ミーティング②
私がレブリック辺境伯領領都に到着して2日後、オーキスト殿下が率いる帝国軍が到着した。
オーキスト殿下は、領都の外、防壁の近くの草原に野営地の設営を指示した後、ルーカス様の屋敷へと足を運んだ。
その連絡を受けた私も、ルーカス様の屋敷で合流する。
会議室で卓を囲んて椅子に腰を据えた私達に、上座のオーキスト殿下が軍議の開始を告げる。
「皆、良く集まってくれた。
ルーカス卿。遅滞戦闘と情報収集、ご苦労であった。
エリー殿も我が帝国の危機に立ち上がってくれたその義侠心に感謝する。
では、これより条約を破り不法な侵略行為を行っているハルドリア王国の侵略軍の撃退及び、敵軍の支配地域に取り残されている帝国臣民の解放の為、皆の意見を聞かせて貰いたい」
そこからはオーキスト殿下の副官である騎士(たしか第三騎士団長だったと思う)が軍議の進行を引き継いだ。
オーキスト殿下は優秀で軍事にも明るいが、やはり専門家である騎士の意見は重要だ。
これがフリードなら無理矢理軍議の主導権を取ろうとするでしょうね。
だけど、フリードが率いているらしい侵略軍は特に問題なく進軍を続け、強力な魔物を操っているとは言え、都市規模の防衛戦力を排除しスムーズに攻略している。
余程優秀な軍師が上手くフリードを誘導しているのだろうか。
状況からすれば、それはアデルの配下の可能性が高いかしら?
私は少し迷った。
此処でアデルの存在についてオーキスト殿下達へ告げるべきか。
私を姉の様に慕ってくれていたアデル。
『アデル殿下』と敬称を付けると頬を膨らませて不機嫌になった物だ。
正直、フリードなどより余程聡明だったし、私とも近しい関係だったかも知れないわ。
アデルが13歳となり、フリードが成人して正式に王太子となった頃、アデルの母君であるギョクリョウ様の故郷である南大陸の大国レキ帝国へと留学して行った。
そしてそのままレキ帝国の高位貴族に嫁入りする予定だった筈だ。
何故アデルが帰って来ているのか、エイワス兄様は口にしなかった。
だが当然そこにはブラート王が関わっている筈だ。
「…………今はこれ以上は分からないか」
「ん?エリー軍団長、何か気になる事でも有ったかね?」
「いえ」
確かに私はアデルに好意的な感情はあるが、それは数年前の関係性からの物だ。
先に協定を破ったのはアデルの側、ならば私は私の目的の為にアデルと敵対する事も辞さない。
「1つ、ご報告したい事があります」
此処に居る者達は帝国の上層部と私の配下や友人だけだ。私の出自の話をしても問題は無いだろう。
私はオーキスト殿下達に、アデルの存在と侵略軍を率いているフリードに付いている可能性がある軍師の予想を語るのだった。
◇◆☆◆◇
アデルは軍を率いて王都を出発するブラート王と向かい合っていた。
「父上、考えはお変わりになりませんか?」
「変わらぬ。フリードは愚かな事をした。
しかし、これが好機なのはちがいない。
帝国の領土を切り取り、フリードを連れ帰ればアイツは幽閉とする。
この国はお前に任せる事になるだろう。
もう直ぐギョクリョウが乗った船も着くだろう。俺が戻るまで城と母を頼んだぞ」
「…………行ってらっしゃいませ、父上。御武運を」




