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第90章「緊急会議」

「……とまぁそういうことだ。明日の16時に東西南北で敵の襲撃が始まる。それに備えての対策を今から話そうと思っておまえらに集まってもらった。」


今現在18時。ここトラモント城内のとある会議室でケイ部隊の精鋭が集まり、ミーティングが始まる。唐突の世界の命運をかけた戦が始まることを知り、皆ショックだったのか緊張感溢れる空気であった。そんな中タイガが手を挙げ、ケイにそういえばと何か思いだしたかのように呟く。


「ケイ!ちょっといいか?」

「タイガ?どうした?」

「これはサイさんから聞いたことなんだが、つい最近5人の凶悪な犯罪者がアカツキ島の監獄から脱獄したらしい!もしかしてそいつらがそのシャドウナイトじゃねーのか?脱獄を手引きした奴と足せばちょうど6人だろ?」

『!!』


この発言に皆タイガを注目する。この場にいる誰もがその詳細を知りたがっているようだ。その詳細についてウルがタイガに尋ねる。


「タイガ!もっと詳しく教えてくれないか!脱獄した者の名前わかるか?」

「ああ!どんな奴らかはわからんがシモン・カラカセビッチ、ガロード=ヒメミヤ、メイメイ=グリムド、アトラス=シャウナという名前の4人が脱獄したらしい!」

「シモンとアトラスですって?それは本当なの?タイガ!だとしたらかなりヤバいかも!」


真っ先に反応したのはエミリアだった。どうやら2人については知っているらしい。そんな珍しく動揺するエミリアにルナは何者なのかを聞く。


「エミリアはそのシモンとアトラスって奴を知ってるみたいだが一体何者なんだ?」

「あなたたちが産まれる前……17年前にこのトラモント王国が火の海に変わった『夕陽事変』という大事件があったの。その首謀者二人がそのシモンとアトラス!」

『!!』


衝撃の事実にこの場にいる全員が言葉を失う。しばらくの沈黙の後、アランがエミリアに尋ねる。


「エミリア!そのシモンとアトラスの能力はわかったりするか?!」

「シモンはたしか自身の身体を気体、固体、液体に自在に変えることができる能力……アトラスは炎を使った能力だったはずよ。」

「くっ!特にシモンはやっかいそうな能力だな!」


アランは苦い顔をする。その後今度はクルミが話に介入する。


「あ、あの……さっき言えませんでしたが私メイメイって人知っています!!」

『えっ?!』


まさかの情報提供に今度はクルミに注目が集まる。普段仲のいいフィオナは真っ先にクルミにどういうことなのか聞く。


「ク、クルミ?!メイメイって奴を知っているの?!」

「は、はい……私はチームシークレットですから表立たない犯罪の情報も結構知っています!10年前に100人近く行方不明になった大事件の犯人……それがメイメイです!たしか女海賊だったはず……」

「え、えぇー?!あの謎だった事件の犯人がメイメイなの?!」

「は、はい!被害者は若い男性ばかりでした!それから能力は精神干渉……眠らせ夢をみさせる能力です…!」

「な、なんて凶悪な能力なの!!」


そんなクルミとフィオナの会話の後、ケイがこの場にいる皆に問う。最後のガロード=ヒメミヤについてである。


「エミリア、クルミ!よくやった!あとはガロードについてだが……誰か知っているか?!」


この質問にしばらくは反応がなかったが、何か思い出したかのように手を急に挙げた者がいた。それは一番意外な人物だった。


「……い、一番他人に興味なさげなお前が何か知っているってのか?ハク!」

「なっ!バ、バカにしとるん?!ウチだって知っとることあるんやから!」

「で、何を知ってるんだ?」

「そのヒメミヤっていう名字なんやけど……ムーンアイランドでいたようないなかったような……」

「ほ、本当か?!ハク!」

「う、うん……能力はわからん!」

「……もしかしたら俺達と同じ月の光系統の能力者かもな!でもありがとう!ハク!」

「ふ、ふん……も、もっと感謝しいや!」


誉められてちょっと嬉しそうなハクを見てフィオナがムッとするがケイは気づかなかった。その後ケイはチームジーニアスのメンバーに意見をきく。


「対策についてだがチームジーニアスの皆の意見を聞こうか。まずはグレン!お前ならどうする?」

「そうだね。まずはシモンとアトラスだが今回も2人で組む可能性が高いと思う。シモンの能力に相性がいいのはウルだろうね。凍り付けにしてしまえば気体、固体、液体だろうが関係ない。アトラス対策はレイラしかいないだろう。炎には水しかない。」


的を得た的確な考察にボルグも賛成する。ボルグはグレンの意見に自分の考えをつけ加える。


「ケイ!俺もグレンの意見に賛成だ!シモンもおそらく凍り付けをされるのが弱点だとわかっているからアトラスと組んでいるのかもしれない。氷は炎で溶かせるしな。」

「さすがグレンとボルグだな。シモンとアトラスに関してはそれでいこう。あとはメイメイとガロードだが……ロゼッタ!何か策があるのか?」


ケイの言葉に反応したのはロゼッタだった。何か考えがあるらしい。


「ケイ様!メイメイについてですがエミリアがいいかと!それからエミリアのサポートに遠距離攻撃で支援が得意なフィオナさんが適任ではないでしょうか?」

「ロゼッタ!俺もそう思っていた。精神干渉系には精神干渉系で対策すべきだ。エミリアを中心にフィオナにサポートしてもらおう。最後にガロードだが俺とハクが行く。同じ月の力を持つ俺達がいくよ。」


こうして4人の対策はできたところで皆に疑問が浮かぶ。残り2人のシャドウナイトについてである。ケイは皆を見渡し口にする。


「残り二人は正体不明の敵……どうする?」


この質問にタイガ、ラキ、アラン、ルナが手を挙げる。その表情は自信に満ちていた。4人同時に声をあげる。


『俺(私)がいく!』

「お前ら……!そうだな!!だが別々じゃなく二人ずつペアを組み、敵を倒しに行って欲しい!相手は未知数だからな!タイガとラキ!アランとルナでどうだ?」


ケイの指示に4人がうなずく。どうやら皆納得したようだ。


「よし!あとは150人隊長のフィオナとタイガの部下をどこのサポートにまわすかと東西南北にどの敵がくるかを考えなければならない!大変だと思うがチームシークレットで東西南北のどこにそれぞれの敵が現れるか情報収集し推測、それをもとにチーム編成と作戦をチームジーニアスに決めて欲しいんだがいけるか?明日の14時まで答えをだしてほしい!いけるか?リーダー!」

「は、はい……!ケイさん!任せてください!」

「任せてくれ!ケイ!必ず君の期待に応えてみせるよ!」

「ああ!頼んだ!俺ももちろんサポートする!」


クルミとグレンがそう返事をし、今後やるべきことがまとまったのだった。


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