69話:月収が大幅に減ったんだけど……(スザク視点)
とある日。高級マンションのリビングにて。
「くっそ! ふざけんなよ!!」
―― バンッ!
俺はイライラとしながら手に持っていたスマホを床に思いっきり叩きつけていった。
イライラとしてる理由は簡単で、今さっきまで自分の事をSNSでエゴサしてたんだけど、俺に対する罵詈雑言のコメントがあまりにも多すぎてムカついたからだ。
という事で俺のプチ炎上の件は未だに燃え広がったままで、俺は今もSNSや匿名掲示板でバカにされたようなコメントを沢山書きこまれてしまっていた。
そのせいで俺のチャンネル登録者数も大幅に減ってきており、配信をしても同接が1000人を切るような事態も多くなってきた。今までは余裕で10000人とか越えてたのに……。
しかも配信に来るリスナーも大半がアンチで煽ったり喧嘩を売って来るようなコメントばかりになってきていた。マジで不愉快なコメントばかりで毎日イライラとしている。でも正直アンチコメントとかそんなのぶっちゃけどうでも良かった。
そんな事よりもスパチャを投げてくれるヤツが一人もいなくなってしまったという事の方が俺にとってはよっぽどの大問題だった。今までは毎日沢山のリスナーから赤スパを貰えてたのに、炎上後はスパチャを投げてくれるヤツは誰一人としていなくなってしまったんだ……。
さらに配信だけでなく動画の再生数もかなり落ちてきてしまったので、その結果として先月の収益はたったの20万しかなかった……。
今までは月収で500万以上は余裕で稼いでたってのに、これからはたったの20万ぽっちの収益でどうやって暮らせば良いんだよ……。
「普通に考えて20万ぽっちなんて2~3日あれば余裕で使い切るってのにこんなんじゃ生きていけねぇよ!! くっそ、俺は何も悪い事してねぇのに……何でこんな事になっちまったんだよ!」
俺はイラつきながら部屋の中で盛大に怒鳴り散らしていった。こんな理不尽な目に遭うなんて許せねぇよ!!
だって俺はマジで何も悪い事なんてしてないんだぞ。今まで普通に冒険者として楽しく配信したり、女の子と楽しく遊んでただけなんだからな。
それなのにあの如月ルリとかいう空気の読めないクソブス女が俺の事を無視してきたせいでこんな目に遭ってるんだ。いやマジで許せねぇ……あのクソブス女!
「あのクソブス女が俺の煽り合いのプロレス動画に乗ってさえいれば俺は炎上なんてしなかったんだ。それなのに俺の事を無視しやがって……マジでふざけてんなよ!」
ってかそもそもあのクソブス女が俺のオフパコの誘いに乗ってさえいれば、俺はこんな酷い目には遭ってなかったんだ。そう考えたら俺が今金が無くなってるのって全部あのクソブス女のせいじゃねぇかよ!!
しかも俺はあのクソブス女のせいで金が無くなって酷い目に遭ってるってのに……あのクソブス女は今もクソ痛い信者共を囲って大量のスパチャ貰って悠々自適に暮らしてんだろ? マジで理不尽過ぎるだろ! 死ねブス!!
―― プルルルッ……プルルルッ……♪
「はぁ、はぁ……って、うん?」
するとその時、床に叩きつけたスマホから急に着信音が流れて来た。なので俺は急いでスマホを手に取って電話に出ていった。
「はぁ、はぁ……はい、もしもし?」
『お世話になっております。こちらマンション管理会社の者なのですが、先月の御家賃の引き落としが完了出来ておりません。どうやら引き落とし用の銀行口座にお金が入ってないようですので、お手数ですが家賃の振り込みをお願いしたくお電話をさせて頂きました』
「え……って、え!? や、家賃っすか!?」
『はい。ですので家賃の50万円を至急該当口座に振り込んで頂きますようお願い致します。それでは振込先の口座ですが……』
「なっ!? さ、早急に50万!?」
俺はそんな電話を聞いて頭がクラクラとしていった。そうだった。そういやこの高層マンションの家賃は50万もするんだった……。
(だけど俺は貯金なんて1円たりともしてないから、今すぐに家賃の50万を払うなんて無理だぞ……)
というか電気代とか水道代とかその他もろもろの代金の事も考えたら、多分早急に払わなきゃいけないのって合計で60万以上は行くんじゃねぇかな? いや今は20万しか手元に無いのにそんなに金払えって言われても無理に決まってるだろ……。
(く、くそ……こんな事ならマジメに貯金くらいしとけば良かった……!)
俺は今まで稼いできた金はその月の内に全部使い切ってしまっていたから貯金なんて一切してこなかったんだ。だってこれからは死ぬまで毎月500万以上の月収が手に入ると思ってたからな……。
だから俺は今まで稼いできた金を使って毎日のように女の子と遊びに行ったり、旨い飯を食いに行ったり、全国にある有名風俗店とかにも飛行機を使って遊びに行きまくってたりしたんだ。
それなのにこんな突然と月収が500万→20万まで減らされるなんて誰も予想出来ないだろこんなの! く、くそ、こんな事になるんだったら少しくらいは貯金に回しておくべきだった……。
でも今の俺にはそんな後悔をしてる時間なんて1秒たりとも無い。俺はこれから早急に家賃と光熱費の金を何とかしてかき集めなければいけないだ。だけど今すぐに50万以上もの大金を用意するなんて無理ゲー過ぎるだろ……!
「く、くっそ、マジで何でこんな不運な目に遭い続けなきゃなんねぇんだよ!」
俺はマジで何も悪い事なんてしてないってのに……ふざけんなよ! ってかこれから金が無くて俺はどうやって生きていけばいいんだよ!!




