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タイオウ

「ファンネル商会の現状はどうなっているのかしら?」

「はい、報告によりますとかなり悪どい商売をしていますね。

 エリー様が抜けた事でいくつかの商品の生産が出来なくなった事に加えて、量産法が確立していた主力商品である化粧品も原材料を安価で質の悪い物に変えたり、作業員の人員を減らし負担を増大させた為、品質が劇的に低下しています。

 その所為で肌に合わず炎症などの症状が出たと言うクレームも王太子の名前で握りつぶしている様です。

 取引先も王太子の名前を出されて切るに切れない状態ですね。

 現在の代表はコルト・ブランチェ。

 ブランチェ伯爵家の次男で王太子の取り巻きの1人です。取り立てて有能とは思えません。

 如何にお金を搾り取るかとしか考えていない小者です。他の幹部も似たり寄ったりですね」

「よくそれで今まで商会が持ったわね。

 利益なんて殆ど出ていないでしょ?」

「王太子への収支報告書は偽装されている様です。

 利益を水増しして報告している様ですね。

 実際は複数の商会や金融機関から借金が嵩み、これまた王太子の名前で踏み倒しています」


 私はあんまりな惨状に目眩がする様だった。

 それなりの蓄えがあった筈の私の商会が、何をやればたった数年でこれ程困窮するのだろうか。


「ファンネル商会の名前も地に落ちたわね」

「はい、エリー様が行っていた商会としての慈善活動などもお金の無駄だと中止したそうです」

「そう、商会内に潜伏している者達は?」

「既にかなりの人数が離れています。

 現在、ファンネル商会内で我々の息のかかった者は数える程です。

 コルトはかなり慎重に準備していた様で、間者が情報を掴んだ時には既に偽金貨の生産が始まった後だった様です」


 私はしばし瞑目すると、考えをまとめて指示を出す。


「ハルドリア王国の属国にダミー商会を作るわ。

 大口の取引を餌にファンネル商会に接触しましょう」

「畏まりました。

 直ぐに人員の選定を開始します」


 ミレイの返しに頷くと、ルノアとミーシャを呼び、2人にも指示を出す。


「これからレブリック伯爵領の本店へ戻るわ。準備して頂戴」



 ◇◆☆◆◇



 ルーカスは自分の執務室で首を捻っていた。


「おい、先月、今月とハルドリア王国からの商人の流入がやけに多くないか?」


 隣で作業していた文官がルーカスが差し出した資料を覗き込み妙な顔をする。


「…………確かに多いですね。

 1日、1日で見れば誤差の範囲ですが、トータルで見ると確かに異常に多いですね」

「何か原因があるのか?」

「どうでしょう?ハルドリア王国との停戦が決まってから既に数年、経済活動が活発になるのはおかしな事では有りませんが……」


 国同士はピリピリしていても、民間レベルでの交流はそれなりに進んでいる。


 特に商人の類は利益になるのなら、長年の争いの相手であろうと気にせず商売を行う物だ。

 それ自体は国にとって有益な事だが、この数字の変化は明らかに不自然、何処か人為的な感じがするのだ。

 何者かの意図によってハルドリア王国の商人が帝国に送り込まれている気がする。


「最近帝国に入った商人の目的を調べろ。

 それと背後関係も洗え」

「はい、直ぐに手配します」


 執務室を出てゆく文官の背を見送り、ルーカスは紅茶で舌を湿らせる。


「杞憂で有れば良いのだがな」


 商人の目的はまだ分からない。

 もしかすると自分の考えすぎで、ただ帝国での商売に光明を見た商人が多かったのかも知れないが、それが分かるならそれでも良い。


 ルーカスは言い表せない不安を抱え、何処か落ち着かない気分で仕事を続けるのだった。

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(・ω・)ノシ

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