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待ち受ける村人達

「た、叩き潰す……い、いや、そうは言っても……」


 私は唖然としながら止めようとする村長を制して指をパチンと鳴らす。


 それを合図に私を囲むように鋭い氷の棘が突き上がる。


「うぁ!」

「な、なんだ⁉︎」

「ひゃあ!」


 私はもう一度指を鳴らして氷を消した。

 勿論、別に指を鳴らす必要などは無いわ。ただの演出よ。


「お、お嬢さんは魔法使いなのかい?」

「それに今、詠唱していなかったぞ」


 ざわめき出す村人が少し落ち着くまで待ち、声を上げる。


「見ての通り、私は人並み以上に戦えるという自負がありますわ。

 此処までこの子と2人で旅してこられる実力があります。ですのでお任せいただけますか?」


 私が問うと、顔を見合わせた村人達だが、最終的には頷いてくれた。



 村長に戦える村人を集めてもらい、村の各所に配置していく。

 彼らには警戒を頼んでいる。

 私が持っていた物と、村中からかき集めた笛を持たせている。

 もし私が居る場所以外から盗賊が現れた場合は、笛で合図を送る手筈になっている。


 村の西側は湖で、北側と南側に森があり、村の門があるのが東側だ。


 そこで私は村人を3組に分けた。

 私が居る以外の2方を警戒する者達と、女子供が避難している村の中心に位置する共同倉庫を守る者達だ。


 昨日、盗賊は昼過ぎ頃に現れたそうだ。

 同時刻に現れると考えるとあまり時間も無い。


 私はバタバタと走り回る村人達を横目にミーシャを呼ぶ。


「ミーシャは中央の共同倉庫を守って頂戴」

「はい!」

「あと、もし盗賊が二手に分かれて襲撃してきた場合は笛が鳴った方に救援に向かってあげて」

「わかりました」


 ミーシャが若干の緊張を滲ませながら答えた。

 まだ幼いとすら言えるミーシャだが、彼女は私の下に来てからも鍛錬を続けている。

 ミレイからも手解きを受けており、いくつか【スキル】も身に付けたらしい。

 野良ゴブリンを追い払ったことがある程度の村人よりも戦闘能力は高いはずだ。


「村人を守ってほしいけど、最優先は自分の命よ。明らかに実力が違うと感じたら迷わず逃げなさい、コレは命令よ」

「は、はい」

「危険だけど、お願いね。今回の盗賊は確実に始末する必要があるのよ」

「そうなのですか?」

「ええ」


 私は少し声を落として説明する。


「この村を襲った盗賊はサージャス王国の脱走兵だと思うわ」

「えぇ⁉︎」

「時期や場所から考えて確率はかなり高いのよ」

「でもサージャス王国の将兵は罪には問われないはずでは?」

「確かに帝国はサージャス王国との紛争は国王の自決と統治権の移譲を以て終結としたのだけれど、それとは別に一般人への略奪や暴行を行なった将兵は調べられて処罰されているのよ。

 つまり、その脱走兵は色々と心当たりがあったということでしょうね。

 もし、この事が村人に伝われば紛争相手である帝国人である私達への心証が悪化する恐れがあるわ」

「でも、あの紛争はサージャス王国から仕掛けてきたのですよ?」

「そうね。でもそんなことは村人には関係ないわ。自国と帝国が争った結果、盗賊に村が襲われた。その事実が全てよ」

「……そう……ですか」


 私は耳と尻尾をシュンと折るミーシャの頭を優しく撫でる。


「だから此処で私達が盗賊団を潰しておかなければならないのよ。今なら村人は帝国に対して隔意は持っていないはずだから」


 言い方は悪いが、このミリスタ村は田舎だ。

 王都などなら別だが、この様な田舎の村人は上に立つ者が誰に変わろうが、重税を課せられたりしない限り、たいして興味は無いものだ。


 その上、帝国はその手のノウハウに長けており、何かと適当な理由を付けて新たに併合したサージャス地方への税を1年間免除することになってた。

 見え透いた懐柔策だが、恩恵を受ける者達は皆喜んでいる。

 この流れを遮るわけにはいかないのだ。


「そういうわけだから、お願いね。ミーシャ」

「はい!お任せください!」


 ミーシャを中央倉庫に向かわせた私は村の入り口に陣取り盗賊団を待つ。

 女性を攫ったり、大規模な略奪を行うなら馬車なり荷車なりが必要だ。

 来るならこちら側が本隊だろう。


「嬢ちゃん、本当に大丈夫なのか?」


 私の隣に居るのはあの脚を引き摺った男だ。


「問題無いわよ」

「そうかい……俺は怪我で引退したが、これでも元Dランク冒険者だ。いざとなったら嬢ちゃんが逃げる時間ぐらいは稼いでやるよ」

「あら、頼もしいわね」


 男の言葉に微笑みを返した時だ。

 道の先に荷車を引いた集団の姿を捉えたのだ。


「お客様が来たようね」

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(・ω・)ノシ

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