73話:クソ……何でこんな事に……!(スザク視点)
「クソ……クソッ……!」
俺はそう呟きながら街中を歩いていた。
金が無くなった事で俺は高級マンションから退去せざるを得ない事となり、今は毎日ネカフェで寝泊りする日々を過ごしていた。
ちなみに早急に支払う必要のあった家賃や公共料金などは、今まで持ってた高価な家具や道具類を全部売り払て何とか工面した。
という事で今の俺は文字通り本当に無一文の状態となっていた。今はもう配信の広告収入で生きているような感じだった。
そのせいで生活水準も大幅に引き下がっており、今までは高級焼肉や鮨を毎日食ってたのに、今では毎日100円の格安カップラーメンしか食べれない状態となっている。
これだけでも凄く腹立たしいというのに、他にも不快になる事があった。それは俺に対する誹謗中傷だ。
俺に対する誹謗中傷の書きこみが未だに続いており、SNSや匿名掲示板で毎日のようにボロクソに叩かれていた。
「クソッ、人の悪口をコソコソと掲示板とかに書きこむとか人間性終わってるだろ……!」
そんな誹謗中傷コメントのせいで冒険者ギルドに行っても陰口を叩かれたり笑われたりする日々を送っていた。マジでふざけてやがる。
だからここしばらくは冒険者やダンジョン関連の配信をずっと休まざるを得なかった。人に笑われながらダンジョンに行って配信するなんて絶対に嫌だしさ。
「ふん、まぁいいさ。いつかはそんな陰口を叩かれるのも終わるはずだしな」
まぁ“人の噂も七十五日という諺”もあるしな。だからそんな誹謗中傷めいた悪評もいつかは廃れていくはずさ。
だからそんな悪評の噂が廃れるまで、俺は冒険者としての活動は全部ストップする事にして、ここ最近は酒を飲みながらの雑談配信のみを行っていた。
まぁクソアンチも大量に来るからあんまり配信活動もしたくないんだけど……でも配信活動をしなきゃ広告収入が得られないからな。だから背に腹は代えられないってやつだ。
「よし、それじゃあ今日も配信をしなきゃなぁ……って、あ、あれ?」
俺はそう言ってスマホを取り出して自分のチャンネルを開こうとしたんだけど、俺はスマホ画面を見ながらビックリとしていった。何故なら……。
『指定されたチャンネルは存在しておりません。お手数ですがチャンネルURLが正しいか再度ご確認の程よろしくお願い致します』
「……は?」
何故なら俺のチャンネルが開けなくなっていたからだ。URLが違うとか書かれてるんだけど……でも俺はいつも通りブクマから自分のチャンネルに飛んだんだぞ?
それなのに何でチャンネルURLが違うって言われなきゃなんねぇんだよ??
「な、なんだよこれ? 公式サイトで不具合でも発生してるのか? メールに何か来てたりしないのか?」
俺はそう思って配信サイトに登録してたメールを見ていく事にした。すると配信サイトから一通のメールが届いていた。その件名は……。
『貴チャンネル様の永久banのお知らせについて』
「は……はぁっ!? 永久ban!? なんだよそれ!?」
メールの件名はなんと俺のチャンネルの永久banのお知らせだった。俺のチャンネルが開けなかった理由はどうやらURLが違うのではなく、永久banをされたからのようだ……。
「い、いや、何でだよ! 俺のチャンネルがbanだなんて……そ、そんな馬鹿な!?」
俺はそう言いながら急いでメールの内容を確認していった。するとそこには永久banに至った経緯が書かれていた。
ここ数日間行っていた飲酒配信中に酔っぱらった俺がエロ話や誹謗中傷に繋がる話や何度も殺すぞ……的なNGワードも何度も行っていたらしく、リスナーが公式サイトに通報を何度も送っていたらしい。
正直俺は毎日酔っぱらっていたから配信で何を話したかなんて記憶は一切無いんだけど、でもどうやら俺はそんな話をしていたようだ。そしてその結果として俺のチャンネルは永久banになってしまったという事らしい。
「なっ……ふ、ふざけんなよ! 俺は金が無くなってしんどくて……それでちょっとだけ現実逃避のために酒を飲みながら皆と面白おかしく話てただけなのに……たったそれだけの行為で永久ban!? ふざけんなよ!!」
―― バンッ!!
俺はイラつきながらスマホを地面に叩きつけていった。
だって俺はマジで何も悪い事なんてしてねぇのに、たったの数ヶ月の間にこんだけ不幸な目に遭わされてるんだぞ!? 酷すぎるだろ!!
だからそんな辛い日々を緩和させるために毎日酒を飲みながら皆と楽しく話してただけなのに……なんで俺にさらにこんな酷い目に遭わせるんだよ!! マジでふざけんなよ!!
「マジでふざけんなよ! このクソ運営が! はぁ、はぁ……って、あ、あれ? い、いや、でもちょっと待てよ……?」
でもかなり苛立っていた俺はある事に気が付いて一瞬で冷静になっていった。だって俺のチャンネルが永久banになったという事はさ……。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ……そうなると俺……来月からの収入……一切無くなるぞ……??」
その最悪過ぎる事に気が付いた瞬間……俺は顔が一気に青ざめていった。




