46話:あれから数週間程が経過した(スザク視点)
以前にオフパコで遊んだ女の子から“如月ルリがダンジョンでワイバーンに襲われた”という話を聞いてから少し日が経った。
俺はその話を聞いてから今までずっとビクつきながらの生活をする事になっていた。何故ならそのワイバーンは俺が召喚魔法で呼び出したモンスターだったからだ……。
そして俺は全然知らなかったんだけど、どうやら召喚魔法を発動すると何かしらの痕跡が残ってしまうらしい。なので冒険者ギルドとファーストライブは合同でワイバーンを召喚した犯人を捜そうと躍起になっていたんだ。
という事でワイバーンを召喚した人物が俺だとバレたら確実に逮捕されると思って今日までずっと気が気じゃなかった。そのせいでここしばらくは配信もオフパコも何にも出来ずにいたんだ。
でもそんなビクつきながらの生活も今日で終了する。何故なら先ほど顔見知りのギルド職員から聞いたんだけど、どうやらアストルフォの調査が打ち切りになったらしいんだ。
結局の所、アストルフォで召喚魔法が使われた痕跡は見つかったんだけど、それ以上の痕跡や証拠などは見つからなかったんだ。
そしてこれ以上の証拠などを見つけるのは困難だとギルド内で判断されたようで、最終的にアストルフォの調査は打ち切りになったらしい。
そして今後の対応策として、全ての東京ダンジョンの出入口に監視カメラを一台設置する事となり、これで今回のアストルフォの調査は全て終了になったそうだ。
という事で今回の騒動では俺は逮捕されずに無事に逃げ切る事が出来たのであった。本当にヒヤヒヤさせやがって心配して損したわ。
「というか普通に考えたら召喚魔法を使っただけで逮捕なんてされるわけないよな! はは、全く……あの女のせいで要らない心配しちまったなぁー」
まぁでもこれで憂いの気持ちは一切なくなったので、これからはまたいつも通り楽しく配信したりオフパコしたりする毎日に戻っていくとしよう!
あ、でも俺を無駄に心配させるような事を言ってきたあの女にはちゃんとケジメをつけさせなきゃだな。よし、それじゃあ今日は久々にあの女を呼び出して徹夜で滅茶苦茶にドエスプレイでもしていくとするかなー!
―― プルルル……プルルル……!
「ん?」
そんな事を思っていると急に俺のスマホが鳴りだした。俺のスマホに電話がかかってきたようだ。
すぐにスマホを確認していくと、電話の相手は俺が所属しているライバー事務所“アークナイト”の社長からだった。ちなみに社長は40過ぎの古臭い普通のオッサンだ。
そしてこの数日間に社長から何度も電話がかかってきてた事を今唐突に思い出していった。ここ最近はビクつきながら生活をしていたから社長からの電話は一切取ってなかったんだ。
だけど今はもうビクビクしながら生活する必要もなくなったので、俺は気楽な感じで社長からの電話を取っていった。
「あー、もしもし? 社長? どうかしたかー?」
『……どうかしたじゃない。こちらから今まで何度も連絡したんだぞ。配信を一切やらずに急に音信不通になるなんて……お前は一体何を考えてるんだ?』
「あはは、まぁ色々と忙しかったんだよ。でもこの業界っていきなり音信不通になる配信者や実況者なんて大量にいるんだし、別にそんな気にしなくてもよくね?」
『それはアマチュアの配信者や実況者の話だろ。アマチュアなら別に何の音沙汰もなく引退していっても何の問題もないに決まってるだろ。だがお前は事務所に所属してるプロのライバーだろ。それなのに連絡も寄こさずノルマの配信もやらないなんて……これは重大な契約違反なんだぞ。ちゃんと理解してるのか?』
「あはは、だから悪かったって。これからはちゃんと配信再開するから安心してくれよ、社長。あ、でも今日はこの後オフパコに行く予定だから無理だったわ。って事で明日から配信再開するわー。あはは!」
『……はぁ、性欲があるのは若い証拠だしとても羨ましくも思うが、今日の女遊びは中止にしろ。とりあえず今日は今すぐこのまま事務所に来い。スザクには聞きたい事があるんだ』
「え? 俺に聞きたい事? はは、一体なんだよ? 俺は今からオフパコしに行くんだから電話で直接言ってくれよなー」
『……とても重要な話だから電話では絶対に話す事は出来ない。だから今すぐ事務所に来い。わかったな?』
「ぷはは、なんだよ社長? もしかして怒ってんのかー? あはは、だから配信は明日からちゃんと再開するから安心してく――」
『いいから早く来いっ!』
「は、はぁ? わ、わかったよ……今から事務所に行けばいいんだろ?」
『あぁ、それじゃあ事務所で待ってるから早急に来てくれ』
「あ、あぁ、わかったよ。それじゃあな」
―― ピッ……
そう言って俺は社長との通話を終了していった。そしてそのまま俺は事務所に向かう準備を始めていった。
「っち、なんだよ全く……」
さっきの社長の様子はだいぶおかしかった気がする。何だかめっちゃ苛立った様子に感じた。いつも社長はかなり温厚なのに……何であんなブチギレてたんだ?
というかそもそも俺は社長にブチギレられるような悪い事なんて何もしてないぞ? それなのに何で社長はブチギレながら俺に電話してきてんだよ?
「はぁ、全くなんだよ。もう社長もだいぶオッサンだし更年期障害ってやつでイライラしてんのか? はは、全く……あんな無意味にブチギレるようなオッサンにだけはなりたくねぇなー」
という事で事務所の社長についてそんな軽口を言って笑いながらも、しょうがないから事務所へと向かって行く事にしていった。




