44話:ルリさんと一緒にダンジョン探索をしていく
翌日の早朝。
「おはよう、ユウ君!」
「はい、おはようございます、ルリさん!」
僕はアストルフォ前でルリさんと挨拶を交わしていった。今日はルリさんと一緒にアストルフォを探索する事になっていた。
そして僕にとって初めてのコーチングをする日でもある。今日はルリさんへコーチングをする事にもなっていた。
初めてのコーチングという事でとても緊張しているけど、でもやっぱりルリさんと一緒にダンジョン探索が出来る事が凄く嬉しかった。
(いやー、ルリさんと二人きりでダンジョンを探索出来るなんて凄く嬉しいなー!)
僕は心の中でそんな風にワクワクとしていきながらも、僕はルリさんの冒険者姿を改めてじっくりと観察していった。
今日のルリさんは上半身は長袖の服にレザーの胸当てを着用し、下半身は短いスカートと厚手のタイツとブーツを着用している。
この恰好はシンプルかつ一番オーソドックスな冒険者姿と言ってもいい。そしてこのシンプルな服装こそがいつもの配信で見ているルリさんの冒険者姿でもあった。
(あれ、でもそういえばさ……ルリさんって何でいつもこんなシンプルな装備服を着ているんだろう?)
その時、僕はふとそんな事を思っていった。
もちろんこのシンプルな服装はルリさんにとても似合っている。だけど女性物の装備服って男性物と比べると沢山種類があるんだよね。
例えば可愛らしい西洋風のドレスアーマーとか、ちょっと蠱惑的な踊り子の服装とか、カッコ良さと綺麗さを兼ね備えたクノイチの服装とか……本当に沢山の装備服があるんだ。
そしてルリさんはオシャレとか凄く大好きそうだからどんな装備服であっても完璧に着こなせそうなのに……それなのに何でいつもこんなシンプルな装備服を着てるんだろう? 何か理由でもあるのかな?
「? どうしたのユウ君? 私の事をじっと見つめて何か変な所でもあったかな?」
「え? あ、い、いえ! なんでもないです! き、気にしないで大丈夫です!」
するとルリさんはじっと僕に見つめられてたのに気が付いたようで、キョトンとした顔でそう尋ねてきた。
でもルリさんの服装が気になったなんてセクハラ案件になるから絶対に言えないので、僕は慌てながら何でもないと言って全力で誤魔化していった。
そもそも女性の姿をじっと眺めるなんてマナー的にも全然良くない行為なのでこれからは気を付けなきゃだな……。
「そうなの? それじゃあ気にしないでおいとくよ。よし、それじゃあ無事に合流出来た事だし、早速アストルフォの中に入って行こっか!」
「は、はい、そうですね!」
という事で僕達は気を取り直して早速アストルフォの中に入って行った。
すると今日のアストルフォは以前とは違ってちょっとだけ人がいた。ギルドの腕章を付けてるのでおそらくは彼らはギルド職員なんだろうな。
「今日のアストルフォにはギルド職員がチラホラといるようですね。もしかして今日もワイバーンが出現した件の調査をして下さってるんですかね?」
「うん。多分そうだね。あ、でも今も冒険者ギルドとファーストライブが合同でやってくれているアストルフォの調査なんだけどね、一旦その調査は中断する事になったらしいんだ」
「あ、そうなんですか?」
「うん、ちょっと今はファーストライブの方で私とユウ君のチャンネルを荒らした犯人捜しに全力を注ぐって方針になっているから、その荒らしの犯人が見つけるまではワイバーン召喚の犯人捜しは一旦中断するんだってさ」
「あぁ、なるほど。確かに両方の事件を一気に解決させるのは困難ですもんね」
「うん、そうなの。まぁでも荒らしの件に関しては、一週間もあれば調査結果が出るからすぐに犯人は見つかるって社長言ってたよ。だからユウ君も安心してね!」
「はい、わかりました。それじゃあすぐに犯人が見つかるように信じて待ってますね!」
社長さんの情報曰く、どうやら荒らしの犯人はすぐに見つかる事になりそうだ。とりあえず一つ目の事件はすぐに解決できる事になりそうで僕はホッとした。
「うん! あ、でもね、これは秘密にしておいて欲しいんだけど、今後近い内にアストルフォの調査が打ち切りになったっていうアナウンスをギルドで流すらしいの。でも実際には調査は中断になってるだけだからユウ君は騙されないでね」
「え? そうなんですか? まぁ秘密にしておくのは承知しましたけど……でもどうしてそんな嘘のアナウンスを流すんですか?」
「えっとね、社長曰く、もしも今回の犯人が事故ではなく故意でやった愉快犯だとしたら、調査が打ち切りになったと聞いたら喜んでまた同じ事件を引き起こす可能性があるでしょ? それを現行犯で捕まえた方が手っ取り早いって事でね、今ファーストライブとギルドが合同になってダンジョンで召喚魔法を使用したらすぐにギルドに通知が届くようなシステム構築を作ってる最中なんだってさ」
「システム構築!? そ、そんな事まで考えてたなんて……な、なるほど、やっぱりファーストライブの社長さんって凄い方なんですね」
「うん、本当にそうだよね。それに社長って普段は凄く温厚だけど怒らせると本当に怖いんだよね。ま、という事でそこら辺の難しそうな話はきっと社長とかギルドマスターみたいなお偉いさん方が対応してくれると思うし、私達は気にせず楽しく冒険をしていこうよ!」
「はい、そうですね!」
という事でそんな犯人捜しに関しては全てお偉いさん方に任せる事にして、僕達は全力でダンジョン探索を楽しんでいく事にした。




