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25話:S級冒険者の凄さを教えて貰う

「え、えぇっと、S級冒険者ってそんなに凄いものなんですか?」

「えっ!? いや凄いに決まってるでしょ! S級冒険者ってのはもう本当に滅茶苦茶物凄い人なんだよ!! ちょ、ちょっと職員さん! ユウ君に冒険者ランクについて詳しく教えてあげてくださいよ!」

「は、はい、わかりました」


 ルリさんは興奮しながら職員さんに向かってそう言っていった。そして職員さんも若干動揺しながらも僕に向かって冒険者ランクについて話しかけてきた。


「そ、それではまず簡単にランクシステムを導入した経緯についての説明をさせて頂きますね。冒険者ランクとは昨年に設けた新システムとなります。今まで冒険者の強さの指標などは特にギルドの方で設けてはいませんでした。理由としては昔はそこまで多くの冒険者がいた訳ではありませんし、冒険者というのは一律に平等な立場という考え方があったためです」

「はい、その歴史については僕も知っています」


 その話は冒険者ギルドの支部長さんや職員さんから教えて貰った事がある。だから僕は他の冒険者よりも強いとか弱いみたいな比べるような事は今まで全然してこなかった。


「はい。ですがここ最近は冒険者としての実力がどれくらいなのか知りたいという若い子達がとても増えてきたのです。理由としては近年ダンジョン配信のおかげで若い新人冒険者達が一気に爆増してきた事による影響だと考えられています。やはり若い子達にとっては自分達の強さがどれくらいなのか知りたいと思うのは世の中の常ですしね」

「あぁ、なるほど。確かにその気持ちはわかります。僕も友達と対戦ゲームをしてる時はやっぱり自分の強さの指標みたいなのは欲しいって思いますしね。それで一つでも上のランクを目指して頑張っていこうっていう気持ちにもなりますしね」

「はい、そうですね。自分の現状の強さを知る事が出来れば、今後の目標も立てやすいですからね。という事で若い冒険者達の成長意欲を高める目的として、昨年からランクシステムというものを導入させて頂きました」


 という事で受付のお姉さんは最初に冒険者ランクの導入の経緯について丁寧に説明してくれた。とてもわかりやすい説明だった。


「それでは続いて冒険者ランクの概要も説明させて頂きますね。新人冒険者はEランクからスタートし、そこからモンスターの討伐や魔法の取得、ダンジョン攻略など、冒険者としての実力が上がったと判断されましたら自動的にランクアップしていくようになっています。また冒険者ランクは冒険者カードに記録されたデータと紐づけされていますので、ランク不正などは絶対に出来ないようになっております」

「なるほど、セキュリティ対策や不正対策はバッチリという事ですね」

「はい、その通りです。そしてランクについてですが、区分としてはS~Eランクまでとなっております。それでその、沢城さんは現状S級冒険者という事で……まぁ簡単に言ってしまうと沢城さんの冒険者ランクは既にカンスト状態になっているというわけです」

「ふむふむ、なるほどー……って、えぇっ!? ぼ、僕ってランクカンスト状態なんですか!?」

「そ、そうなんだよ! だからユウ君は凄いんだよ! Sランクに到達してる人なんて滅多にいないんだからね!」


 受付のお姉さんの話を聞いて驚いていると、ルリさんは興奮状態になりながら僕に向かってそう言ってきた。


 でも正直な話、僕はまだあまりSランクの凄さにピンと来てなかった。だから僕は続けて受付のお姉さんにこんな事を尋ねていってみた。


「え、えっと、S級冒険者ってのが凄いというのは何となく理解は出来たんですけど……すいません、あの、ちなみになんですけど、そのS級冒険者って今現在でどれくらいの数がいるんですかね?」

「Sランクの冒険者の数ですね。確認してみますので少々お待ちください。えぇっと……はい、確認が取れました。今現在Sランクに到達している冒険者は、沢城さんを入れてこれでちょうど100人になった所ですね」

「へぇ、100人もいるんですか。なるほどなるほどー」


 どうやら東京支部の冒険者でSランクの冒険者は合計で100人もいるらしい。でも東京支部でそれくらいの数がいるって事は……まぁ別にそこまで珍しいわけじゃないよね?


「ふむふむ、なるほどー……って、あ。すいません。今調べて貰ったのって東京支部のSランク冒険者の総数ですよね? 僕は東京支部じゃないので、僕の地元の県の方に数を入れて貰えますか?」

「……えっ? い、いや、違いますよ? な、何を仰ってるのですか?」

「ちょ、ちょっと……ユウ君? その勘違いはちょっと……」

「え? ち、違うって?」


 僕は普通な感じでそんな事を伝えていったんだけど、でも何故か職員さんとルリさんは二人とも何を言ってるんだお前は……と訴えかけてるような訝しんだ目つきで僕の事をジっと見つめてきていた。


 でも僕にはそんな訝しんだ顔をされる理由が全くわからなくて……僕はちょっと不安になりながらもルリさんにこう尋ねていった。


「え、えっと、何か僕……変な事を言いましたかね?」

「うん、すっごく変な事を言ってるよ……ユウ君は。職員さん、勘違いをしてるユウ君にしっかりと説明をしてあげてください」

「はい、かしこまりました。今の100人という数は東京支部に在籍してるSランク冒険者の総数ではありません。全世界での総数です」

「え? 全世界って……え、えぇっ!? そ、それってまさか……日本以外の外国も含めた全世界っていう意味……ですか?」

「はい、その通りです。今現在、この世界で冒険者ライセンスを所持している方の総数は約1000万人程になります。しかしその中でSランク冒険者に到達しているのは世界中でたったの100人しかいないのです。という事はつまり割合でみるとSランク冒険者というのは……まぁ冒険者の中でも0.001%の存在という事になりますね」

「え……って、えっ? ひゃ、1000万人? 100人? って、えぇええええぇええっ!?」


 受付のお姉さんの説明はかなり想定外過ぎるものだったので、僕は驚きのあまりギルド内でとても大きな声を出していってしまった。

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