79話:冒険者ライセンスを剝奪される事になっちまった(スザク視点)
「さて、これ以上の不服はないかな?」
「ぐ、ぐぐっ……」
「ふむ、どうやら無いようだね。よし、それじゃあ早速君の冒険者ライセンスの永久停止の手続きをさせて貰うよ。すぐに終わるから少しだけ待機していてくれ」
俺は何も言えずにそのままソファに座ったまま項垂れていった。そんな俺の項垂れた様子を見てから支部長はパソコンを操作し始めていった。
そしてそれからすぐに俺のライセンスは無効化にされ、俺は支部長から渡された冒険者の解約書類にゆっくりとサインをしていった。
「これでライセンスの永久停止の手続きは全て終了したよ。それじゃあもう帰って貰って大丈夫だよ。お疲れ様」
「ぐ、ぐぐっ……くそ、冒険者を辞めさせられて……これからどうやって生きていけば良いんだよ……」
「? いや、だからさっきから言ってるけど、世界中の大人達は普通に仕事をして生きているんだよ? 全世界の人口比で考えても冒険者をやってる人間なんて1割もいないんだからね? だから冒険者なんてやらなくたって普通に生活出来るはずだよ」
「ふ、ふざけんなよ! 今まではダンジョンの冒険と配信だけで毎月数百万も楽勝に稼いでたのに、これからはたった数十万を稼ぐために普通の会社で毎日働くなんて無理に決まってんだろ!!」
「そうは言うけど世の中の大多数の人達は普通の会社で働いているんだよ? だからそんな子供じみた事を言うのはどうかと思うよ。それにそもそもだけど如月ルリ氏に怪我を負わせてしまったせいでこんな事になっているんだからね? そこはしっかりと反省した方が良いんじゃないかな?」
「ぐっ……」
俺がそう言っていくと支部長は平然とした態度でそんな返事を返してきた。
そしてまた“如月ルリ”とかいうクソブス女の名前が出てきて俺は内心凄く腹立たしく思ったけど、でもそれ以上は反論しても何も事態は変わらないと思ったので言い返すのは止めておいた。
「よし、それじゃあ私も通常業務が残ってるからそろそろお引き取り願おうか。これからは人様に迷惑をかけずに真面目に働くんだよ。それじゃあ青木君、スザク氏を出口まで案内していってくれ」
「はい、かしこまりました。それではこちらへどうぞ」
「……あぁ、わかったよ」
―― バタンッ……
俺は支部長が呼んだギルド職員に従って支部長室から強制的に出されていき、そして俺はそのままギルドのロビーに戻ってこさせられた。
こうして俺は配信アカウントに続いて今度は冒険者ライセンスも失う事になってしまったんだ……。
「これから配信も冒険者も二度と出来なくなるなんて……これからマジでどうやって生きていけばいいんだよ……って、うん?」
―― ジロジロ……
「あれ? もしかしてあれスザクじゃね? ほら、ちょっと前までダンジョン配信者やってたさ」
「え? あ、本当だ。懐かしいな。でもアイツのチャンネルってちょっと前にbanされてたよな?」
「そりゃああんだけ炎上してたしなー。ってかあんだけ大炎上したのによくまだアイツ冒険者続けられてるな。ルリちゃんにあんなに迷惑かけたクセにさー」
「あはは、マジでそれなw ルリちゃんにあんなに喧嘩売っといてよくまだ冒険者やれてるなw ってかアイツのチャンネルがbanされた時は清々としたわw」
「あはは、確かに確かに。よし、それじゃあせっかくだしSNSにもこの事を書きこんどくか。スザクを都内の冒険者ギルドで発見なう……と」
俺はギルドにいる冒険者達にジロジロと見られながらそんな陰口を叩かれていってしまった。
「……く、くそ……」
俺はそんな陰口から逃げるようにしてギルドをすぐに出て行った。どいつもこいつも俺の事を笑って馬鹿にしやがって……。
「しかも如月ルリに俺が迷惑をかけただと……? ふ、ふざけんなよっ! 迷惑をかけられてるのは俺の方だよ!!」
あのクソブス女が俺との煽り合い動画に乗らなかったせいで俺は事務所を辞めさせられたんだぞ! そのせいで毎月事務所から貰えてた500万以上もの収入が全部パァになったんだぞ!
それにアイツがヤングワイバーンの攻撃をしっかりと避けてくれれば俺が冒険者ライセンスを剝奪なんてされる事もなかったんだ! クソ雑魚のクセにイキってんじゃねぇよマジで! そのせいで冒険者としての収入も全部パァになったんだからな!
ってかそもそもアイツが素直に俺とのオフパコに同意してくれてればこんな事にはなってなかったんだよ! アイツが素直に股を開いて俺とセックスさせてくれればこんな事にはなってなかったのに……!!
「クソ! 全部アイツのせいだ! あのクソブス女のせいで俺の収入が全部パァになっちまったんだ!!」
こんな事絶対に許せねぇよ……あのクソブス女……マジで許さねぇからな……!




