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56話:またまた事務所に呼び出された件(スザク視点)

 とある日の事。


 俺は社長に呼び出されて事務所へとやって来た。


「今日は何で呼んだかわかるな?」

「……まぁ、それは……」


 事務所に到着すると社長は腕を組みながらジトっとした目つきでそう尋ねてきた。なんで呼び出されたのかなんて当然わかっている。


 だって社長が座っているテーブルの上にはゴシップ雑誌が置かれている。それは俺のオフパコ記事が書かれていた例の雑誌だ。


「はぁ、お前という奴は全く……こんな最低な行為をしてたなんてな……」

「い、いや、俺がオフパコしてたのは社長だって知ってるだろ? それなのに最低な行為って……」

「別にオフパコが悪いと言ってるわけじゃない。ちゃんと相手と合意の上なら私だってお前のプライベートにとやかく言うつもりはないさ。だがこの記事の内容だとお前は女性に無理矢理関係を迫ったように書かれているのだが?」

「い、いや、そんな事はねぇって。皆俺とエッチが出来て嬉しいって言ってたからな。だからこの記事は滅茶苦茶に脚色されてるんだよ! 絶対に女側がインタビューで盛った回答をしたんだって! だから俺は悪くねぇんだよ!」

「だがこの記事には複数人の女性からインタビューを受けて貰ったと書かれてるぞ? それじゃあスザクはインタビューを受けた複数人の女性達は全員インタビューに盛った回答をしたと言うのか?」

「うぐ……そ、それはその……」

「しかもこの記事にはスザクは如月ルリ氏の身体を狙ってたと書かれているのだが? しかし結局ルリ氏とオフパコが出来なかったので、その腹いせにルリ氏のチャンネルを荒らしたという事が書かれているがそれはどうなんだ? それは本当なのか?」

「い、いや、それはその……」


 俺は社長の尋ねてきた質問への回答に困ってしまった。だってそれは本当の事だったからだ。


 俺は如月ルリがオフパコに誘えなくてイラついたからアイツのチャンネルを荒らしたんだ。さらにワイバーンを召喚して痛い目に遭って貰う事も画策したんだ。


(だけど何でその事がゴシップ雑誌に載ってるんだ……って、あっ)


 そういえばそんな話をオフパコのピロートーク中に話した記憶がある。


 ダンジョンライバーには如月ルリなんていう調子乗ってるクソブス女がいるけど、そんなクソブス女よりも君の方が最高の女だっていう話をしたな。


 それであのクソブス女は調子乗ってるから最近はアイツのチャンネルを荒らしてるってつい口を滑らした記憶もあるわ……。


「はぁ、どうやら本当のようだな。ただでさえ今はファーストライブさんとの協議で大変だっていうのに、お前は新しい火種をどんどんと作りだしてくれる……はぁ全く、また一つファーストライブさんに謝らなければならない事が増えてしまったな」

「いや、その炎上に関しては俺のせいじゃねぇって……如月ルリが俺へのアンサー動画を出さなかったせいでここまで炎上してるんだろ。アイツがちゃんとプロレスしてくれればこんな大炎上なんて絶対にしなかったんだからな……」

「人のせいにするんじゃない! そもそも謝罪動画を作る時は一旦私に見せろと言ったのにそれを無視して投稿したせいでこんな事態になってるんだぞ! お前はそれをちゃんと理解してるのか?」

「う……」


 社長は激怒しながらそう言ってきた。俺はもうその言葉を聞いて黙るしかなかった。


 以前に投稿した如月ルリを救いたいという動画は視聴者からかなり否定的なコメントを貰ってしまい、さらには如月ルリからのアンサー動画も一切なかったせいで滅茶苦茶な低評価を貰って大炎上していってしまったんだ。


 そしてその結果としてアークナイトとファーストライブの関係は大悪化してしまったらしく、社長は連日のようにファーストライブの事務所に謝罪に行ってるらしい。


「はぁ、全く……これまでお前の事は何度も守ってきたが……流石にもうこれ以上はお前を庇い続けるのは不可能だな……」

「え? ど、どういう事だ?」

「どういう事って……お前はこんなにも大きな事件を起こしたんだぞ? しかも我が事務所にだけじゃなく、他の事務所にまで大きな被害を与えたんだぞ? その責任を取ってスザクにはこの事務所から脱退してもらうからな」

「は、はぁ? 俺に辞めろって言うのかよ?」

「当たり前だろ。お前のせいでこの事務所にもファーストライブさんにも大きな被害を与えたんだぞ。そしてこれ以上お前をこの事務所に入れておいても被害がさらに増大していくだけだ。だから被害をこれ以上増やさないためにもお前にはこの事務所を辞めてもらう」

「ちょ、ちょっと待ってくれよ! そうなったらファーストライブとの話し合いはどうなるんだよ? 俺一人だけに全部の責任を押し付ける気かよ!? ちゃんと最後まで責任を持って話し合いをしろよ!」


 俺は慌てながら社長に向かってそう叫んでいった。


 今まではアークナイトとファーストライブの話し合いだったのに、それじゃあこれからは俺とファーストライブの話し合いになるって事か……?


(ふ、ふざけるなよ! それじゃあ今回の責任を全部俺一人に押し付けるつもりかよ!)


 そんなのまっぴらごめんだぞ……! というか社長にだって責任あるんだから……一人だけ逃げるなんて許さねぇぞ……。


「はぁ……お前はもう二十歳過ぎの立派な大人だろ。何で急にそんな子供じみた事を言うんだ……はぁ、まぁいい。ファーストライブさんとの話し合いは既に完了している。ファーストライブさんはもうこれ以上自体を大きくしたくないとの事だ。だからお前と事務所で謝罪文を作って反省してくれればもうそれでいいとの事だ」

「え? マジで? それだけで全部チャラにしてくれるのか?」

「あぁ、そうだ。ここまで大炎上したのにファーストライブさん側はそれで全て許してくれるとの事だ。まぁ正直もう弊社とは関わりたくないと苦言を呈されてしまったがな。はぁ……」


 社長はそう言ってため息を付いていった。そしてそのまま俺の事をジトっと睨みつけながら続けてこう言ってきた。


「まぁそういうわけでファーストライブさんとの問題は我々の方で解決させる事になったが、それ以外の問題は我々の方では面倒は一切見ないからな。自分自身の炎上や女性問題については自分でしっかりと解決しろ。わかったか?」

「わ、わかったよ……」

「よし。それじゃあ今からしっかりとした謝罪文を作っていき、それをファーストライブさんに送っていくぞ。それが完了したらその謝罪文をSNSにも掲載していく。そしてそれらが全て終わったら今回の責任を取ってスザクにはこの事務所を辞めて貰うからな。本来なら契約不履行という事で違約金が発生する所だが、それは今までの恩情で勘弁してやる。それで良いな?」

「あぁ、わかったよ……」


 という事で俺は社長に添削をして貰いながら謝罪文を書いていき、それをファーストライブに送っていった。


 そしてその謝罪文はファーストライブの社長にしっかりと受け入れられたという連絡が届いたので、これで今回のファーストライブとの争いは全てチャラという事になった。


 そして最後に俺のSNSにも今回の如月ルリへの荒らし事件の謝罪文を掲載していき、事務所も退所する事を報告していった。これで今回の事件は無事に終わった。


 しかし俺がSNSに投稿したその謝罪と退所報告のコメントには、大量の馬鹿にする返信コメントが付いていた。


 馬鹿過ぎるとか、キモすぎとか、メシウマとか、アカウント消せとか……マジで色々なクソコメが大量に付いてきた。


「クソ……何でこんな馬鹿にされなきゃいけねぇんだよ……!!」


 俺は全然悪い事なんてしてねぇのに……何でこんな大量のカス共から馬鹿にされなきゃいけねぇんだよ……!

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