一方その頃:ナイル王国の異変
周囲の魔物を討伐したティーダ達は、精霊結晶から出て来た少年の遺体を弔った後、リースベールに戻り、そこを拠点に散発的に現れる魔物を討伐していた。
しかし、最初の悪魔に率いられた群れ程の大群では無く、リースベールの冒険者達でも十分に対処可能だったものの、いつまで経って魔物の襲撃は終わらなかった。
ティーダは正直もう帰りたかったが、大神殿からシャイニングバードが運んでくる教皇からの命令で、悪魔が関係している可能性が高いこの魔物の大発生の原因の調査を命じられたのでトンズラする訳にも行かない。
そんな理由でティーダは、これまた嫌々連れてこられたフラウと共に魔物の発生源を探る為に旅立つ事になった。
「はぁ〜、何で私がこんな事をしなきゃいけないんッスかね?」
「ほんとなの〜。あちしも〜ど〜かん」
「フラウさんは冒険者じゃないッスか。私は聖職者ッスよ」
「疲れたの〜帰りたいの〜」
「そう言うセリフは自分で歩いてから言って欲しいッス」
ティーダは背中に背負ったフラウに口を尖らせて文句を言ったが、フラウは無反応だった。
しばらく門の近くで待っていると、フラウと共に帝都の冒険者ギルドから来たらしい男性職員のジョンが馬車を御してやって来た。
調査に行くのはこの3人だ。
道中、ただでさえ魔物が多く危険な道のりの都市国家間のルートに強力な変異種や悪魔も混ざる様になっていた。
魔物が来た方に進むなか、倒した変異種の内、キングオーガ、ブレードタイガー、アックスドレイクの3体の変異種の魔物からは例の精霊結晶に包まれた子供が出て来た。
少年が2人と少女が1人、いずれも直ぐに精霊結晶が消滅し、子供達は生きてはいなかった。
子供の死体を供養し、旅を続ける。
魔物の襲撃が酷く、1日の移動距離は非常に少ない。
時折、神殿から届く手紙で世の中の情報は耳に入る。
エリーと別れて1年近くが経った頃、ようやくナイル王国の王都が見えて来た。
だが、様子がおかしい。
王都を出入りする商人や冒険者などの姿が見えないのだ。
フラウと相談したティーダは、王都に入らず近くで身を隠しながら様子を窺う事になった。
「何で誰も出入りしないんッスかね?」
「わかんないの〜」
「あっ!」
眠そうなフラウと食事の用意をしているジョンの横で王都を見ていたティーダは声を上げた。
「どうしたの〜」
「悪魔ッスよ!悪魔がナイル王国の王都から出て来たッス」




