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第86章「無限の力」

「な、なぜだ?!そ、その力は……がはっ!!」


ルーチェがサンセット・モードになって1分経過した頃にはもうほとんど決着がついていた。もはやケイが勝てる見込みはゼロである。そして今の一撃で地面に血だらけで這いつくばっているケイにルーチェは近くまで接近し話しかける。


「……どうやら決着はついたみたいだね。もう攻撃を受けて大体どんな力かわかっているのだろう?」

「…………じ、時間が経てば経つほど…………パ、パワーとスピードがあがっている……そ、そしてエネルギアも増えて……」


ケイは呼吸をするのがやっとだったため、息を切らせながらルーチェの質問に答える。それに対してルーチェは付け加える。


「そうだ。君のミカヅキの羽がゼロに変える力だとするなら、この力はまさに正反対……無限の力だ。」

「む、無限の力……」

「発動してから時間が経てば、経つほどパワー、スピードが上昇していく。それからエネルギアも逆に増えていく……」

「……た、体感的に……10秒で2倍ってところだな……ははっ……シャレにならないな。」

「それだけじゃないよ。ケイ……」

「……どういう……ことだ?」

「無限とはパワー、スピード、エネルギア量の上昇だけじゃない。……その真骨頂はすべてのエネルギアをコピーすることができることなんだ。」


最後のルーチェの言葉を聞き、ケイは驚きのあまり目を見開き、一瞬言葉を失う。それからおそるおそるルーチェに声を震わせながら尋ねる。


「……そ、それはつまり他の……人の能力を使うことができる……と……」

「その通りさ。ただし条件があるけどね。君とその能力を持つ相手との信頼関係が十分に高くなければ使えない……仲間との絆がこの奇跡をもたらすということだ。」

「……絆か……」

「ああ!」


ルーチェがここまで自身の能力の詳細を話す姿を見てケイは確信する。そしてルーチェに自身の推測を話す。


「…………それより聞きたいことがある……ルーチェ、お前は……俺にサンセット・モードを習得してほしいのか?……でなければこの戦いに意味があったと思えない……」

「……やはり僕の血が流れているだけあって頭がいいね。そう……君にはこの力を覚醒させてほしいと思っている。」

「……なぜだ?」

「……その話をする前にまずは君の怪我をどうにかしないと。僕には治癒能力に特化した仲間がいてね。その能力を借りて直ぐに治そう。」


ルーチェは地面に這いつくばったケイに右手をかざす。その瞬間ケイが白い光に包まれ、怪我が一瞬に完治するのだった。その後ルーチェはサンセット・モードを解除する。一方ケイは間近でコピー能力を見て改めて感心し、ゆっくり立ち上がった後呟く。


「……すごいな。その力。」

「君もできるようになってもらわないと困る。でなければ世界は終わるからね。」

「ど、どういうことだ?」

「あと2日後、シャドウナイトという闇の組織がトラモント王国で反乱を起こす……奴らの目的はダークネス・ジャイアントを目覚めさせ、この国を滅ぼすことだ。エネルギアの能力による人種差別や貧富をなくすため、今のこの世界をリセットする……理想郷を目指してね!」

「な、なんだとっ?なぜそんなことがわかる?!……はっ!そうかっ!!」


ケイはルーチェの力を思い出し気づく。サンセット・モードのコピー能力を使ったことに。


「……未来予知を使う仲間の力をコピーしたのか!!」

「そうだ。君に接触した僕の目的はこのサンセット・モードの力を伝授し、奴を……ダークネス・ジャイアントを倒してもらうことだ。」

「……ダ、ダークネス・ジャイアント……今の俺では勝てないのか?俺はミカヅキの羽で相手のエネルギアを無力にできるんだが!」

「いや無理だね。ダークネス・ジャイアントの強さはエネルギアじゃない。奴の恐ろしさは純粋なる破壊的な物理攻撃とあらゆる攻撃をはね返す鉄壁の防御だ。特に防御力に関しては……そうだね。君達が戦ったリヴァイアサンの1000倍以上だと思っていい。」

「あ、あのリヴァイアサンの?!あ、ありえないだろ!!そんなの!!」

「ケイ……残念だけど間違いないよ。だからこそサンセット・モードの無限のパワーが必要なんだ。巨大でどんなに優れた防御力をもっていても無限に上昇するパワーには勝てないからね。」

「……そもそも俺じゃなく、ルーチェ!お前がもう一度倒せばいいんじゃないか?」

「それがダメなんだ。これもまたコピーで得た力、時を操る力によるんだが、僕は過去から一時的にこの時代に来てね。だからこそ制約がある。未来を大きく分岐させるレベルの介在はできないのさ。もし行ったら僕の肉体は消滅するだけじゃなく世界そのものも消滅するだろう。だからこそもう一度言おう!この世界を守るには君の力が必要なんだ!」


ケイはここまで説明を受けて、シルファや大切な仲間の笑顔を思い浮かべる。それからケイは覚悟を決め、ルーチェに真剣な表情でお願いする。


「……わかった!俺も大切な人達を守るためダークネス・ジャイアントと戦う!!だからルーチェ!俺に……俺にその夕陽の力を教えてくれ!!」

「ああ!!残り2日で必ずケイがサンセット・モードを習得できるようにするさ!」


こうしてケイはルーチェと共に永遠に輝く夕陽の光の中、荒野で過酷な修行を開始するのだった……





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