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第70章「ケイ部隊」

「遅い!!そこだぁぁー!」

「……くっ!俺の敗けだ!」


2月10日の朝10時からトラモント訓練場でケイの部隊は特訓をしていた。今試合をしていたのはケイとアランである。決着がつき、判定を下したのはウルだった。今このトラモント訓練場にいるのはチームプレシャス、チームグローリー、チームネクサスだったメンバー、合計9人である。


「勝者!ケイ!さすがに強いね!」

「サンキュー!ウル!アラン大丈夫か?」

「ああ!次は敗けない!!」


実はケイの部隊にチームグローリー、チームプレシャスのメンバーが移籍したのだ。さらに驚くことにここ2週間各方面からスカウトし、部隊は総勢277人となる。フィオナとタイガは改めて沢山のメンバーが集まったなと感心して呟く。


「ほ、本当に沢山の人が集まったわよね……あ、あとアマネセル学園の同期がこっちの部隊に移るとは思わなかったわ……」

「そ、そうだな……これで277人!ま、敗けてらんねーぜ!なんせ俺らは150人隊長になるんだからな!」


150人隊長、そんな言葉を聞いて皆が集まる。先に口を開いたのはルナだった。


「ん?150人隊長はフィオナとタイガなのか?てっきり実力的に私とウルだと思ったんだが……」

「た、たしかに……強さでしたら1番がウルさん、2番がルナみたいですし、ふさわしいかと……」


ルナとクルミ一言にフィオナとタイガは顔を青ざめ動揺しながら声をあげる。その表情は必死だった。


「な、な、なっ!ダメよ!!絶対!!絶対それだけは譲らないんだからっ!!」

「そ、そうだぞ!!お、俺もだ!!そ、それだけはダメだからな!!」


動揺する二人に意見を言ったのはグレンだった。グレンは余裕の笑みを浮かべ、フィオナとタイガを説得する。


「いやいや!ここはウルと僕じゃないか?隊長ということは皆をまとめたり、頭の良さが求められるだろ?」

「頭のよさなら俺はIQ190あるが……」

『えっ!』


IQ190の頭脳の持ち主はボルグだった。驚愕の事実を知り、皆が驚きの声をあげる。そんな誰が150人隊長にふさわしいか話し合う中、それまで様子を見ていたケイは皆を見て自信満々の表情で結論を言う。どうやら最初から全部決まっていたようだ。


「実はさ!最初から役職は決めてたんだ!俺の意見少し聞いてくれないか?!」


全員がケイをみる。最初に尋ねたのはウルだった。


「それは気になるね!聞こうか!」

「ああ!まずウルとルナ、そしてアランはナンバーズという俺の部隊の中でも戦闘に特化した独立の最強チームを作って欲しいんだ!」

「な、ナンバーズ?!そんなシステム聞いたことがない!く、詳しく説明してくれ!」


ルナは少し顔を赤くする。わくわくした表情で前のめりで耳を傾ける。かなりカッコいいと思ったようだ。アランも珍しく物事に興味を持ち静かに呟く。


「ナンバーズ……」

「俺の部隊の300人の中でも……そうだな選ばれし超エリートの7人。ナンバーズと呼ぼう。後日アマネセル学園の実技実習場を借りて新人の騎士だけでサバイバル戦を行い、上位4人をナンバーズとして認定する。この7人は絶対的な強さで戦いにおいては皆を引っ張ってほしいんだ!あたりまえだがおまえらが誰よりも強くなければ皆ついてこないぞ!大変だとは思うがどうだ?」

「はっ……最高にいいじゃねーか!!俺向きだ!!」


その内容を聞きアランは気に入ったようだ。ウルも目を見開き、ケイに嬉しそうな表情で握手をする。


「ケイ!君は本当に最高だ!!任せてくれ!!誇り高き最強のナンバーズ・ワンとして戦いでは絶対の勝利を約束しよう!!」


ルナも当然賛成だった。ウルに続き、ケイに握手する。


「ケイ!!私もだ!!面白そうだ!!任せてくれ!残り4人、最強のメンバーを集めてみせよう!!」

「ああ!ナンバーズ・ワンのウル!ナンバーズ・ツーのルナ!ナンバーズ・スリーのアラン!頼んだぞ!憧れの存在として最強の部隊を作ってくれ!」


ウル、ルナ、アランの役職が決まり、次にケイが視線を合わせたのはボルグとグレンだった。


「ボルグ!グレン!頭脳明晰な二人はこの部隊を絶対勝利に導く参謀チームを作って欲しい!!もちろん騎士としての訓練も忘れずにな!強さと賢さを兼ね備えたまさにこの部隊の司令塔だ!おまえらが考えた作戦をもとにこちらは行動するだろう!部隊の命運はこの参謀チームにかかっていると言っても過言ではない!かなり重要な役職だがどうだ?」


ケイに意見にグレンとボルグは目を輝かせてに答える。


「ああ!それだよ!!僕がやりたかったのは!!まさにね!喜んで引き受けよう!!ボルグはどうだ?」

「ああ!!俺もこの頭脳を部隊にずっと生かしたいと思っていたところだ!!やろう!ところでケイ!何人集めるんだ?」

「……おまえら含めて10人だな!チーム名はジーニアスでどうだ?残り8人の天才を見つけてくれるか?」

「……ジーニアス!!いいじゃないか!僕達にふさわしいネーミングだよ!わかった!!必ず集めるさ!」


こうして残りはフィオナ、タイガ、クルミだけとなる。ケイは優しい表情で3人に伝える。


「フィオナ!」

「な、何よ!」

「150人隊長をよろしく頼む!!ムードメーカーとして遠距離攻撃や後方支援のスペシャリストをまとめて育ててくれ!」

「ケイ……!!うん!!私に任せなさい!!」


フィオナはケイに認められ涙目となり、本当に嬉しそうな表情で返事をする。


「タイガ!」

「お、おう!!」

「おまえも150人隊長を頼む!!おまえならできるはずだ!俺と同じく光系統のエネルギアを持つおまえの実力なら誰もが認めるだろう!接近戦のスペシャリストをまとめ、育ててくれ!!」

「ああ!!任せてくれ!!ありがとう!ケイ!」


タイガも本当に嬉しそうな笑顔で答えるのだった。ケイのために頑張ろう、そんな表情だった。そしてケイは最後にクルミをみる。少し緊張した様子だった。


「クルミ!!」

「は、はい!」

「おまえはエージェントになってくれないか?秘密裏に活動する情報収集者ってやつだ!得た情報は俺とジーニアスのメンバーに伝えてくれ!」

「な、なるほど!!私の能力向けですね!!メンバーは私だけですか?!」

「いや!それは負担が大きすぎる!クルミを含めて5人だな!チーム名はシークレットってのはどうだ?」

「シークレット……!いいですね!わかりました!!残り4人こちらで集めます!」

「ああ!頼んだ!」


こうして今までのトラモント騎士団の中でも歴史にないチーム編成でケイの部隊は活動を開始するのだった。

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