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62話:ルリさんの弟さんと初めて邂逅していく

 ルリさんと合流した後、ルリさんはすぐに浅香の方を見ながらこう言ってきた。


「あ、もしかして君がユウ君の妹さんなのかな?」

「え? あ、は、はい、そうです! はじめまして! ユウの妹の浅香と言います! 中学三年生です! い、いつも兄がお世話になっています!」


 浅香は緊張気味になりながらルリさんに向かって自己紹介を始めていった。するとルリさんはパァっと明るく笑いながら浅香にこう言ってきた。


「あぁ、やっぱり君がユウ君の妹さんなんだね! ご丁寧に自己紹介してくれてありがとう! 私は如月ルリと言います! 私こそいつもお兄さんには色々と助けて貰ってるよー! それにお兄さんの動画とかも参考にさせて貰ってるしね!」

「そ、そうなんですね! 兄がルリさんの助けになっているのなら本当に良かったです! あ、実はその……私もルリさんの動画をいつも参考にさせて貰っています!」

「そうなの?? お兄さんと同じで浅香ちゃんも私のチャンネルを見てくれてるんだ? あはは、それは嬉しいなー!」

「は、はい、そうなんです! それでいつもルリさんって凄く綺麗な人だなーって思いながら動画を視聴してたんですけど、でも実際に会ってみたルリさんは動画で見てたよりも顔が小さくて可愛いし、スタイルもモデルみたいにスレンダーで、そ、その……もう今まで以上にファンになっちゃいました!」


 浅香は緊張気味にそんな事をルリさんに全力で伝えて言っていた。それにしても何だか僕が最初にルリさんと出会った時と全く同じ感じになっているな。


(はは、やっぱり僕達って血の繋がった兄妹なんだなぁ)


 僕はそんな緊張しまくってる浅香の様子を見て心の中でそんな事を思いながら笑っていった。


「いやー、そこまで褒めちぎって貰えると凄く嬉しいよー。だけど私って冒険者系の動画はそんな出してなかった気がするんだけど。だから浅香ちゃんの参考になる冒険者動画って何かあったっけ?」

「あ、い、いえ! 冒険者系の動画ではなくて、ルリさんのメイク動画とかコスメ紹介とか色々と参考にさせて貰ってます! ちょっと前にもルリさんが紹介してたコスメグッズをネット通販で買いましたよ!」

「えっ? そうなの!? わわっ、それはすっごく嬉しいなー! 私のメイク動画とかコスメ紹介を見てくれてありがとう! これからも頑張ってそういう動画も沢山作っていくから、よかったらこれからも応援していってね!」

「は、はい、もちろんです! あ、そ、そうだ。それじゃあその……凄く厚かましいお願いだと思うんですけど……握手とかお願いしても大丈夫ですかね……?」

「うん! そんなのもちろんだよ! それじゃあ……はい!」

「あ、は、はい! わわっ……!」


―― ぎゅっ……!


 そう言うとルリさんは手を差し伸べて浅香とぎゅっと握手を交わしていった。浅香は緊張しながらも凄く嬉しそうな表情で握手を交わしていった。


 いつも真面目でしっかり者な浅香がここまで緊張しているのは凄く珍しい事なので、僕はちょっとだけその光景を微笑ましく見守っていった。


「わ、わわっ……あ、握手して頂きありがとうございます! これからもルリさんの事を応援してますのでこれからも頑張ってください!」

「そう言ってくれてありがとう! これからも私の動画を是非とも楽しんでいってね! それじゃあ挨拶も済んだ事だし、そろそろ病院の中に入って行こうか!」

「はい、わかりました。それじゃあ弟さんの病室まで案内をお願い出来ますか?」

「うん、任せて! それじゃあ私の後に付いて来てね!」

「はい!」


 という事で僕達はルリさんの後について病院の中へと入って行った。そしてルリさんの案内の元、病院の中を歩くこと数分……僕達は“如月雪人”という名前が書かれたプレートが付いてる病室の前にやって来た。


 なので僕と浅香は一旦病室前の廊下で待機しておく事にして、まずはルリさんが一人で先に病室の中に入って行った。


―― ガラガラ


雪人(ゆきと)ただいまー」

「あ、お姉ちゃん、お帰りなさい!」

「うん、ただいま! あ、実はね……」


 病室前の廊下からはルリさんと中に居るであろう弟さんとの会話が少しだけ聞こえてきていた。


 そしてそれから程なくして、ルリさんと弟さんとの話が終わったようで、ルリさんは廊下で待っていた僕達に声をかけてきてくれた。


「よし、それじゃあ今から呼んでくるからちょっと待っててねー……はい! それじゃあ二人とも入って入ってー!」

「あ、は、はい、わかりました。それじゃあ……お邪魔します!」

「お邪魔します!」


 ルリさんから病室の中に入る許可を貰えたので、僕と浅香も病室の中に入っていった。


 すると中は一人用の個室になっていて、ベッドの上には小学生くらいの男の子が横たわっていた。おそらくこの男の子がルリさんの弟さんなんだろうね。


「……って、あっ! ユウ君せんせーだ!」

「……え?」


 そんな事を思っていると、ベッドに横たわっていた男の子は急に僕の事をじっと見つめながら目をキラキラと輝かせてそんな事を言ってきた。


「ほら、お兄ちゃん。呼ばれてるんだからちゃんと挨拶しなきゃだよ!」

「え? あ、う、うん。そうだよね。えっと、はじめまして。僕はユウチャンネルを運営してます、ユウ……じゃなくて、ユウ君せんせーです! よろしくね!」

「わわっ! 本物のユウ君せんせーだ! はじめまして! 僕、如月雪人って言います! よろしくお願いします! ユウ君せんせー!」


 そう言って僕はルリさんの弟さんの雪人君と挨拶をしていった。そしてこれが僕達と雪人君の初めての出会いだった。

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