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50話:黒煉石を採掘しながら浅香と雑談する

―― カーン……カーン……カーン……


 僕は浅香と一緒にダンジョン最深部でピッケルを持ちながら黒煉石の採掘を行っていた。


 まぁでも黒煉石はレア鉱石なのでそんな簡単に入手は出来ない。なので僕と浅香は他愛無い話をしながらノンビリと気長に採掘をしていた。


「あ、そうだ。そういえば浅香って闇魔法の魔法を結構使ってるよね? それじゃあ浅香って召喚魔法は使えるの?」

「召喚魔法? いや、私が使える闇魔法は弱体魔法(デバフ)と転移魔法だけだよ。でも何でそんな事を急に聞いてきたの?」

「あぁ、えっとね、ちょっと前にルリさんがヤングワイバーンに襲われた事件があったでしょ? 実はそのヤングワイバーンは召喚魔法で呼び出されたらしいんだよ」

「あぁ……うん、そのニュースは私も冒険者ギルドのお知らせで聞いたよ。人を傷つけるために魔法を使うなんて酷い冒険者がいたもんだよね……」

「うん、そうだね。でもその事件はまだ“事故”なのか“故意”なのかはわかってないんだ。それで召喚魔法はわざとじゃなくても人を傷つける可能性がある魔法だから、もし浅香も召喚魔法が使えるようだったら出来る限りは使わない方が良いって言おうと思ってね」


 という事で僕は浅香に注意喚起の意味も込めてそういう事を伝えていった。


「あぁ、なるほどね。でもそれなら大丈夫だよ。ギルドの支部長さんが召喚魔法は危ないから子供の間は使わない方が良いって言われたからそもそも召喚魔法は習得してないしね。だけど魔法を使って他人を傷つける冒険者が出て来るなんて本当に怖いよね……お兄ちゃんも他の人に迷惑をかけるような事をしたら駄目だからね?」

「うん、もちろんだよ。まぁでも攻撃系の魔法は人は向けて発動したらギルドにすぐバレるような仕組みになってるから、無暗に人を傷つけるような危ない冒険者は滅多に現れないとは思うけどね」

「確かにね。って、あ……!」

「うん? って、おぉ!」


 そんな他愛無い話をしながら採掘を続けていると唐突に大きな漆黒の石がボロンと壁から落ちてきた。それは紛れもなく黒煉石だった。


「おー、これは大きな黒煉石だね。こんな立派な大きさの黒煉石は始めて見たかもしれないな」

「うん、私も初めてこんな大きさの黒煉石を見たよ! あ、そうだ。せっかくだしお兄ちゃんさ、良かったらこの写真を撮ってSNSにでも投稿してみたら?」

「え? SNSに投稿? 僕が黒煉石を採掘してる事なんて誰も興味ないでしょ? そんなの投稿する意味あるのかな?」

「いやそんなの意味あるに決まってるよ! お兄ちゃんはチャンネル登録者数が20万人に到達したし、今やお兄ちゃんは有名な冒険者の一人になったんだよ! だから日々の冒険してる内容もちゃんと呟いていった方が良いに決まってるよ!」

「な、なるほど? まぁそういう事ならせっかくだし写真を撮ってSNSに投稿しておくよ」

「うん、そうしておきなよ!」


 という事で僕は早速浅香が採掘した大きな黒煉石の写真を撮ってSNSに投稿してみた。


『妹と一緒にダンジョンに来て採掘してたら物凄く大きな黒煉石が取れました。妹がこの黒煉石を使ってアクセサリーを作るそうなので完成が今から楽しみです!』


「これで良しと……って、わわ!」


 そんな軽いノリの呟きを投稿していったら、その呟きに対して瞬く間に「イイネ!」と「拡散」がされ始めていった。


「わわっ! す、凄いよ、浅香!? な、何だか物凄い勢いで拡散されていってるよ!?」

「ふふん、そりゃあ今のお兄ちゃんは今や大注目されてる冒険者だからねー。だからお兄ちゃんの呟きにも皆注目するに決まってるでしょ。まぁそもそもこんな大きなレア鉱石の黒煉石を見たら皆凄いって驚くに決まってるんだけどさ」

「な、なるほどー……って、あ、カケルさん達も拡散してくれてる!」


『カケル:こんな大きな黒煉石初めて見た! めっちゃ凄いなー! 拡散!』

『シュウジ:ユウ君めっちゃすげぇな! 今度一緒に採掘しよう!w 拡散!』


 そんな感じでカケルさんやシュウジさん達も僕の呟きを引用しながら拡散をしていってくれた。


「おー、こんな有名人からも引用拡散されるなんて凄いねお兄ちゃん! 確かこの人達ってチャンネル登録者数150万人近くもいる配信者でしょ?」

「うん、そうそう。ちょっと前に知り合いになったんだ。今もちょくちょくSNSとかで交流させて貰ってるんだ」

「へぇ、こんな有名人とも仲良く交流してるなんてお兄ちゃんはやっぱり凄いね! でも何だかお兄ちゃんがどんどんと遠い存在になっていっちゃいそうだなぁ……お兄ちゃんが沢山の人に見られてきて凄く嬉しい気持ちもあるけど、何だかちょっとだけ寂しいなぁ……」


 浅香はそう言いながら少し寂しそうな表情をし始めていった。だけど僕はそんな寂しそうな表情をしている浅香に向かって、すぐに満面の笑みを浮かべながらこう言っていった。


「いやいや、絶対に遠い存在になんてならないよー! だって僕にとって浅香は凄く大切な妹なんだからね! それに浅香に何かあったら僕はどんな事があっても絶対にすぐに駆けつけるしさ、だから寂しくなんてならなくて大丈夫だよ!」

「お兄ちゃん……ふふ、ありがと。それじゃあこれからも頼りにしてるからね、お兄ちゃん!」

「うん、任せてよ。って、あ、そうだ。それじゃあさ、せっかくだし……今度僕が東京に行く時に良かったら浅香も一緒に行かない?」

「え、私も?」


 ふと僕はそんな事を浅香に提案していってみた。そしてそのまま続けて浅香にこう言っていった。


「うん、そうそう。実はそろそろ東京ダンジョンの動画とか撮っていきたいなって思っててさ、でも東京はまだまだ知らない土地だから一人で撮影とかするのはちょっと大変だから……だから浅香に撮影とか手伝って貰えたら嬉しいなって思ってさ」

「あぁ、なるほど。確かに東京ダンジョンは人も多そうだから撮影とか全部一人でやるのは大変そうだよね」

「うん、そうなんだ。あとやっぱり単純にまだ東京に行くと凄く緊張しちゃうから……だから浅香が一緒に居てくれると心強いなーって思ったりもしてね」

「あはは、お兄ちゃんは相変わらず緊張しいだねー。うん、わかったよ! それじゃあそんなお兄ちゃんのために私も一肌脱ぐよ! 私もお兄ちゃんの動画撮影に強力するね!」

「うん、ありがと、浅香!」


 こうして次回の東京遠征には浅香も一緒に行く事が決まっていった。


 あ、そうだ、それじゃあせっかくだしルリさんにも浅香の事を紹介していきたいな。

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