辺境の村解放戦④
情報によると村長の家に居る人間は5人、指揮官と徴募兵が2人、村長の老婆と村長の娘。
「これでこの村に居る兵士は全部ね」
「ああ、私達の方に居た兵士を殺す前に尋問したから間違い無い。
救出した者達は一塊になって隠れているように言っておいた」
「そう、何人くらい生き残っていたの?」
「女性が18人と男性が9人、子供が16人だ」
「結構多いわね。私達の方は3人だったわ」
「村人達を閉じ込めている場所だったみたいだな。男性も少し居たが老人や怪我人ばかりだ。
ほとんどは兵士と戦って死んだらしい」
エルザ達と簡単に情報を交換した後、村長の家の扉に身を寄せて中の気配を探る。
「扉の側には気配は無いわ」
そっと隙間を開けると、集会などで使われる奥の広間に鎧を身に纏った男達が机を囲んでいるのが見えた。
部屋の隅には椅子に座った老婆、そして竈門で湯を沸かしている女性が1人。
「私とエルザさんで兵士を捕らえるわ。マルティは村長さんと娘さんを保護して」
「わかった」
「了解した。生かして捕らえるのか?」
「ええ、色々と聞きたいことがあるわ。あの兵士は所詮下っ端。同じ下っ端でも指揮官なら一応正規兵でしょうし、知っていることも多いでしょう。
でも無理そうなら殺して良いわ」
「うむ」
エルザとマルティが頷くのを確認して、私は扉を開け放ち村長の家に飛び込んだ。
全ての視線が私達に向かうが、気にすることはなく兵士達に肉薄する。
幸いにも村長の娘は竈門の前に居たため、男達からの距離は離れている。
マルティは村長の老婆の前まで駆けて男達と村長の間に立ち、短剣を構えた。
私とエルザは【縮地】を使い一足で間合いを詰めると、ほぼ同時に兵士の意識を奪う。
「な、なん……」
指揮官が腰の剣に手を掛けるが、私はフリューゲルを抜き放つと、その剣を指揮官の手首ごと斬り落とし体を蹴り飛ばす。
「ごはぁ!」
勢い良く壁に叩き付けられた指揮官は意識を失った。
「起きなさい」
私は魔法で創り出した冷水を指揮官に浴びせる。
生捕にした兵士達は皆縛り上げて側に転がし、指揮官の手首はリサに止血程度に治癒してもらった。
「ひっ!」
「大人しくしなさい。既に此処にいる3人以外の兵は始末したわ。抵抗は無意味よ」
「た、助けてくれ」
「それは貴方の態度次第よ。少しでも助かる確率を上げたいなら死ぬ気で囀りなさい」
「は、話す、なんでも話すから、い、命だけは!」
「先ずはサージャス王国に協力しているハルドリア王国軍の数と指揮官からよ」
「は、話したら本当に助けてくれるのか?」
私は指揮官がそう言った瞬間、短剣を翻し隣に転がしていた兵士の腕を深く斬り裂いた。
「ぐぁああ!!」
その短剣を手の中でクルクルと回して指揮官の太腿に突き立てる。
「ぐぅ!」
「余計なことを話せば傷が増えるわよ?貴方は私に聞かれたことだけを話せば良いの。
でもまぁ、有益な情報を話せば私は許してあげましょう」
指揮官の太腿に突き立つ短剣の柄をグリグリといじる。
「わ、わかった!わかったから!軍の規模は…………」
それから指揮官から知りうる限りの情報を聞き出した。
その結果はあの兵士から聞き出した話を裏付けする程度の情報だったが、現在のサージャス王国軍とハルドリア王国軍の動きがある程度分かったことは収穫か。
「はぁ、はぁ、はぁ」
あれからいくつか傷を増やした指揮官は荒い息を吐いて痛みを堪えている。
「エリー殿、準備できたぞ」
「分かったわ」
エルザに頼んでいた用意が整ったようなので私は指揮官の襟首を掴みながら立ち上がり、そのまま引きずっていく。
エルザと共にやってきたシシリーとサリナもそれぞれ兵士を掴みついてくる。
「な、なんだ!俺は全部話したぞ!ゆ、許してくれる約束だろ⁉︎」
「ひっ⁉︎」
「は、放せ!放せよぉ!」
指揮官と兵士たちが騒ぎ出す。
「ええ、私は約束は守るわ。
私は貴方達を許す。でも…………」
私は指揮官達を尋問していた村の外れの倉庫の扉を開けて外に出ると指揮官を放り捨て、シシリーとサリナもそれに倣う。
「あがっ⁉︎」
「ぐぁ!」
「いてぇ」
「約束通り、私は貴方達を許す。でも皆は貴方達を許すのかしら?」
縛り上げられて身動きが取れず、地面に転がされた指揮官達を取り囲むように、生き残った村人達が集まっている。
その手に持っているのは鋤や鍬、包丁、鎌など。
私が尋問している間に、エルザ達に希望者を集めてもらったのだ。
これから行われるのは私刑だ。
法的には決して褒められる行いではないが、そもそも祖国に復讐しようとしている私に、村人達を止める権利など無い。
エルザ達も否と言うことは無かった。
「ま、まって……た、助けて……あ、あぁ!!!!!」
指揮官達の悲鳴と村人の怒号を背に、私とエルザ達は、この後の行動を相談するのだった。
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(・ω・)ノシ




