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72話:薬草採取をしていると……

 とある日の午後。僕は一人で地元のダンジョンで薬草採取を行っていた。


 薬草採取をしている理由は今度の動画は“調合”について話そうと考えているからだ。意外とハイポーションを作れる事を知らない冒険者も多いようなので、せっかくだし調合の話で一本の動画を作ったら皆のためになりそうだもんね。


 という事で今日はその動画で使用するための薬草を沢山集めている所だった。


「えぇっと、おぉっ、こっちにも薬草が沢山生えてる! いやー、今日は大量だなぁ!」


 そんな感じで僕は薬草をどんどんと採取していった。それに僕の地元は冒険者の数が圧倒的に少ないので僕以外に周りには誰一人としていなかった。そのおかげで僕はノンビリとした気持ちで薬草採取をする事が出来ていた。


 しかしその時……。


「ぐぐ、ぐぎゃあああ!!」

「ぐるるるる……ぐぎゃあああ!!」

「うん?」


 しかしその時、大きな雄たけびが僕の耳に聞こえてきた。僕は何だろうと思いながら頭を上げていくと、僕の目の前には数体のゴブリンが臨戦態勢で立っていた。どうやら採取に夢中になり過ぎてゴブリンに全く気が付いていなかったようだ。


「モンスターに気が付かないくらい薬草採取に夢中になってたなんて、これはちょっと冒険者としては反省だなぁ……って、おっと!?」

「ぐぎゃあああ!!」


―― ドンッ!


 僕はそんな反省をしていると、ゴブリン達は手に持ってたこん棒を振りかぶって僕に目掛けて全力で叩きつけてきた。僕はそれを瞬時に避けていった。


 そして僕はすぐさま腰に装備してた双剣を取り出していき、襲って来たゴブリン達を一斉に切り伏せていった。


「ふっ!」

「ぐ、ぐぎゃっ!?」


―― ザシュッ!


「ふんっ!」

「ぐぎゃああっ!?」


―― ザシュッ!


 僕は目の前のゴブリン達を一瞬で討伐していった。まぁゴブリンは下級モンスターなので魔法を使わずとも武器の攻撃だけで簡単に倒す事は出来る。だけど……。


「だけど何だか……今日のゴブリン達はちょっと凶暴だったような……?」


 僕は双剣を腰の鞘にしまっていきながらそんな事を呟いていった。ゴブリンは獰猛なモンスターではあるけど、でも目を合わせなければ先に攻撃をしかけたりなんてしない。


 それなのに今日のゴブリンは薬草採取をしてた僕にいきなり攻撃を仕掛けてきたなんて……何だか普段のゴブリンよりも凄く獰猛だった気がするな……?


「うーん……って、あぁ、そうか。そういえばそろそろモンスターの増殖期が来るのか」


 僕はそう言いながらすぐに理解していった。そういえばこの時期はモンスターの増殖期に入るんだった。


 なのでこの増殖期のモンスター達は沢山の栄養を追い求めて非常に獰猛になる傾向になっている。モンスター同士で争って食らい合ったりとかも多くなる時期だ。まぁモンスターも弱肉強食の世界だからしょうがない。


 そしてもちろんこれは冒険者にとっても死活問題になり得る。下級~中級程度のモンスターなら大丈夫だろうけど、上級以上のモンスターになると非常に凶悪なモンスターになってしまうので、この時期のダンジョン探索はいつも以上に注意深くする必要が出てくる。


「ま、それじゃあ増殖期が終わるまではあんまり深い階層までダンジョンを潜らないようにしなきゃだね。あとは高難度ダンジョンにも行かないようしなきゃだ」


 僕はそんな事を呟いていった。まぁモンスターが凶暴になるのは怖い事ではあるけど、そもそも上級以上のモンスターと出会わなければ何も問題は無いからね。


 だからこの時期は初心者~中級ダンジョンまでに行く事にしておけば大丈夫だ。そこら辺のダンジョンなら上級以上のモンスターなんて基本的には最深部らへんまで行かなければ遭遇する事はないしね。


「あ、それじゃあ今度のルリさんにコーチングする時はいつもよりも難易度を少し落としたダンジョンに行く事にした方が良いよね」


 そしてルリさんを危ない目に遭わせる訳には絶対にいかないので、今後のコーチングについても色々と考えていった方が良さそうだ。


 という事で僕はダンジョンから帰ったら早速ルリさんに今後のコーチングについての連絡をしていく事を決めていった。危ない目だけは絶対に遭わせられないしね。


 だけどこれからそう遠くない未来に……この増殖期によって恐ろしい事件が起きる事になるんだけど……この時の僕はまだそれを知るすべもなかった。

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