ！ だって浅香は凄く可愛くて素敵な女の子だもん！」
「え……って、ふぇっ！？ い、いきなり何を言ってるのよ！？」
「え？ 僕は本当の事を言っただけだけど？ だって浅香ってオシャレだし可愛くて肌も綺麗だしスタイルもスレンダーで女の子らしいよ。それにそれだけじゃなくて僕と違ってお喋りも凄く上手でコミュ力も高いんだよ？ いやこんなの凄過ぎるでしょ！ だからルリさんと比べても全然負けてない女の子だよ！ という事で浅香はそんな心配一切しなくて大丈夫だよ！」
「あ、う……わ、わかったわかった！ わかったわよ！ だ、だからそれ以上恥ずかしい事を言わないでよー！」
僕は浅香の事を見つめながら全力でそう褒め称えていくと、途端に浅香は顔を真っ赤にしながら狼狽え始めていった。
うーん、でも僕は本当の事しか言ってないはずなんだけど……なんで浅香はこんなにも顔を赤くしながらあたふたとしてるんだろう？
