67話:ルリさんとコラボ配信をしていく③
僕はガーゴイルと対峙していきながら早速とある魔法を詠唱していった。
「よし、それじゃあ……下級魔法起動、闇穴生成」
―― ブォン……!
そう唱えると僕の頭上には黒色の渦が大きく広がっていった。その様子を見てルリさんはビックリとした表情をしてきた。
「闇魔法? ユウ君って闇魔法も使えるの? 動画とか配信を見てたらユウ君は火属性特化型だと思ってたんだけどそういう訳じゃないのかな?」
「いえ、ルリさんの言う通り僕は火属性特化で合ってますよ。ただ何かあった時のために全属性の下級魔法も何個か覚えてるだけです。ちなみに闇魔法で僕が使えるのはこのダーク・ホールだけです」
「へぇ、なるほどね! 私も今の所はずっと風属性特化型で頑張って来てるんだけど、やっぱり全属性の下級魔法くらいは覚えておいた方が良いのかな?」
ぺこ:私も魔法は単属性特化型にしてるからそこら辺は気になるかも!
花木:最近冒険者になったばかりだから是非ともオススメの魔法取得に関しては教えて欲しい!
atagi:前にユウ君せんせーが言ってたけど、とりあえず下級魔法は満遍なく取得した方が良いのかな?
「はいそうですね。下級魔法でも便利な物は多いですし、覚えておいて損は無いですよ。中級以上の魔法を取得するのはかなり大変ですけど、下級魔法なら簡単な物なら一週間程度もあれば取得出来ますしね」
「なるほどねー! あ、ちなみに今ユウ君が発動したダーク・ホールはどんな効果なのかな?」
「このダーク・ホールというのは異空間の穴を呼び出す事が出来る魔法です。そしてこの異空間の穴の中は色々な物を収納する事が出来るので、僕はこの魔法を武器庫に使ってるんです。まぁ沢山の武器を持ってダンジョン内を練り歩くのはしんどいですからね」
「なるほど、闇魔法にはそういう使い方もあるんだね。あ、でもという事はさ……今はガーゴイルを倒すための武器を取り出す最中って事なのかな?」
「はい、そうです。まぁそんな訳でガーゴイルを倒すためには……うん、やっぱりこの武器かな!」
「え? って、わわっ!?」
―― ズドンッ!
そう言うと僕の頭上に出来ていた黒色の渦から大きな斧状の武器が地面に落ちていった。
「え、えっと、その武器は一体?」
「これは槍斧と呼ばれている武器で、まぁ名前の通り斧と槍を組み合わせた武器ですね。そして僕が現状持ってる武器の中で一番物理攻撃力が高い武器がこれです」
「な、なるほどー……って、えぇっ!? 物理攻撃力が一番高い武器!? そ、それじゃあもしかして……物理で殴ってガーゴイルを倒すって事なの!?」
「はい、その通りです。まぁもちろんガーゴイルを倒すためには魔法も使いますけどね。よし、それじゃあ……我に火の加護を。中級魔法起動、火属性・自己身体強化!」
―― ボワッ……!
僕がそう唱えていくと橙色の炎のような光が全身に纏わりついてきた。そしてその橙色の光に包まれた僕の身体は一気にやる気に満ち溢れていった。
「あ……な、なるほど。強力な武器と自己バフ魔法を使って物理でガーゴイルを倒すって事なんだね。で、でもそれだけでガーゴイルって簡単に倒せるのかな?」
「はい、もちろんこれだけではガーゴイルを簡単に倒す事なんて出来ません。ですからルリさんにお願いしたいんですけど……僕に風属性の強化魔法を施してくれませんか?」
「えっ? 風属性の強化魔法をユウ君に? でも今既に火属性の強化魔法が施されてる状態だよね? 確か強化魔法って重複はしないんじゃなかったっけ? だからまた風の強化魔法を施しても意味なんて無いんじゃ……」
「いえ、強化魔法については色々と制約があるんですけど……まぁそこは実際に見て貰った方が早いと思うので、僕に強化魔法をお願いできますか?」
「う、うん、わかったよ。それじゃあ……汝に風の祝福を。中級魔法起動、風属性・味方身体強化! って、わわ!?」
―― ボワッ……!
ルリさんがそう唱えていってくれると、僕の身体には緑色の光も僕に纏わり付いてきた。そして僕の身体はさらなる強化が施されていった感覚が入っていった。
「す、すごい! 二種類の光がユウ君に纏わり付いてる! え、も、もしかして……強化魔法って重複するの!?」
「いえ、それは半分正解で半分間違いです。強化魔法は重複するものとしないものがあるんです。たとえば同属性の強化魔法は絶対に重複はしません。だから風属性の強化魔法を連続で何度も唱えた所で強化が施されるのは最初の一度だけです。でも……」
「で、でも……?」
「でも他属性の強化魔法であれば強化効果は重複するんですよ。なので火属性の自己バフ魔法と風属性の味方バフ魔法の効果は重複するんです。しかもこの強化効果の重複は加算ではなく相乗していくので……」
「グルル……グギャアアアアアッ!!」
「ふんっ!!」
―― ドゴォォオンッ!!
「グギャ!? グギャアアアア……ッ……!!」
僕はそう言いながら突撃してきたガーゴイルに向かってハルバードによる強力な一撃を叩きつけていった。するとその一撃でガーゴイルの全身には無数のヒビが入っていき、すぐに大きな音を立てて崩れ去っていった。
「ふぅ……と、まぁこんな感じで強力な一撃を叩きこむ事が可能になるという事です」
「お、おぉっ! こ、こんな簡単にガーゴイルを倒すなんて凄すぎるよ!」
という事で僕はなるべくわかりやすく解説をしながらガーゴイルを一撃で倒していった。




