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27話:ルリさんのコーチングを引き受ける

 ルリさんが丁寧に説明をしていってくれたおかげで、僕はルリさんが冒険者になった経緯や冒険者として強くなりたいと思う理由を知る事が出来た。


「うん、それでね、さっきの話に戻るんだけど……ユウ君に出来ればで良いんだけど……私に冒険者としてのコーチングをして貰えないかな……?」

「えっと、ルリさんが冒険者として強くなりたいと思う理由は十分に理解出来ました。でも僕みたいな一般人が有名配信者のルリさんに教えるなんてちょっと恐縮すぎるというか……ほ、本当に僕みたいなのがコーチングしても良いんですかね? というか僕なんかよりも沢山の人にコーチングしてきてるギルド職員さんにお願いした方が良いという可能性もありませんか?」

「いやいや、そんなの全然恐縮なんてしなくていいよ! だってユウ君は私なんかよりも遥かに強いわけだし、それに私は今回の事でまだまだ自分には冒険者として足りない事が多いって事を理解したんだ。そしてこのままじゃあ私……エリクサーなんて一生かけても手に入る事なんて出来ないってちゃんと理解したんだよ……」

「ルリさん……」

「だからその……会ったばかりのユウ君にこんな事を頼むのはかなり不躾だとは思うんだけど……良かったら私にコーチングをして欲しいです。どうかお願いします……この通りです。どうか私に力を……貸してください……」


 ルリさんは僕に向かって深々と頭を下げながらそんなお願いをしてきた。


 そしてその様子からルリさんは弟さんをとても大事に思っている事や、今すぐにでも弟さんを助けてあげたいという凄く優しいルリさんの気持ちが見てとれた。


(あぁ、やっぱりルリさんって想像通り……凄く心優しい人なんだね)


 そんなルリさんの心優しい所を知れて僕はまた感動を覚えていった。そしてそんな心優しい人だからこそ……僕もそんなルリさんのために力を貸してあげたいと思った。


「……えっと、正直今までコーチングなんてやった事は一度もないので僕がどれくらい教えられるかわかりませんが、それでもルリさんのために役に立てるというのなら……はい、わかりました! それじゃあ是非とも僕にルリさんのコーチングをさせてください!」

「え……ほ、本当に!? あ、ありがとう、ユウ君! 本当に助かるよ……!」

「はい! あ、でも僕は都内在住ではなくて田舎の方に住んでいるので、コーチングの方法はどうすれば良いですかね? ルリさんがダンジョンを探索してる時にネット通話とかでコーチングをすれば良いですか?」

「うん、そうだね! 基本的に私がコソ練をしてる時にユウ君とネット通話をするからその時に色々と指導してくれると嬉しいな。あとは物凄く大変だと思うんだけど……出来れば数週間に一回程度で良いからさ、都内に来て貰って私と一緒にパーティを組んでダンジョン探索とかをして欲しいんだけど……そんな事もお願い出来るかな……? あ、もちろん電車代とか宿泊代とかコーチング代は沢山支払うからさ!」

「えっ!? 僕が都内に来てルリさんと一緒にダンジョン探索をするんですか!? い、いや、それは僕としても東京に行ける頻度が上がるなら凄く嬉しいので全然構わないんですけど……で、でも毎回電車代とかを払うって相当大変ですよ? それだと結構高い金額が発生しちゃう気が……」


 ルリさんの提案を聞いて僕はビックリとしながらそんな返事を返していった。そりゃあ東京にタダで行けるって言われればかなり嬉しいけど、でもそれなりに電車代とか高いしね……。


 だけどそんな僕のビックリとした態度を見ていたルリさんは力強い表情をしながら続けてこう言ってきた。


「ううん、大丈夫! ほら、私こう見えてもそれなりに売れっ子の配信者だから! 事務所に所属してるから売り上げは事務所と折半にしてるけど、それでもそれなりに稼がせて貰っているからね! だからお金に関してはユウ君は全然気にしなくて良いよ!」

「そ、そうなんですか? さ、流石はチャンネル登録者数200万人越えの有名配信者さんですね! やっぱりルリさんは凄いです! もう一生尊敬します!」

「あはは、そう言ってくれてありがとね! でもそれを言うのならユウ君だってS級冒険者なんだからかなり凄いでしょ! そしてそんなS級冒険者のユウ君から直接コーチングを受けれるなんて貴重な体験をさせて貰えるんだから、お金くらい幾らでも出させて貰うよ! あ、でも個人間での金銭のやり取りは法律とかで色々とややこしい事になると思うから、東京に来てもらう時は冒険者ギルドにユウ君へのコーチングの依頼を出させて貰うね!」

「ぼ、僕のコーチングにそこまでの価値はないと思いますけど……は、はい、わかりました! それじゃあ僕が住んでる町の冒険者ギルドの連絡先を教えますので、その冒険者ギルドにコーチング依頼という名目で依頼を出して貰えますか?」

「うん、わかった! 私のコーチングを引き受けてくれて本当にありがとうユウ君! 今日はユウ君と出会えて本当に良かったよ!」

「はい、こちらこそです! 僕も最推し配信者のルリさんと出会えて本当に良かったです! 今日のルリさんとの会話は一生の思い出です!」

「ふふ、そっかそっかー。そう言ってくれると私も今日まで頑張って配信を続けてきた甲斐があったというものだよ。うん、だからそう言ってくれてありがとね、ユウ君!」


 僕がそう言っていくとルリさんは嬉しそうに満面の笑みを浮かべていった。そしてルリさんは満面の笑みを浮かべたまま僕の前に片手を差し出してきてくれた。


「ふふ、それじゃあ改めて……これからよろしくね、ユウ君!」

「はい、こちらこそです! それじゃあ改めてよろしくお願いします、ルリさん!」


―― ぎゅっ……


 そう言いながら僕達は固い握手を交わしていった。こうしてこの日、僕は最推しダンジョン配信者のルリさんのコーチングをしていく事になったのであった。


 そしてこの出会いこそが、僕達が伝説の冒険者として語り継がれる日がやってくるための第一歩となるのだが……でもこの時の僕はまだそんな事は想像すらしていなかった。


【第一章:最推し配信者との出会い編 完】

これにて第一章は終わりです。

ここまで読んで頂き本当にありがとうございました。


初めて現代ファンタジーを作ってみたので色々と話作りが難しかったんですけど、それでも毎日楽しく本作品を書く事が出来ていました。


ここまで毎日楽しく書き続ける事が出来たのは、いつも読みに来てくださっていた読者の皆様のおかげです。いつも読みに来て下さってありがとうございました!


そしてこれからもユウ君とルリちゃんの冒険を楽しく見守って頂けると嬉しいです。


という事で最後に改めてここまで読んで頂き本当にありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
なんか良いですね、純真で誠実な少年が報われる感じ。 面白いです、良い物語をありがとうございます。
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