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63話:雪人君と話をしていく

 雪人君に挨拶を済ませていった後、僕と浅香は雪人君と楽しく話を始めていった。


 雪人君と話しているととても明るくハキハキと喋っている印象を受けた。どうやら雪人君はお姉さんと同じでとても明るく社交的な男の子のようだ。


 そんな明るく社交的な性格のおかげで僕も浅香も楽しく雪人君とお話する事が出来た。


「えっ? 雪人君は僕の動画を全部見てくれたの?」

「うん! ユウ君せんせーの動画は全部すっごくわかりやすかった! だから僕はユウ君せんせーの動画を見てしっかりと勉強していって、それでいつか立派な冒険者になるんだ!」

「あ、こら、雪人。ユウ君せんせーは年上なんだからちゃんと敬語で喋りなさい」

「あ、そ、そっか……ご、ごめんなさい……お姉ちゃんと喋ってる感覚でユウ君せんせーにも話しちゃいました……」


 そんな感じで雪人君と冒険者についての話で盛り上がっていると、ルリさんは雪人君の口調について注意してきた。


 そして雪人君はルリさんの言葉を聞いてすぐに反省したようで、凄く申し訳なさそうな顔をしながら僕にそう謝ってきてくれた。


「あはは、そんなの大丈夫だよ。僕もこうやってフランクに接してくれる方が嬉しいからね。だからいつも通りお姉ちゃんと話す感じで喋っていいよ」

「えっ? い、いいの? うん、ありがとう! ユウ君せんせー!」

「ユウ君……うん、ありがとう。ふふ、やっぱりユウ君は優しいね」


 まぁでも僕はルリさんと雪人君に向かってそんなの全然気にしなくて大丈夫だと笑いながら伝えていった。無理に敬語で喋られるよりは明るく元気に接してくれる今の方が僕としては楽しいしね。


 という事でその後も僕は雪人君と一緒に冒険者や僕のチャンネルについての話をしながら盛り上がっていった。


「そういえば雪人君は僕の動画を全部見てくれたんだよね? それじゃあ何かお気に入りの動画とかはあったかな?」

「うん! 前に投稿してくれた武器の手入れ動画はすっごく面白かった! あれから毎日僕も手入れキットを使って研磨とかの勉強を頑張ってるんだ! それと一番最初に投稿した動画で紹介してたモンスター図鑑もお姉ちゃんにお願いして買って貰ったんだ! 今はその図鑑も毎日読んでしっかりと勉強していってるんだ!」

「おぉ、それは凄いね! そういう知識はいつか冒険をする時に絶対に役立つ日が来ると思うから、是非ともこれからも沢山勉強を頑張っていってね! 僕も応援してるよ!」

「うん、ありがとう! ユウ君せんせー! あ、そ、そうだ。それじゃあその……僕の病気がいつか治ったら……いつか僕にも冒険者のコーチングをしてくれませんか……?」

「え? 僕が雪人君のコーチングを?」


 するとその時、雪人君は僕に向かっていつかコーチングをして欲しいとお願いをしてきた。


 さっきまで凄く元気だったのに、何だかちょっと緊張気味になりながら雪人君はそんなお願いをしてきた。もしかしたら僕が雪人君のお願いを断ると思っているのかもしれないな。


 だから僕はそんな雪人君のお願いに対して優しく笑みを浮かべていきながらこう返事を返していった。


「あはは、そんなのもちろんオッケーに決まってるよ! 僕で良ければいつでも雪人君の冒険者の先生になってあげるよ!」

「え……ほ、本当に!?」

「うん、本当本当! 雪人君のためならいつでも東京に行くからさ……だから雪人君の病気が治ったらいつか一緒に冒険に出かけようね?」

「う、うん! ありがとう、ユウ君せんせー! 絶対に約束だよ! 病気が治ったら一緒に冒険に行こうね!」

「うん、約束だよ! あ、そうだ。それと今日は僕のチャンネルの初めてのファンである雪人君とこうして出会えたわけだし、せっかくだから何かプレゼントをしてあげなきゃだよね。という事で浅香、あれを雪人君に渡してあげてよ」

「了解、お兄ちゃん。えぇっと、それじゃあ……はい、これ! 雪人君、どうぞ!」

「え? って、わわっ! 何だかすっごく綺麗な石だね!」


 そう言うと浅香は鞄の中から綺麗な漆黒の石が埋め込まれたアクセサリーを取り出し、それを雪人君に手渡していった。


「これは黒煉石っていうダンジョンにしか生成されない鉱石を使って作った自家製のアクセサリーなの。私の自信作だから良かったら雪人君にプレゼントしてあげるよ」

「えっ!? これ浅香お姉ちゃんが自分で作ったアクセサリーなの!? しかもこの綺麗な黒い石ってダンジョンでしか手に入らない鉱石なの!? わわ、それじゃあこれってすっごく価値の高い鉱石なんじゃ……?」

「うん、まぁそれなりに価値は高い鉱石だよ。でも冒険者になれたらこういう新種だったり高価な鉱石を集めたりする事も出来るんだよ。ふふ、すっごいロマンがあるよね? だからさ、雪人君もいつか元気になったら、ダンジョンに行って自分の力で高価なアイテムとかを見つけ出してみてね。私も応援してるからさ!」

「あ、浅香お姉ちゃん……うん! ありがとう! 絶対にいつか元気になったら自分でアイテムを集めていってみるよ! それでいつか自分の力で綺麗な鉱石とかを見つける事が出来たら……そしたら今日のお礼にその綺麗な鉱石は浅香お姉ちゃんにプレゼントしてあげるね!」

「おー、それはすっごく嬉しいな! うん、それじゃあその時は雪人君がくれた鉱石を使ってまた綺麗なアクセサリーを雪人君のために作ってあげるね。だから雪人君が冒険者になって綺麗な鉱石を見つけてくれる日を楽しみにしてるからね」

「えっ!? ほ、本当に!?」

「うん、もちろん本当だよ。あ、それじゃあ約束を破らないように指切りもしておこうか?」

「うん、わかった! それじゃあ、指切りげんまん……」


 浅香は優しく笑って雪人君と指切りをしながらそんな約束を交わしていった。


 僕はそんな二人の約束が叶う日がいつか絶対に来ると信じながら、その二人の微笑ましい光景を温かく見守っていった。

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