39話:いざ、ファーストライブの事務所へ
それから程なくしてカケルさん達はダンジョン配信を終了させていった。
そしてそのままカケルさん達はダンジョンから出るという事だったので、僕も同行して一緒にダンジョンから出て行く事にした。
まぁもしもまたヒュドラ相当のモンスターとカケルさん達が遭遇したら危ないかもしれないしね。
という事で僕はカケルさん達と即席のパーティを組み、ゆっくりと時間をかけて何とかダンジョンの出入り口付近まで帰ってくる事が出来た。
そしてダンジョンの出入り口前でカケルさん達は僕に向かってこう言ってきた。
「いやー、今日は本当にありがとう! 少しの間だけど君と一緒に冒険が出来て楽しかったよ!」
「それに君は滅茶苦茶強くて凄くビックリしたよ! そんで俺達もこれからもっと頑張ろうって気持ちになれたよ! だから本当にありがとな!」
「はい、こちらこそです。僕もカケルさん達と一緒に冒険が出来て楽しかったです! だから僕も本当にありがとうございました!」
「あはは、そう言ってくれると俺達も嬉しいよ。それじゃあまた機会があったら俺達と一緒に冒険とかしような! さっき渡した連絡先にいつでも連絡してくれていいからさ!」
「それと配信とか動画関連で困った事とかあったらいつでも相談に乗るぜ! 俺達はダンジョンライバー歴は無駄に長いから結構何でも質問には答えられるからさ!」
「はい、わかりました。僕はあまり東京に行く事は少ないんですけど、もしも機会があったらまたカケルさん達に連絡しますね。それと配信とか動画関連で困った時にも相談させて貰いますね!」
「あぁ、よろしく頼むよ! それじゃあまたいつか必ず会おうぜ!」
「あ、それと後で切り抜き動画も上げとくから、良かったらそれも楽しみにしておいてくれよな!」
「はい、わかりました。切り抜き動画も楽しみにしていますね。それじゃあ失礼します!」
「おう、またな!」
「そんじゃあな!」
そう言って僕はカケルさん達とダンジョン前で別れていった。カケルさんとシュウジさんは大学生の冒険配信者という事で僕よりも5~6歳も年上の人達だったけど、とても気さくで話しやすい人達だったな。
「あ、でもそういえばカケルさん達のチャンネルってどんな感じのチャンネルなんだろう?」
カケルさん達が自己紹介してくれた時には自身のチャンネルの事を“チンケなチャンネル”だと笑いながら言っていた。という事はあまり人に見られてないチャンネルなのかな?
でもカケルさんとシュウジさんって気さくで楽しい感じの二人組だったし、あの二人のチャンネルは何だかとても面白そうなチャンネルな気がするなー。
「よし、それじゃあ帰りの新幹線の中ではあの二人のチャンネルを見ていく事にしよう!」
という事で僕は帰りの新幹線でやる事を決めながらも、そろそろ本命の予定であるファーストライブの事務所に向かって行く事にした。
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「いやー、今日は本当に凄い冒険者と出会えたよな!」
「あぁ、本当にそうだな! だけど高校生にあんな凄い戦闘を見せつけられちゃったらさぁ……俺達もまだまだ頑張らなきゃ駄目だよな!」
「はは、そうだな! 俺達も年下の子に負けないように、これからも頑張らなきゃだな!」
俺達はあの若い高校生の冒険者……ユウ君と別れた後、ノンビリと歩きながらシュウジとそんな会話をしていった。
「ま、それにしても今日は色々とあったけど、でもBランク冒険者到達記念配信としては大成功だったな! あ、そうだ。スパチャくれたリスナーにお礼のコメント書いていかなきゃだな」
「あ、そうだな。今日は色々とアクシデントがあってスパチャ返し全然出来なかったもんな。それじゃあちょっと今日の配信アーカイブ開いてスパチャくれた人のコメントまとめていくわ」
「おう、よろしく頼む」
そう言ってシュウジは早速先ほどの配信のアーカイブを開くために、スマホを手に持ってチャンネルに飛んでいった。
「えぇっと……って、え?」
「ん? どうしたよシュウジ?」
するとその時、シュウジはビックリとしたような声をあげてきた。
「いや、今俺達のチャンネルに飛んだんだけどさ、何か今日のチャンネル登録者数めっちゃ増えてるぞ。さっきの配信だけで1万人は増えてるな。ってかこのペースなら近い内にチャンネル登録者数は150万人突破するかもしれないな!」
「おー、マジか! それは嬉しいな! そうなったら今度はチャンネル登録者150万人記念もしなきゃだな! あ、そうだ! それじゃあさ、登録者数150万人記念はさっきのユウ君をゲストに呼ぶってのはどうよ?」
「はは、それめっちゃ良いアイデアじゃん! あ、それなら“登録者数150万人記念にS級冒険者を呼んでヒュドラ戦のガチ解説をして貰った”ってタイトルで配信するのはどうかな? これめっちゃバズるんじゃね?」
「はは、それ絶対にバズるな!! よし、それ採用だわ! あはは、それじゃあ150万人記念にはユウ君を呼んで楽しくお祭り騒ぎの配信をしていこうな!」
「おう、わかった! 150万人記念が今から凄く楽しみだなー!」
という事で俺達はチャンネル登録者数150万人記念でやる事について思いを馳せていきながら一緒に帰路へとついていった。
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カケルさん達と別れてから数時間後。
「お、おぉ……こ、ここにファーストライブの事務所があるのかぁ」
僕は今都内某所にある大きなビルの前にやってきた。この大きなビルの中にファーストライブの事務所が入っているらしい。
それにしても流石は最大手のライバー事務所の“ファーストライブ”だ。こんな都内の一等地に事務所を構えられてるなんて凄すぎるよ。
「あ、ユウ君! こっちだよー!」
「あ、ルリさん! お久しぶりです!」
「うんうん! 久しぶりー!」
僕はそんな事を思いながらビルを眺めていると、ビルのドア付近に立っていた女性がこちらの方にやって来て声をかけてきた。
なのでその女性の方に顔を向けてみると、そこにはファーストライブに所属している超人気配信者の如月ルリさんが立っていた。今日もとても可愛らしいなぁ。
そしてルリさんはいつも通り朗らかな笑みを浮かべながら僕に向かってこう言ってきた。
「ふふ、ユウ君は元気だったかな? 最近は冒険とか調子どう?」
「はい、すっごく元気です! ついさっきも東京のダンジョンに行ってた所ですしね!」
「あ、そうだったんだ! ふふ、それは良いなぁ。私は今日は一日中ずっとお仕事の打ち合わせだったんだよ。それが無ければ私もユウ君と一緒に冒険したかったなぁ。あ、それじゃあ後で今日の冒険の話も私に教えてね!」
「はい、もちろんです! あ、そうだ。えっと、それでその……しゃ、社長さんは今は……」
「あぁ、うん! 社長は事務所の応接室でユウ君が来るのを待ってるよ! よし、それじゃあ立ち話もこれくらいにしてさっさと事務所の中に入っちゃおっか! ほら、それじゃあこっちだよー!」
「は、はい! わかりました!」
という事で僕はルリさんの道案内によっていよいよファーストライブの事務所の中に入って行った。




