59話:ゴシップ雑誌に情報を売ったクソ女と通話していく(スザク視点)
所属してた事務所を辞めさせられてから数週間が経過した。
「テメェ、何で俺の情報を売ったんだよ!」
『……久々に通話してきたと思ったら、開口一番に聞く事がそれなの?』
「うるせぇよ! さっさと理由を喋れよこのブス!」
俺はゴシップ雑誌に俺の情報を売ったであろうクソ女の一人と通話でやり取りをしていた。今まで何度も楽しくオフパコしてきたはずなのにこんな裏切りをするなんてマジで許せねぇ。
『はぁ……そんなのゴシップ雑誌がアンタの情報を高く買うって言うから言い値で売り払っただけよ。だからビジネスよビジネス』
「は、はぁ? 何がビジネスだよ!? マジでふざけんな! お前のせいで俺は事務所を辞めさせられたんだぞ! それに俺に付いてたスポンサーも全部撤退されちまったし……これからの俺の稼ぎをどうしてくれるんだよ!」
『いやそもそも事務所を辞めさせられるような酷い事をしてたアンタが悪いんじゃないの? 事務所に入れさせてやるから生でやらせろとか色々と要求したクセに最終的に連絡先ブロックするなんて鬼畜の所業じゃない。しかもそれを私以外の沢山の女の子にもしてたなんて知ってドン引きしたわ』
「う、うるせぇよ! ってかお前らだってオフパコしてた時は凄く楽しそうにしてたじゃねぇかよ!! それなのに俺と嫌々オフパコしてたみたいな事言いやがって……マジでふざけんなよ!」
『そりゃああの時は大手事務所のアークナイトに入れると本気で思ったからね。アークナイトは入る倍率が物凄く高い代わりに、アークナイトに所属出来れば知名度が爆増するし案件も沢山貰えるから毎月莫大な給料が貰えるんでしょ? そんな大手事務所に所属出来るんだった喜んでセックスするに決まってるじゃない? まぁでも結局それは全部アンタの嘘だったわけだけど』
「ぐっ……な、なんだよ、それ! 結局テメェはただの金の亡者だっただけかよ! はんっ! マジでくだらねぇな!」
『ふふ、別に何とでも言えばいいわよ。というかアンタだってこれからはお金で困る事になるでしょ? 今だって来月からお給料がゼロ円になるから相当焦ってるんじゃないの? ふふ、いい気味ねぇ』
「なっ……!?」
電話口からクソ女の煽ったムカツク笑い声が聞こえてきた。俺はその声を聞いてわなわなと震え始めていった。
確かに俺が所属していたアークナイトは給料はめっちゃ良かった。動画案件は沢山貰えてたし、スポンサーも沢山付けて貰っていた。それにイベント系には必ずメイン所に採用もしてくれた。それら合わせて事務所からは給料として毎月数百万円が銀行口座に入っていた。
それが今回のゴシップ雑誌による影響で全てがパーになってしまったという事だ。クソブス女共の嫉妬のせいでこんな事になるなんて非常に腹立たしい。
「な、なんだよ、それ……それじゃあお前は俺に仕返しをしたいがためにゴシップ雑誌に情報を売ったって事かよ?」
『当たり前でしょ。いつかアンタを痛い目に遭わせてやると思って機会をずっと伺ってたのよ。そしたら急にアンタがプチ炎上を始めたから、これはチャンスだと思ってアンタの情報をゴシップ雑誌に売ったってわけ。その結果としてアンタが事務所を辞める事になったなんて凄く良い気味だわー』
「ぐ……こ、こいつ……!」
クソブス女は笑いながら俺に対してさらに煽った口調になりながらそう言ってきた。どうやら俺が不幸になっているのを凄く喜んでいるようだ。マジで性根が腐ってやがるな……!
(クソッ! だけどこんなクソブス女の思う壺になってたまるかよ!!)
こんなクソブス女を喜ばせる事になるなんて物凄く腹立たしいだけなので、あえて俺はノーダメのフリをしながら大きく笑い始めていった。
「は、はん! テメェは俺がこれから無一文になって困ると思ってんだろうけど、そんな訳ねぇだろ! バカかテメェは!! 確かに俺は今までアークナイトの案件とかで毎月300~400万近く稼がせて貰ってきたさ。でもその事務所からの金が無くなったとしても、俺は全然ノーダメなんだよ!」
『ふぅん? どういう事よ?』
「そんなのわかるだろ? 俺は有名な冒険者配信をしてるんだぜ? チャンネル登録者が80万人もいる大手なんだよ! それで毎月リスナーからのスパチャが毎月200万近くは入ってくるんだ! だから事務所からの金が無くなった所でこれからも余裕で毎日遊んで暮らせるくらいの金は毎月稼げるんだよ!」
「……」
俺はクソブス女に向かって高らかに笑いながらそう叫んでいった。俺は毎月スパチャだけでも200万近くはいつも稼いでいた。さらに誕生日がある月には500万近くを稼いだりもしてる。
だから正直事務所を辞めた所で金に関しての問題は全然無かった。そりゃあ案件とかスポンサー広告の方が沢山金を稼げるのは確かだけど、でもリスナーからのスパチャだけでも俺は毎日余裕で遊んで暮らせるからな。
「はん! だからテメェのショボい仕返しなんて俺にはノーダメなんだよ! 事務所の金が無くても余裕で生きていけるくらいの金は稼いでるんだからな! ぷはは、どうだよ? 俺がノーダメすぎて落胆しちまったかー?」
『……ぷぷっ、ぷははっ!』
「? な、なんだよ? いきなり笑ったりなんかして?」
『ぷはは、いやそりゃあこんなの笑うに決まってるでしょ! これからも沢山のリスナーがこれからもアンタにスパチャを送ってくれると思ってるなんてさぁ……ぷはは、流石にそれはアンタ滑稽過ぎでしょ! ってか流石にアンタ面白すぎよ!』
「は、はぁ? ど、どういう事だよ?」
『ぷはは……あー、面白かった。ふふ、どういう事って言葉通りの意味よ。ま、どうせ次に生配信した時にはすぐにわかるわよ。それじゃあもういい? 私はアンタと違って仕事があって忙しいんだからもう電話切るわよ。それじゃあね』
「え? あ、ちょっ!?」
―― ブツッ……
そう言ってクソブス女は一方的に電話を切っていった。マジで最後までずっと不愉快なクソブス女だったな。
だけど最後のクソブス女の言葉……次に配信をしたらわかるって一体どういう事だよ?




