迷宮と森林①
上を見上げれば空高くに雲が流れ、太陽が光を降らせている。
とても洞窟の中とは思えない光景だ。
「あの太陽、本物じゃないッスよね?」
「そうだな。学者先生の話だと此処はダンジョン・ミミックが創り出した異空間らしい。
迷宮都市にある大迷宮の中には砂漠や凍土、火山に古代都市まであるらしいぞ」
「凄いッスね」
「そうね、まるで御伽噺の中の話だわ」
私達はダンジョンの不思議な現象に首を捻るのもそこそこに、次の階層を目指して歩き始めた。
この階層は私が手を広げても抱え込むことができないほどの大きな木が乱立する森林が広がっていた。
周囲を木々に囲まれて視界が悪いため、魔物の不意打ちを警戒し、私達の歩みは自然と遅くなる。
「情報ではこの階層は魔物の種類が多いらしいですね。
ゴブリン、コボルト、グレイウルフ、コンバットモンキーなど群を作る魔物が多いようですね」
「囲まれたら厄介ね」
「怖いこと言わないでほしいッスよ〜」
「私達は薬草採取や魔物狩りが目的ではないからな。早々に下に降りるぞ。
幸いこの階層の下り階段はそんなに遠くない」
それから30分ほど、警戒しながら階下への階段に到着した。
道中ではゴブリンの群れに遭遇したが、このメンバーでは苦戦などするはずもなく、鎧袖一触に終わる。
階段を降りると、再び森林の中にある岩の裂け目から出てきた。
岩は3メートルほど地面から飛び出した形で上は何もない。
それなのに中を覗くと上に向かう階段がある。
不思議だ。
5階層は4階層と同じような場所だ。
此処も同じく慎重に階段を目指して進む。
「止まれ!」
先頭を進んでいたエルザが小声で鋭く告げる。
身振りで前方の茂みの先を示すエルザ。
私達がそっと先を窺うと、そこには2メートルを超える巨大で肉厚な体、そして豚のような頭部を持つ魔物、オークの群れが屯していた。
「オークね」
「ああ、アイツらは鼻が良い。
此処は風下だからまだバレていないが、先に進もうとすると必ず見つかる。
オークはしつこいからな、一度見つかるとずっと追ってくるぞ」
「回り込むことはできないかしら?」
「かなり遠回りになるな」
「此処は押し通りましょう。まだ気付かれていませんから奇襲できます」
「た、戦うんッスか?」
「この階層は階段までまだ距離がある。
オークに追われる状況は避けたい」
「ではやりましょう」
私達は茂みに身を隠しながら風向きに気を付けながらオークとの距離を詰める。
視線でタイミングを合わせて茂みから飛び出す。
「ブォ⁉︎」
「フゴォ!」
「はっ!」
驚くオークの右目を細剣で貫く。
その切先は脳へと達して即死させる。
「グボォオ!!」
オークが振り下ろす棍棒をバックステップで躱し、鋭く一閃。
フリューゲルではなく鋼鉄製の細剣のため、オークの肉厚な腕は斬り落とせない。
しかし、棍棒を握る親指を斬り落とすことくらいは問題無い。
「フゴォ!!」
棍棒を取り落としタタラを踏むオークの懐に踏み込み、顎下から剣を突き上げ脳を破壊する。
オークの頑丈な頭蓋骨を縫うように貫き、致命傷を与える。
周囲ではユウの戦斧が分厚い頭蓋骨や鎧のような肉をモノともせずにオークを真っ二つに両断し、エルザの剣が的確に手傷を与えて膝を突いたところを首を刎ねる。
ティーダもぎゃあ、きゃあと叫びながら魔力で強化した腕力で頭蓋を粉砕している。
結果、ユウとエルザが3体、私が2体、ティーダが1体を仕留めた。
「ふぅ、怪我は無い?」
「大丈夫よ」
「問題ありません」
「なんとか無事ッス」
「よし、血の臭いに惹かれて他の魔物が寄ってくる前に移動するぞ」
オークを始末した私達は6階層へ向かう階段に向かって歩みを再開した。
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(・ω・)ノシ




